「ERPエンジニアって、普通のSEと何が違うんだろう」
「年収や将来性は、実際どうなんだろう」
開発や運用保守の経験を積んで、次の道を考え始めると、ERPという言葉が目に入ることがあると思います。言葉は知っていても、仕事の中身や年収、この先の見通しまでは見えにくいですよね。
すけさんERPって、名前は聞くのに中身が見えにくい仕事ですよね。私は人事として、SAPやOracleの求人で開発からPM(プロジェクトの責任者)までの募集を担当してきました。採る側から見えたことも書いていきます。
| 知りたいこと | 要点 | 詳しい章 |
|---|---|---|
| どんな仕事? | 会社の会計・販売・購買・生産などをまとめて管理するシステム(ERP)を、導入・運用する技術者 | 仕事内容 |
| 年収は? | ERPエンジニアだけの国の統計はない。数字を見るときは、統計の平均か、求人の提示額か、利用者の実績かを確かめる | 年収相場 |
| 2027年問題とは? | SAPの旧製品(SAP ERP 6.0)は2027年末に標準保守が終わる。延長保守は2030年末まで。2031〜2033年は条件付きのプランだけ | 将来性 |
| 需要の見通しは? | 調査会社は、当面は古いシステムの移行や作り直しの案件が市場を引っぱると見ている(予測) | 将来性 |
- ERPエンジニアの仕事と、ERPコンサル・SAPエンジニア・社内SEとの違い
- 働く場所(導入ベンダー・パッケージベンダー・事業会社)による仕事の違い
- 年収の数字が記事ごとに違う理由と、求人の年収レンジが決まる条件
- SAPの2027年問題と、2030年・2031年以降のスケジュール
- 「きつい」と言われる理由と、この先のキャリアの選び方
ERPエンジニアとは?仕事内容をひとことで


そのシステムを会社に入れたり、動かし続けたりするのが仕事。
ERPそのものの説明から入って、仕事の流れと、似た職種との違いを見ていきます。
そもそもERPとは
会計・販売・購買・在庫・生産・人事といった会社の基幹業務のデータを、1つにまとめて扱う仕組みを指します。日本語だと、統合基幹業務システムという呼び方もあります。
家計簿にたとえると分かりやすいかもしれません。家族がそれぞれ別のノートに買い物を書いていると、月末に集計するまで家全体のお金の動きは分かりません。1つの家計簿アプリを家族で共有すれば、誰かが買った瞬間に残高が変わりますよね。
会社も同じです。部署ごとにシステムが分かれていると、月末の締めまで全体の数字が見えません。ERPでデータを1か所に集めると、商品が売れた時点で在庫と会計の数字も一緒に動くんです。
ERPの中身は、会計や販売など業務の領域ごとに分かれています。ERPエンジニアも、担当する領域ごとに専門が分かれることが多いです。
よく名前が挙がる製品には、ドイツのSAP社やアメリカのOracle社の製品があります。SAPは1972年に5人で創業し、ドイツのワルドルフに本部を置く会社です(SAP「SAPとは?」)。国産の製品もあり、次の章で触れます。
※この記事の「SAP」は、ドイツのSAP社とその製品のことです。AWSの資格(ソリューションアーキテクト プロフェッショナル)の略称もSAPですが、まったく別物です。
ERPエンジニアの仕事は「導入」と「運用」の2つに分かれる
仕事は大きく2つに分かれます。新しくERPを入れる導入と、入れたERPを動かし続ける運用です。
| 仕事の流れ | 主な作業 |
|---|---|
| 導入 | 要件定義(何を実現するかを決める)→Fit&Gap(標準機能と業務の差を洗い出す)→設定→アドオン開発→データ移行→テスト |
| 運用 | 使う人からの問い合わせ対応、障害対応、税や制度が変わったときの対応、使い勝手の改修 |
導入ならではの作業が、Fit&Gapです。ERPは完成した製品なので、まず標準の機能で会社の業務がどこまで回るかを確かめます。
足りない部分は、業務のほうを製品に合わせるか、アドオン(標準にない機能の追加開発)で補うかを決めます。費用や工数に響くので、お客さんと話し合いながら決めていく部分です。
データ移行は、古いシステムのデータを新しいERPに移す作業です。会計の数字が1円でもずれると困るので、テストと合わせて時間をかけることが多い工程。
運用に回ると、仕事の中心は問い合わせ対応と改修に移ります。開発の経験がある人なら、改修のところは今の仕事とつながる部分が多いはずです。
ERPコンサル・SAPエンジニア・社内SEとの違い



求人を見ていると、似た職種名がいくつも出てきます。主な4つを並べると、次のようになります。
| 職種 | 主な仕事 | 関わる工程 | 求人でよく見る経験 |
|---|---|---|---|
| ERPエンジニア | ERPの設定・追加開発・データ移行・運用 | 設計〜テスト、運用保守 | ERP製品の開発・導入の経験 |
| ERPコンサルタント | 業務の課題を整理し、ERPでどう実現するかを決める | 企画・要件定義〜導入の取りまとめ | 導入プロジェクト、設定(カスタマイズ)、PM・PL(プロジェクトの責任者・リーダー)の経験 |
| SAPエンジニア | ERPエンジニアのうち、SAPの製品を専門にする人 | ERPエンジニアと同じ | SAPでの開発経験(ABAPなど) |
| 社内SE | 自社のシステムの企画・運用。ERP以外も受け持つことが多い | 企画〜運用、ベンダーとの調整 | 自社の業務への理解 |
表のABAPは、SAPの製品で使われる独自のプログラミング言語です。SAPエンジニアの求人では、この言語での開発経験を求められることがあります。
ERPコンサルタントとエンジニアの境目は、会社によって引き方がバラバラ。コンサルタントの肩書きでも、設定や開発まで自分で手を動かす人もいます。職種名だけで、仕事の範囲は決まりません。



私が担当した求人でも、コンサルタントの募集ではSAPの導入やPM・PLの経験を求めていました。エンジニアの募集で見ていたのは、開発やERP製品の経験です。同じERPでも、職種名で見られる経験がけっこう違うんですよね。
ERPの求人を見るときは、職種名より先に必須条件の欄を見ると判断が早くなります。「導入」「カスタマイズ」「開発」のどれが書かれているかで、今の経験で応募できる求人かどうかが分かりやすくなります。
ERPエンジニアは働く場所で仕事の中身が変わる


同じERPエンジニアでも、どの会社で働くかで、担当する工程や扱う製品の幅が違ってきます。働く場所は大きく3つです。
| 働く場所 | 担当する工程 | 扱う製品の幅 | 働き方の傾向 |
|---|---|---|---|
| 導入ベンダー | 導入プロジェクトの要件定義〜テストが中心 | 案件ごとに製品や業界が変わる | お客さんの会社で作業することが多い |
| パッケージベンダー | 自社製品の開発と、導入の支援 | 自社の製品に絞られる | 会社や部門によって違う |
| 事業会社の情報システム部門 | 自社のERPの運用・改善。導入はベンダーと一緒に進める | 自社で使っている製品 | 自社で働く |
導入ベンダー(SIer・コンサルティング会社)
ERPを入れたい会社から依頼を受けて、導入プロジェクトを進める会社です。SIer(システムの開発を請け負う会社)や、コンサルティング会社がここに入ります。
案件ごとにお客さんが入れ替わるので、いろいろな業界の業務に触れられるのが良いところ。プロジェクトの間はお客さんの会社で作業することが多く、案件が終わると次の現場に移ります。
SIerを規模や成り立ちで比べたいときは、系統ごとに次の3本にまとめています。






パッケージベンダー(ERP製品をつくる会社)
ERPの製品そのものを開発して、売っている会社。製品の機能開発に加えて、導入を支援する部門を持つ会社もあります。
扱う製品が1つに絞られるぶん、その製品に深く詳しくなれるのが強み。海外の製品だけでなく、国産のERPをつくる会社もここに入ります。
国産の製品だと、GRANDIT、オービックのOBIC7、Biz∫などが知られています。矢野経済研究所のレポートの目次にも、「2026年はSAPとオービックが並ぶ予想」という見出しが入っているんです。
出典:矢野経済研究所「2026 ERP市場の実態と展望」(2026年8月27日発刊)の目次。国内のERPライセンス市場についての予測で、シェアの数字は有料のレポートにだけ載っています



私が扱ったERPの求人には、SAPに限らず、国産を含めた何かしらのERP製品の経験があれば応募できるものもありました。SAPだけがERPではないんですよね。
事業会社の情報システム部門(社内SE)
ERPを使う側の会社で、自社のERPを動かし続ける仕事です。導入のときはベンダーと一緒に進め、社内の要望をまとめて伝える役を受け持つことが多いです。
業務部門との距離が近いので、使う人の声を直接聞きながら改善できます。そのぶん、自分で開発するより、ベンダーとの調整や社内の取りまとめが多くなりがち。
「でも、手を動かす仕事からは離れたくないな…」という人は、社内でどこまで開発しているかを確かめておくと安心です。
私なら面接で、配属先が担当している製品と領域(会計・販売など)、入社後1年で担当する工程の2つを聞きます。答えがはっきりしていれば、配属先がもう決まっているサインです。
ERPエンジニアの年収相場


「ERPエンジニア 年収」で調べると、記事ごとに違う数字が出てきて、どれを見ればいいか迷いますよね。国の統計から順に見て、最後に数字が違う理由を整理します。
国の統計(job tag)で見る年収
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)には、職業ごとの年収が載っています。ただ、ERPエンジニアという職業のページはありません。
近いのは「ITコンサルタント」のページで、別名の欄に「ERPパッケージコンサルタント」が入っています。エンジニア寄りの仕事なら、「システムエンジニア(基盤システム)」も比べる候補です。2つを並べると、こうなります。
| 項目 | ITコンサルタント | システムエンジニア(基盤システム) |
|---|---|---|
| job tagの職業分類 | 010-01 | 010-02 |
| 年収 | 889万円 | 889万円 |
| 平均年齢 | 38.3歳 | 38.3歳 |
| 労働時間(月) | 173時間 | 173時間 |
職業分類の番号が違うのに、年収・年齢・労働時間の3つがまったく同じです。
統計データの欄には、job tag自身の注記もあります。「必ずしもその職業のみの統計データを表しているものではありません」というものです。
889万円は、ERPエンジニアを含む、もっと広いIT職の区分の平均として見るのが近いです。
年収の計算方法も、job tagの留意事項に書かれています。6月の月給×12か月に、前の年のボーナスを足した額です。月給は残業代を含み、税金や社会保険料を引く前の額なので、手取りとは違います。
出典:job tag「職業紹介ページに掲載されている『統計データ』に関する留意事項」(2026年8月28日)、厚生労働省「賃金構造基本統計調査で使用されている主な用語の説明」
参考までに、国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」も見てみます。1年を通じて勤めた人の平均給与は478万円、正社員に絞ると545万円でした。調べ方も対象も違うので、889万円と並べて何万円高いとは言えません。
スキルレベル別に見る年収
2つのページには、スキルのレベル別の年収も載っています。レベルは、ITの仕事の力を段階で表す国の物差し(ITSS、ITスキル標準)で区切られています。
| ITSSレベル | ITコンサルタント(企画立案・プロジェクト管理) | SE(基盤システム)(設計・構築) |
|---|---|---|
| レベル1〜2 | 掲載なし | 420万〜620万円 |
| レベル3 | 600万〜900万円 | 450万〜700万円 |
| レベル4 | 650万〜950万円 | 500万〜780万円 |
| レベル5以上 | 700万〜1,100万円 | 600万〜950万円 |
金額の幅は、低い人から並べたときに真ん中の半分の人が入る範囲です。
平均の889万円は同じでも、レベル別の幅は職業で違います。同じレベル3でも、企画やプロジェクト管理の側のほうが高い位置にあります。比べるなら、平均よりこちらの表のほうが手がかりになりそうです。
記事によって年収の数字が違う理由
記事ごとに数字が違うのは、どれかが間違っているからとは限りません。何の数字を集めたかが違うので、そのまま比べられないんです。
| 違いの理由 | 例 |
|---|---|
| 定義が違う | 国の統計は職業分類の平均。求人サイトは求人票に書かれた提示年収。エージェントは自社の利用者の実績 |
| 対象が違う | SAPを扱う人だけか、ERP全体か。コンサル職か、エンジニア職か |
| 雇用形態が違う | 会社員の年収と、フリーランスの月単価×12は別物 |
| 時点が違う | 同じjob tagでも、統計の年が変わると数字が動く |
数字を見るときは、この4つのどれに当たるかを先に確かめると、振り回されにくくなります。



もうひとつ、求人の提示年収には採る側の事情があります。私が担当したERPの求人では、年収のレンジを次の5つの条件で決めていました。
- 上流工程(要件定義など)の経験があるか
- リーダーの経験があるか
- PM・PLの経験があるか
- ERPの経験年数が3年以上あるか
- コンサルタントの業務をしていたか
当てはまる数が多いほど、レンジの上のほうで話が進みやすくなります。同じERPエンジニアの求人でも、ここで提示額に幅が出るわけです。
一方で、応募できるかどうかの線はもっと手前でした。私が担当した求人では、ERPの経験が1年以上、実際には2年くらいあれば話ができました。



応募できる線と、年収のレンジを決める線は別だったんです。必須条件を満たしていても、提示額は経験の中身しだいで変わります。ここは求人票からは見えにくいところですよね。
提示される年収の見当をつけるなら、自分の職務経歴書で5つの条件のうちいくつ書けるかを数えてみるのが早いです。書ける数が多いほど、面接で年収の話もしやすくなります。
今の経験が、ほかの会社で
どう評価されるかを知っておく
人事の立場から言うと、比較対象を持たないまま決めている人が一番損をしています。
直接スカウト登録は無料エンジニア・クリエイターの
実務経験がある方/50歳未満
(未経験の方は対象外)
✓ 求人との相性(マッチ率)を数値で確かめられる
✓ リモート可否・フレックスなど細かい条件で探せる
専門高年収の正社員ポジション実務2年以上のITエンジニア
20代後半〜30代の支援が中心
(学生の方は対象外)
✓ 土曜1日で面接を終えられる1Day選考会がある(参加には事前の面談と書類選考の通過が必要)
✓ ITコンサル・メガベンチャーなど高年収のポジションを扱う
ERPエンジニアの将来性





正直に言うと、ERPの経験がある人は限られていて、Javaエンジニアの募集と比べると応募を集めるのが難しかったです。あくまで私が担当した求人での実感ですけどね。
将来性は、市場の数字、SAPの保守期限、仕事の中身の変化の3つに分けて見ていきます。
国内のERP市場は伸びている
調査会社のITRは、国内のERP市場の売上金額を毎年まとめています。2026年3月に出た数字は次のとおりです。
| 項目 | 数字 | 実績/予測 |
|---|---|---|
| 2024年度の売上金額 | 2,558億円(前年度比18.0%増) | 実績 |
| 2025年度の伸び | 前年度比16.7%増 | 見込み |
| 年平均の伸び(2024〜2029年度) | SaaS 20.0%、パッケージ −0.9% | 予測 |
ITRは伸びた理由として、システムの老朽化と保守契約の終了をきっかけにした入れ替えの需要を挙げています。SaaSは、ネット経由で使うクラウド型のサービスのことです。
別の調査会社も見てみます。矢野経済研究所は、国内のERPライセンス市場が2024年に前年比12.1%増えたと推計しています(2025年9月)。調べ方が違うので金額は比べられませんが、伸びている点は同じです。
SAPの2027年問題と、その先のスケジュール
2027年問題は通称で、SAPの旧製品であるSAP ERP 6.0の標準保守が2027年末で終わることを指します。以前は2025年と言われていましたが、2020年の発表で2027年に延びました。
| 時期 | 何が決まっているか | 主な条件 |
|---|---|---|
| 2027年末まで | SAP ERP 6.0の標準保守 | 最新の3つの拡張パッケージ(EHP)が対象 |
| 2028年〜2030年末 | 延長保守 | 保守料の基準額に2ポイント上乗せ |
| 延長保守の後 | 会社ごとの個別の保守(customer specific maintenance) | 延長保守を選ばない場合は2028年から |
| 2031〜2033年 | SAP ERP, private edition, transition option | 2030年末までにSAPのクラウド環境(private edition)へ移っていること。データベースはSAP HANAだけ。大規模で複雑なシステムを持つ会社向け。2028年から購入できる |
| 2040年末まで | 後継製品S/4HANAの保守 | 少なくとも1つのリリースを保守 |
2031〜2033年のプランについて、SAPは「SAP ERPの保守の延長ではない」と説明しています。オンプレミス(自社のサーバー)で使い続ける会社は、このプランの対象外。2030年より後は、表の「延長保守の後」の扱いのままです。
このプランの条件は、2025年8月にも詳しい内容が追加されました。2028年の販売開始までに、また変わる可能性があります。
ここまでが決まっている事実です。一方で、移行の仕事がいつまで続くかは予測になります。
当面は、古いシステムの移行や作り直しの案件が市場を引っぱる。矢野経済研究所は、レポートの販売ページのFAQでそう見立てています。
「じゃあ、移行が終わったら仕事はなくなるの?」と思った人もいるかもしれません。それを考えるのが、次の仕事の中身の話です。
クラウド化で仕事の中身はどう変わるか
ERPはクラウドに移る流れが進んでいます。矢野経済研究所によると、ERPライセンス市場のうちクラウド型は2024年に65%程度。2026年には7割を超えると予測されています。
クラウド化と一緒に広がっているのが、Fit to Standardという考え方です。足りない機能を作り足すより、業務のほうを製品の標準の機能に合わせていきます。
先ほどのFAQには、この流れでアドオンの収益が減り、サービスの強化で補おうとする会社が多い、とも書かれています。開発の仕事がなくなるわけではありません。ただ、業務の整理や設定、データ移行の比重が上がる可能性はあります。
開発の経験がある人なら、会計や販売など業務の知識を少しずつ足しておくと安心です。アドオンが減っても、設定や移行の側に仕事を広げやすくなります。
面接で2027年以降の案件の見通しを聞いたとき、移行や保守の予定がはっきり出てこない会社もあります。答えがあいまいなら、今の案件が終わったあとで担当する仕事が移る可能性も考えておくと安心です。
ERP・SAPエンジニアが「きつい」「やめとけ」と言われる理由と向き不向き


SAPエンジニアについて調べると、「やめとけ」「きつい」という言葉も目に入ります。
「やっぱり大変な仕事なのかな…」と不安になりますよね。どれも、仕事の仕組みを知ると理由が見えてくる話です。
やめとけと言われる4つの理由
- 止まると会社全体に響くシステムで、責任が重い
- 会計・販売・生産などの業務の知識がいる
- 法律の改正や製品のバージョンアップで、学び続ける必要がある
- 特定の製品に詳しくなるほど、ほかの分野に移りにくいと感じやすい
1つ目の責任の重さは、ERPが会社のお金とモノの流れそのものを扱うからです。止まると、受注や出荷、月末の締めが進みません。障害が起きたときは、時間を問わず対応を求められることがあります。
2つ目は、技術だけでは仕事が進まないことです。会計の領域なら、仕訳や決算の流れが分からないと、お客さんの話についていけません。
3つ目の学び続ける負担は、業務のルールを法律が決めているからです。インボイス制度のように税の仕組みが変われば、ERPの設定や帳票も直す必要があります。製品の新しいバージョンへの移行も、2027年問題のように、くり返しやってきます。



SAPは特定の会社の製品なので、学べる場が少ないんです。だからこそ、自分で勉強して資格を取っている人は、書類で差がつきます。負担に見えるところが、そのまま強みになるんですよね。
4つ目は、キャリアの幅の話です。1つの製品に長く関わるほど、その製品の外で通用するのか不安になる人もいます。
ただ、働く場所の章で触れたとおり、国産を含めて何かしらのERP製品の経験があれば応募できる求人もあります。業務の知識のほうは、製品が変わってもそのまま生かせるんです。
向いている人・向いていない人
4つの理由を裏返すと、合う・合わないの分かれ目が見えてきます。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 会社のお金やモノの流れに興味がある | 技術だけに集中していたい |
| 標準でできない理由や追加開発の費用を、お客さんに説明するのが苦にならない | 人と話し合って決めるより、1人で作り込むほうが好き |
| 1つの分野を長く深めたい | 短い期間でいろいろな技術に触れたい |
| 決まったルールに沿って、正確に進めるのが得意 | 障害や締めの時期の対応が、どうしても負担に感じる |
どちらが良い悪いという話ではありません。右の列に当てはまるものが多くても、配属先の体制しだいで、負担の大きさは違ってくるはずです。
私なら面接で、障害対応の体制(夜間・休日の当番があるか)と、法改正の対応がどのくらいの頻度で来るかを聞きます。この2つの答えで、入社後の忙しさの見当がつきます。
ERPエンジニアのこの先のキャリアと、未経験から目指す道


ERPエンジニアの先にどんな道があるか、そして今の経験からどう入るか。ここでは入り口だけを紹介して、詳しい中身はシリーズの別の記事で扱います。
経験を積んだ後のキャリアの選択肢
- ERPコンサルタント:業務の課題を整理して、ERPでの実現方法を決める側に回る
- PM・PL:導入プロジェクト全体の進み具合や人を取りまとめる
- 製品のスペシャリスト:特定の製品や領域(会計・販売など)を深める
- 社内SE:事業会社に移って、自社のERPを動かす側に回る
- フリーランス:会社に属さず、案件ごとに契約して働く
どの道に進むかで、先に積んでおきたい経験も違います。それぞれの年収やなり方は、次の記事で扱います。


未経験からERPエンジニアを目指せるか
ひとくちに未経験と言っても、今の経験によって入り口は大きく違います。
| 今の経験 | 入り口の考え方 |
|---|---|
| IT経験あり・ERPは未経験 | 開発や運用保守の経験を、ERPの開発や運用につなげる |
| 経理・生産管理などの業務経験あり・ITは未経験 | 業務の知識を強みにして、ITの側に入る |
| ITも業務も未経験 | まずIT職で実務の経験を積むところから |
経歴によって、準備の順番や応募できる求人の探し方に差が出ます。経歴ごとのルートは、次の記事で詳しく扱います。



ERPの求人は経験者向けが多くて、入り口が見えにくいですよね。私が担当したERPの求人でも、ERPもITも未経験という方からの応募はありませんでした。それくらい、今の経験が入り口を決める仕事なんです。


私が扱ったERPの求人は、どれもERP製品か、その周りのシステムの経験を必須にしていました。ERPの求人に応募するなら、今の職場で基幹システム(会計・販売など)やERPに触れる機会を探してみる。それが、いちばん近い入り口だと思います。
よくある質問
- ERPとSAPの違いは何ですか?
-
ERPは、会社の基幹業務のデータをまとめて扱う仕組みの名前です。SAPはドイツのソフトウェア会社の名前で、その会社のERP製品を指して使われることもあります。
ERPの製品はSAP以外にもあり、国産の製品もあります。なお、AWSの資格の略称の「SAP」とは別物です。
- 2027年を過ぎたら、ERPエンジニアの仕事は減りますか?
-
2027年末は、SAP ERP 6.0の標準保守の期限です。延長保守は2030年末まであり、2031〜2033年には条件付きのプランも用意されています。いずれもSAPが公表している期限です。
一方、仕事がどのくらい続くかは見通しの話です。調査会社の矢野経済研究所は、当面は移行や作り直しの案件が市場を引っぱると見ています。
- ERPエンジニアの年収は、ほかのSEより高いですか?
-
国の統計には、ERPエンジニアだけの年収の数字がありません。job tagでは、ITコンサルタントとシステムエンジニア(基盤システム)の年収がどちらも889万円です。
ただ、スキルのレベル別に見ると、金額の幅は職業で違います。そのため、ひとことで高い・低いとは言えません。
まとめ|ERPエンジニアの仕事・年収・将来性
この記事の要点を振り返ります。
- 職種名で求められる経験が違う。筆者が担当した求人では、コンサルタントは導入やPM・PL、エンジニアは開発やERP製品の経験を求めていました。
- 働く場所で仕事の中身が変わる。導入ベンダー・パッケージベンダー・事業会社の3つで、担当する工程と製品の幅が違います。
- 年収は何の数字かを確かめる。job tagの889万円は2つの職業で同じ数字で、筆者の担当求人では提示額を5つの条件で決めていました。
- 保守の期限は事実、需要は予測。SAP ERP 6.0の標準保守は2027年末、延長保守は2030年末までです。
- きつさは配属先しだい。障害対応の体制と法改正対応の頻度を、面接で確かめると見当がつきます。
- 入り口は今の経歴で違う。IT経験がある人と業務経験がある人とで、準備の順番に差が出ます。
ERPエンジニアは、どこでどんな工程を担うかで、仕事の中身も年収も違ってくる仕事です。数字や評判を見て迷うのは、普通のことだと思います。
今日できる小さな一歩を、ひとつだけ置いておきます。気になる求人を3件開いて、仕事内容の欄に書かれた工程(要件定義・開発・保守)を見比べてみる。自分の経験がどこにつながるか、少し見えてくるはずです。



ERPの経験者は、採る側から見てもなかなか集まらない人材でした。基幹システムに触れる経験を少しずつ積めば、そのぶん選べる求人も増えていくはず。焦らなくて大丈夫です。




開発や運用保守の経験を生かして、ERPの求人も含めて自分の市場価値を確かめたい方は、次の2社が比べやすいです。
今の経験が、ほかの会社で
どう評価されるかを知っておく
人事の立場から言うと、比較対象を持たないまま決めている人が一番損をしています。
直接スカウト登録は無料エンジニア・クリエイターの
実務経験がある方/50歳未満
(未経験の方は対象外)
✓ 求人との相性(マッチ率)を数値で確かめられる
✓ リモート可否・フレックスなど細かい条件で探せる
専門高年収の正社員ポジション実務2年以上のITエンジニア
20代後半〜30代の支援が中心
(学生の方は対象外)
✓ 土曜1日で面接を終えられる1Day選考会がある(参加には事前の面談と書類選考の通過が必要)
✓ ITコンサル・メガベンチャーなど高年収のポジションを扱う
