「ERPエンジニアに興味はあるけど、求人を見ると経験者向けばかり…」
「ERPを触ったことがない自分でも、入れる道はあるのかな」
開発や運用保守の経験を積んで次の専門を探していると、ERPの求人が気になってくる時期があるかもしれません。ただ、必須条件にERPの経験が並んでいるのを見ると、自分には関係ない話に思えてしまいますよね。
この記事は、IT企業で人事をしている筆者が書いています。書類選考は年間1,000件超。ERPの経験がない人がどこから入れるのかを、採る側から見て、経歴ごとに整理します。
すけさんERPとは何か、年収や将来性はどうかは、ERPエンジニアの仕事・年収・将来性の記事にまとめました。この記事でERPと書くときは、SAPの製品も含めています。


| 今の経験 | 入り口になりやすい求人 | 詳しい章 |
|---|---|---|
| IT経験あり・ERPは未経験 | SAP未経験OK(IT経験が前提)の求人、ERPの運用保守 | IT経験がある人のルート |
| 経理・購買などの業務経験あり・ITは未経験 | 業務の知識を生かす導入コンサルタント、会計パッケージの導入 | 業務経験がある人のルート |
| ITも業務も未経験 | 研修付きの求人、またはIT職で基幹システムに近い経験を積んでから | ITも業務も未経験の人のルート |
- 求人の「未経験歓迎」が、何の未経験を指しているかの見分け方
- 今の経歴(IT経験・業務経験・どちらもなし)ごとの入り口
- 採る側から見た、ERPの求人に応募できる線
- 「未経験OK」の求人で、応募の前に確かめておきたいこと
- 書類選考で人事が見る順番と、資格欄の見られ方



ERPの求人は、必須条件を見た時点で手が止まりますよね。私もSAPやOracleの求人で、開発からPM(プロジェクトの責任者)までの募集を担当してきました。必須条件には、ERPの経験を入れていました。だからこそ、入り口の場所を正直に書いていきます。
ERPエンジニアの「未経験OK」は、何が未経験かで3つに分かれる
求人サイトで「SAP 未経験」と検索すると、未経験歓迎の求人がいくつも出てきます。ただ、その未経験が何を指しているかは、求人ごとにかなり違うんです。
求人の「未経験歓迎」は、業界・職種・製品のどれかを指している
リクルートは2024年1月に、転職支援サービスのリクルートエージェントの求人を分析した結果を発表しています。仕事の内容に「未経験」という言葉が入った求人は、2022年度に2018年度の3.2倍になりました。
同じ発表では、未経験求人の中身が細かく分かれてきていることにも触れています。例として挙がっているのは、次のような書き方です。
- 「職種未経験OK、〇〇業界経験者歓迎」
- 「エンジニア経験は求めるが、〇〇言語による開発は未経験でOK」
- 「職種業界未経験OK、新たなスキル習得経験を歓迎」
出典:株式会社リクルート「未経験求人が2018年度比で3.2倍に増加。2022年度で急増 新たな業界・職種へチャレンジできる機会が増加」(2024年1月29日)。未経験求人は、求人の仕事の内容に「未経験」という言葉が含まれるもの、という同社の定義です
ERPの求人にも、同じことが言えます。リクルートエージェントの「SAP/ERP導入コンサルタント」の求人一覧を見てみました(2026年9月28日時点)。リーダーやマネージャー、プロジェクトマネージャーの求人にも、「業界未経験歓迎」のタグが付いています。
求人名に「ERPに関する何らかの経験求む」と書かれた求人にも、同じタグがあったんです。このタグは、ERPの経験がなくてもいいという意味とは限りません。業界が違っても応募できる、という意味の歓迎だと考えておくほうが、読み違えずに済みます。
ERPの求人に出てくる未経験歓迎を分けると、次の3つになります。
| どの未経験か | 求人での書かれ方の例 | ほかに求められやすい経験 |
|---|---|---|
| 業界の未経験 | 「業界未経験歓迎」 | ERPの導入やプロジェクトの経験。リーダー以上の求人なら、チームをまとめた経験も |
| 職種の未経験 | 「コンサル未経験歓迎」「システム開発経験から転向OK」 | 前の職種での経験(開発・経理・調達など) |
| 製品の未経験 | 「SAP未経験歓迎」「SAP未経験OK」 | ITの実務経験。製品の知識は入社後の研修で身につける前提 |



求人票を書く側から言うと、未経験歓迎が何を歓迎しているのか、書く側でも言葉が足りていないことがあるんですよね。読む側で分けて見てもらえると、応募してからのすれ違いが減ると思います。
書類で落ち続けているなら
“書類選考のない入口”を使う手があります
人事の側から言うと、書類の合否は数十秒で決まります。書き方を直すのと同時に、経路を増やすのが早道です。
50歳未満/未経験は対象外
✓ 経歴を登録するだけで、どんな企業が反応するか分かる
✓ 転職を決めていなくても登録できる
(2026年9月29日時点)業界・職種を問わない
50歳以上は対象外
✓ 推薦状付きで応募できる
✓ IT以外の業界・職種も探せる
自分はどのタイプ?3つの出発点


求人の未経験が3つに分かれるように、読む側の未経験も出発点が違います。ITの実務経験と、経理・購買・生産管理などの業務経験。この2つがあるかどうかで、次の3つに分かれます。
- IT経験あり・ERPは未経験:
製品の知識を研修で覚える前提の求人が入り口。最初は導入のメンバーや、ERPの運用保守から - 業務経験あり・ITは未経験:
経理・調達・受注・購買・物流・製造などの経験を歓迎する求人が入り口。最初はヒアリングや設定、テストから - ITも業務も未経験:
第二新卒・未経験向けの枠など、研修とOJT(現場で働きながら教わる形)を前提にした求人が入り口



ITと業務の両方の経験がある人もいますよね。たとえば社内SEとして、会計や販売のシステムを担当してきた人です。その場合は、1つ目のIT経験がある人のルートを読んでもらえれば、ほぼそのまま当てはまるはずです。
私なら、未経験歓迎の求人を見たら、必須条件の欄と入社後の研修の欄をセットで見ます。研修の欄に製品の名前まで書かれていれば、製品の未経験を歓迎している求人だと見当がつきます。
IT経験がある人のルート(ERPは未経験)





開発や運用保守、ヘルプデスクなど、ITの実務経験がある人は、ERPの求人に手が届きやすい場所にいます。今の工程によって、入りやすい仕事が少し違ってくるんです。
開発の経験がある人:アドオン開発・導入メンバーから
ERPの導入では、製品の標準の機能で足りない部分を、アドオン(標準にない機能の追加開発)で補います。設計して、作って、テストする流れは、JavaやC#の開発と変わりません。
SAPで使うABAP(SAP独自のプログラミング言語)のように、ERPには製品ごとの言語や仕組みもあります。ただ、製品の知識は入社後の研修で覚える前提の求人もあるんです。
2026年9月28日時点のリクルートエージェントの求人一覧には、次のような書き方の求人がありました。
- 「システム開発経験から転向OK」として、業務システムの開発経験を生かしてERPの導入コンサルタントを目指す求人
- 「SAP未経験歓迎」として、1〜3か月の研修で基礎を学び、そのあとOJTで経験を積む求人
導入を担う会社を探したいときは、SIer(システムの開発を請け負う会社)のランキングも手がかりになります。成り立ちごとに、メーカー系・ユーザー系・独立系の3本にまとめています。






運用保守・ヘルプデスクの経験がある人:ERPの運用保守から
導入が終わったERPを支えるのが、運用保守の仕事です。求人では、AMS(アプリケーション保守サービス)と書かれていることもあります。中心になるのは、使う人からの問い合わせ対応や障害の調査、小さな改修です。
同じ求人一覧には、「SAP未経験OK」と書かれた保守の求人もありました。まず1〜2か月ほどSAPの研修を受けて、そのあと保守の案件メンバーに入る流れです。その先は、サブリーダー、PM・PL(プロジェクトの責任者・リーダー)へと続きます。
問い合わせを受けて、原因を切り分けて、直す。自分では下流の仕事だと思っていても、ERPの運用保守で求められる動きとかなり近いはずです。
「運用保守から入って、上流の仕事に移れるのかな…」という心配は、未経験OKの求人で確かめておきたいことの章で扱います。
採用側から見た「応募できる線」
ここからは、採る側の話です。私が担当したERPの求人は、どれもERPか、その周りのシステムの経験を必須にしていました。SAPに限った求人もあれば、国産を含めて何かしらのERP製品の経験で応募できる求人もあります。
経験の長さの目安は、1年以上。実際には2年くらいやっている人のほうが、うまくいかなかった場面も経験していて、話がしやすかったです。
一方で、ERPは未経験の開発経験者からも応募があり、入社した人もいました。入社までの経緯は人それぞれなので、必須条件を満たさなくても通る、とまでは言えません。
求人の種類ごとに、応募の前提になっている経験を並べると、こうなります。
| 求人の種類 | 応募の前提になっている経験 |
|---|---|
| ERPの経験を必須にしている求人 | ERPか、その周りのシステムの経験。目安は1年以上、実際は2年くらい |
| SAP未経験OK(IT経験が前提)の求人 | ITの実務経験。製品の知識は入社後の研修(1〜3か月など)で身につける前提 |



開発経験のある人で私の評価が上がるのは、上流(要件定義や設計)から下流(開発やテスト)まで一通りやってきた人です。流れが分かっている人は、ERPが初めてでもすぐ追いつけそうだと感じます。
今の会社にERPや基幹システムの案件があるなら、異動や案件の希望を出してみるのも近い道です。社内で1年でもERPに触れられれば、次の転職で応募できる求人の幅が変わってきます。
ERPの経験を積んだあとのキャリアは、別の記事で扱っています。


私が担当した求人でも、ERPの経験者は限られていて、応募を集めにくいのが実情でした。だから開発経験者の書類も見ていました。職務経歴書で担当した工程を要件定義・設計・テストの順に並べておくと、流れが分かる人だと伝わりやすくなります。
経理・購買・生産管理などの業務経験がある人のルート


経理や購買、生産管理などの仕事をしてきた人は、ITの経験がなくても、業務の知識が入り口になります。ERPが扱っているのは、まさにその業務だからです。
業務の知識を求めるERP求人の型
2026年9月28日時点のリクルートエージェントの求人一覧から、業務の経験を入り口にしている求人を拾ってみました。次のような型があります。
| 求人の型 | 求人に書かれていた内容 |
|---|---|
| 経理・調達の経験から、SAPなどのERP導入コンサルタントへ | コンサル未経験歓迎。ERPの構想づくりから要件定義、導入、定着の支援まで |
| 経理の経験から、国際会計のクラウドサービスの導入コンサルタント・SEへ | SEが未経験でも、経理の実務経験を土台に、社内の教材とOJTで育てる |
| 簿記の知識を生かして、連結会計システムの導入コンサルタントへ | プログラミングは不要。入社後1〜2か月はeラーニングと演習で学ぶ |
| 受注・購買・物流・製造・経理の経験を生かして、ERPの導入コンサルタントへ | IT業界未経験歓迎。前職の業務経験を生かして、お客さんの業務のヒアリングや要件定義に関わる |
どの求人も、ITの経験を問わない代わりに、どの業務の経験かをはっきり書いています。会計の経験なら会計や連結の領域、購買や生産の経験なら販売・購買・生産の領域。自分の業務と重なる求人から見ていくと、話がかみ合いやすくなります。
ITは未経験でもOKと書かれていても、業務の経験そのものは前提です。「ITは初めてだけど、経理の仕事ならずっとやってきた」という人に向けた求人、と考えるとイメージしやすいはずです。



経理や購買の仕事をしていると、ERPはIT部門の人の仕事に見えるかもしれませんね。求人を読んでいると、業務が分かる人を探している会社も思った以上にあるなと感じます。
今の職場でできる準備
転職の前に、今の職場で積める経験もあります。2023年に公開されていたERPエンジニアの求人(募集は終了)では、歓迎する経験として次の3つが書かれていました。
- 会計・経理の業務経験
- 日商簿記3級以上
- 今の業務でERPを使っている、またはユーザー側としてERPの導入プロジェクトに関わった経験
出典:paiza「ERPエンジニア」の求人(2023年9月29日更新・募集終了)
3つ目は、今の職場にいるからこそ積める経験です。自社のERPのキーユーザー(業務部門の代表として、操作を覚えたり要望をまとめたりする役)を引き受ける。ERPの入れ替えがあるなら、業務側のメンバーとして手を挙げてみる。
どちらも、職務経歴書にそのまま書ける経験になります。簿記については、入社前に準備しておきたい知識と資格の章で触れます。
歓迎条件の欄には、必須にはしないけど本当は欲しい経験が出やすいです。自分の業務が歓迎条件にある求人なら、職務経歴書でもその経験をいちばん上に置くと、目に留まりやすくなります。
ITも業務も未経験の人のルート


ITの実務経験も、経理などの業務経験もまだない人の道です。ERPの求人は経験者向けが多いので、入り口は限られます。それでも、道は2つ。



私が担当したERPの求人では、ITも業務も初めてという方の書類を見たことがないんです。入り口は、ERPの求人の外にあると考えたほうが、道を探しやすいと思います。
研修付きで未経験を採る求人の特徴
ITも業務も未経験の人を受け入れる求人は、研修の書き方に特徴があります。2023年に公開されていたERPエンジニアの求人(募集は終了)は、次のような流れでした。
- 約2〜3か月の研修で、ITの基礎、会計・販売・購買・在庫の業務知識、扱う製品(NetSuite)を学ぶ
- 研修のあとは、開発やテストなどの下流の工程から担当する
出典:paiza「ERPエンジニア」の求人(2023年9月29日更新・募集終了)
リクルートエージェントの一覧(2026年9月28日時点)には、第二新卒・未経験向けのSAPの枠もありました。こちらも、社内外の研修とOJTで力をつけていく書き方です。
ただ、一覧の1ページ目(100件)を見た範囲では、未経験の人に向けた枠だとはっきり書かれた求人は多くありませんでした。見つけたときに確かめたいことは、次の章でまとめています。
まずIT職で基幹システムに近い経験を積む道
もう1つの道は、先にIT職で実務の経験を積んで、IT経験がある人のルートに乗ることです。遠回りに見えるかもしれません。でも、ERPの求人が求める経験に、いちばんまっすぐつながる道です。
IT経験がある人のルートで書いたとおり、ERPが未経験でも、開発の経験は応募の土台になります。IT職の中でも、会計や販売管理などの業務システムを扱う案件に入れると、ERPにさらに近づけます。
IT職への未経験からの転職の進め方は、別の記事にまとめました。


ITの仕事に未経験から入る人の面接では、私は今何を勉強しているかを聞いています。先にIT職を目指すなら、ITパスポートなど勉強中のものを1つ、面接で話せるようにしておくと答えやすくなります。
「未経験OK」のERP求人で確かめておきたいこと


未経験OKの求人を見つけたら、応募の前に次の4つを確かめておくと、入社してからのずれが小さくなるはずです。求人票に書かれていなければ、面接で聞けば大丈夫です。
| 確かめること | 求人票・面接での確かめ方 |
|---|---|
| 研修の期間と中身 | 期間(1〜3か月など)と、学ぶのが製品か、業務の知識か、その両方か |
| 最初に担当する工程と、その後の流れ | 研修、案件のメンバー、サブリーダーのように、先の流れまで書かれているか |
| 扱う製品 | SAPか、国産のERPか、その会社の自社製品か。自社製品なら、その製品に深く詳しくなれる |
| 案件の受け方 | お客さんと直接契約する元請けの案件が中心か、ほかの会社を通した案件か。お客さんの会社に常駐するか |
「運用保守から入ったら、ずっと運用保守のままかも…」と心配になる人もいると思います。運用保守から入る求人そのものが悪いわけではありません。見ておきたいのは、その先の流れが求人票に書かれているかどうか。
保守の案件メンバーのあとに、サブリーダーやPM・PLへと続く流れを書いている求人もありました。書かれていない場合は、面接で入社2〜3年目の担当の例を聞いてみると見当がつきます。



人事の側の事情を言うと、配属の案件は、求人票を書く時点では決まっていないこともあるんです。だから、面接で遠慮なく聞いてもらえると、こちらも答えやすくて助かります。
案件の受け方は、同じERPの仕事でも、任される範囲や働き方に関わってきます。元請けやSES(技術者がお客さんの会社で働く契約の形)といった、案件の流れ方の仕組みは別の記事にまとめました。


面接で研修のあとに入る案件の例を聞いて、例が1つも出てこないなら、研修が終わってから配属先を探す流れかもしれません。答えられないこと自体が、判断の材料になります。
書類選考で人事が見ているところ
入り口が見えてきたら、次は書類です。年間1,000件超の書類を見ている立場から、私が実際に見ているところを書きます。



書類の話になると、ERPの経験がないだけで落とされるんじゃないか、と不安になりますよね。でも私が書類を見る順番は、ERPの経験者でも、そうでない人でも同じなんです。
書類で最初に見る順番


私が書類を開いて最初に見るのは、年齢、転職回数、学歴、社名、在籍期間、写真、職歴の順です。職歴の中身を読むのは最後のほう。ERPの経験があるかどうかが分かるのも、この最後のところです。
たとえば30歳までなら5回まで、といった形です。
転職回数と在籍期間は、職歴を読む前に目に入る項目です。短い在籍が続いているなら、理由を一言添えておくと、読む側の引っかかりが減ります。
年齢は最初に目に入りますが、年齢だけで判断はしていません。そのかわり、年齢が上がるほど、何ができるかは厳しく見ます。30代でERPに移るなら、できることを工程の言葉で書いておくと、伝わりやすいと思います。
職務経歴書の書き方そのものは、中途の書類選考で落ちる理由の記事にまとめました。


資格欄の見られ方
資格欄では、まずIT資格があるかを見て、次にいつ頃取ったかを見ます。書き方で受け取り方が変わるところを、表にしました。
| 書き方 | 人事(筆者)の受け取り方 |
|---|---|
| 「応用情報」のような略した書き方 | 気になる。書類の基本のマナーができていないと感じる。正式な名前で書くほうが無難 |
| 応用情報技術者試験と基本情報技術者試験を並べて書く | 順番に物事を進められる人だと受け取る |
| 「受験済み・結果待ち」「勉強中」と書く | 頑張っていると思う。ただ、最終面接の面接官などに嫌う人もいて、書かないほうが結果が良くなるパターンもある |
「なぜERPか」を今の経歴とつなげる
志望動機で聞かれるのは、なぜERPなのか、です。今の経歴がERPのどの仕事につながるかを先に整理しておくと、答えを組み立てやすくなります。
| 今の経歴 | つながるERPの仕事 |
|---|---|
| 開発 | アドオン開発、テスト |
| 運用保守・ヘルプデスク | ERPの運用保守(問い合わせ対応、障害の調査、小さな改修) |
| 経理・購買などの業務 | 業務のヒアリング、要件定義(何を作るかを決める工程)、Fit&Gap(標準の機能と業務の差を洗い出す作業) |
そのうえで、目標を3つの長さに分けて書いてみます。
- 短期:入社してすぐに担当したい工程(例:運用保守の問い合わせ対応と改修)
- 中期:任されたい領域(例:会計の領域で、設定まで担当する)
- 長期:なりたい姿(例:要件定義から入れるERPのエンジニア)
最後に、そのために今やっていることを1つ添える。簿記の勉強でも、SAPの公式の学習コースでもかまいません。
キャリアチェンジの志望動機で私の評価が上がるのは、短期・中期・長期の目標があって、そこに向けて今なにか動いている人です。ERPなら、1年後に何を担当したいかと、そのために今勉強していることをセットで書くと伝わります。
入社前に準備しておきたい知識と資格


ERPの仕事には、業務の知識、ITの基礎、製品の知識の3つが要ります。どれから足すかは、今の経験しだい。
| 今の経験 | 先に足したいもの | 学習・資格の例 |
|---|---|---|
| IT経験あり・ERPは未経験 | 業務の知識 | 日商簿記、SAPの公式の学習コース |
| 業務経験あり・ITは未経験 | ITの基礎 | ITパスポート、基本情報技術者 |
| ITも業務も未経験 | ITの基礎、次に業務の知識 | ITパスポート・基本情報技術者、そのあと日商簿記 |
業務の知識:簿記
会計の領域のERPでは、仕訳や決算の流れが分からないと、お客さんの話についていけません。その入り口になるのが簿記です。
日商簿記は、1級・2級・3級のほかに、簿記初級と原価計算初級があります。2級・3級・簿記初級・原価計算初級は、ネット試験(テストセンターのパソコンで受ける方式)でも受験できる級です。
出典:日本商工会議所「商工会議所の検定試験 簿記」(2026年9月28日確認)



正直に言うと、IT職の書類で簿記を見て評価が変わることは、私はありませんでした。ただ、会計のERPに関わるなら仕訳の話は避けて通れません。簿記は書類のためより、入社後のための勉強なんですよね。
ITの基礎:ITパスポート・基本情報技術者
ITの基礎を固めるなら、IPA(情報処理推進機構)の試験が目安になります。ITパスポートは、ITを使って仕事をする人に向けた基礎の試験。基本情報技術者は、ITエンジニアとして仕事を始める人に向けた試験です。
| 試験 | 受け方と試験の形 |
|---|---|
| ITパスポート | パソコンで受けるCBT方式で、随時実施。120分・100問の選択式 |
| 基本情報技術者 | CBT方式で、随時実施。科目A(90分・60問)と科目B(100分・20問)の選択式 |
IPAは、2027年度から新しい試験制度に移ることを予定しています(IPA「試験制度の見直しについて」)。受ける時期によって出題の範囲が変わる可能性があるので、申し込む前にIPAのページで最新の情報を見ておくと確実です。


製品の知識:SAPの公式の学習と認定資格
SAPは、公式の学習サイト(SAP Learning)で、認定試験の準備用の学習コースを無料で公開しています。まずはここで、製品の画面や用語に触れてみるのが手軽です。
認定試験の受け方は2つ。受験回数を買うか、SAP Learning Hub(年間契約・受験4回つき)を使うかです。試験は2025年11月から、実際のSAPの環境で作業する実技の形式に順に切り替わっています。
実技の試験のうち、システムを操作する形式は、今は英語だけで受ける形です。日本語で受けられるかは資格と形式によって違うので、受けたい資格のページで確かめてから申し込めば、慌てずに済みます。
出典:SAP Learning「SAP Certifications」、SAP Learning「Preparing for an exam – FAQ」、SAP Learning「SAP Certification practical exams – FAQ」(2026年9月28日確認)
SAPは特定の会社の製品なので、学べる場が限られます。私が担当した求人でも、自分で学んで資格まで取っている人は、ほかの応募者と差がついていました。
資格を取ったら、なぜその資格を選んだかを面接で話せるようにしておくと強いです。私は、取得までにかかった期間より、取ろうと思った理由のほうを聞いています。
よくある質問
- 30代からでも、未経験でERPエンジニアになれますか?
-
なれる道はあります。書類で見られるのは、年齢そのものより、その年齢までに何ができるようになったかです。
30代なら、今の経験がERPのどの工程につながるかを、職務経歴書の中で先に示しておくと話が早いです。書類を見る順番は書類選考で人事が見ているところにまとめました。
- 文系でもERPエンジニアを目指せますか?
-
ERPは、会計や販売など会社の業務を扱う仕事です。公開されている求人にも、経理や調達などの業務経験を歓迎するものがありました。
学部より、今の経験がERPのどこにつながるかを見ていくほうが、応募できる求人を探しやすくなります。
- SAP認定資格を取れば、未経験でも採用されますか?
-
資格は書類で差がつく材料にはなります。ただ、求人の必須条件(ITの経験や、ERPかその周りのシステムの経験)の代わりになるとは限りません。
IT経験が前提の求人なら、資格は必須条件を満たしたうえでの上乗せ、と考えておくと期待とのずれが小さくなります。
まとめ|未経験からERPエンジニアへの転職ルート
この記事の要点を振り返ります。
- 未経験歓迎には3つの意味がある。業界・職種・製品のどれの未経験かで求められる経験が変わり、リーダー職の求人にも業界未経験歓迎のタグがありました。
- IT経験者はERPに手が届きやすい。私が担当した求人ではERP経験1年以上が目安でしたが、開発経験者からの応募と入社もありました。
- 業務経験者は業務の知識が入り口。経理・調達・受注・購買などの経験を歓迎するERPの求人がありました。
- ITも業務も初めてなら道は2つ。研修付きの求人か、先にIT職で実務の経験を積む道です。
- 研修・工程・製品・案件の受け方を確かめる。求人票に書かれていなければ、面接で聞けば大丈夫です。
- 書類は経験者と同じ順番で見る。私は年間1,000件超の書類を、年齢・転職回数から職歴まで同じ順番で見ています。
- 簿記は入社後のための勉強。書類での評価より、会計のERPで仕訳の話についていくために役立ちます。
ERPの求人は、どうしても経験者向けに見えがちです。どこから入ればいいのか迷うのは、普通のことだと思います。
今日できる小さな一歩を、1つだけ置いておきます。求人サイトで「SAP 未経験」と検索して、3件の必須条件の欄を見比べてみる。IT経験がいるのか、業務経験がいるのか、どちらも問わないのかを分けてみると、自分が応募できる求人の形が見えてきます。



書類を見ていると、今の経験がERPのどこにつながるかを自分の言葉で書いている人は、目に留まります。ERPの経験がなくても、そこは今日から準備できるところなんですよね。
ERPの仕事の中身や年収の目安は、ERPエンジニアの仕事・年収・将来性の記事で詳しく書いています。




開発や運用保守の実務経験がある方は、企業から声がかかるスカウト型のサービスも入り口の1つです。自分の経歴にどんな求人が届くかを見るだけでも、ERPとの距離がつかめます。
書類で落ち続けているなら
“書類選考のない入口”を使う手があります
人事の側から言うと、書類の合否は数十秒で決まります。書き方を直すのと同時に、経路を増やすのが早道です。
50歳未満/未経験は対象外
✓ 経歴を登録するだけで、どんな企業が反応するか分かる
✓ 転職を決めていなくても登録できる
(2026年9月29日時点)業界・職種を問わない
50歳以上は対象外
✓ 推薦状付きで応募できる
✓ IT以外の業界・職種も探せる
