✅ 人事が本音で選んだ|IT転職エージェントおすすめ8選

ユーザー系SIerランキング68社|Tier別一覧と規模・収益性のズレを現役人事が解説

当ページのリンクには広告が含まれています。
すけさん

IT企業で人事・採用を担当しています。書類選考で年間1,000件以上、面接で約200人の方とお会いしています。
ユーザー系SIerで働く方の職務経歴書は、毎年たくさん拝見します。ただ、会社の規模と、その方の実力が一致しないことが本当に多いんです。この記事は、その理由を数字で説明する試みです。

この記事では、各社が公式サイトで公表している会社概要をもとに、68社の売上高・従業員数・決算月を集めました。そのうえで4つのTierに分け、さらに「一人当たり売上高」という指標で並べ直しています。

結果として見えてきたのは、売上1,000億円以上のTier1企業4社が、売上300億円未満のTier4企業に一人当たりで負けているという事実でした。

会社の大きさと、そこで働く一人ひとりが生み出している価値は、別のものです。

数字はすべて2026年8月時点の各社公表値(直近本決算ベース)です。

この記事で分かること
  • ユーザー系SIer68社の売上高と、4段階のTier分類
  • 親会社の業種別(金融・商社・製造・電力・運輸・流通・通信)に見た勢力図
  • 一人当たり売上高で並べ直すと、Tierの順位がどう入れ替わるか
  • 近年、上場廃止・社名変更が相次いだ背景と、応募前に見るべきIR資料
  • 採用担当者が、ユーザー系SIerの方の職務経歴書のどこを見ているか
登録・相談はすべて無料です

その会社が良いかどうかは
他の選択肢を見ないと判断できません

人事の立場から言うと、比較対象を持たないまま決めている人が一番損をしています。

サービス名
特徴・対象
ポイント
公式サイト
迷ったらここ
面談不要登録だけで完結IT・Web実務経験者
50歳未満/未経験は対象外
人事コメント:転職する気が固まっていなくて構いません。今の自分にどんな企業がいくらで声をかけるかを知らないまま条件交渉している人が、一番損をしています。
【市場価値がそのまま分かる】
✓ 企業から直接スカウトが届く
✓ リモート可否・フレックスなど細かい条件で検索できる
✓ 転職を決めていなくても登録できる
10,000件以上(2026年7月時点)実務2年以上のITエンジニア
20代後半〜30代が中心
人事コメント:模擬面接の回数に制限がありません。実績はあるのに面接で伝えきれない人には、ここが一番効きます。
【面談の質に定評】
✓ 志望企業の内情まで踏み込む
✓ 土曜1日で選考が終わる1Day選考会あり
✓ ITコンサル・メガベンチャーの求人が豊富
目次

【早見表】ユーザー系SIer68社のTier分布と結論

まず全体像です。ここだけ読んでも、この記事の要点はつかめるように作りました。

ユーザー系SIer68社のTier別社数と売上レンジ

Tier1からTier4までの社数と売上レンジ

68社を売上高で4つに区切りました。各Tierの社数は17社・14社・20社・17社で、ほぼ均等に分かれています。

Tier売上レンジ社数最上位/最下位
Tier11,000億円以上17社NTTデータグループ 5兆46億円/JR東日本情報システム 1,007億円
Tier2500億〜1,000億円14社ニッセイ情報テクノロジー 966億円/ANAシステムズ 506億円
Tier3300億〜500億円20社かんぽシステムソリューションズ 498億円/農中情報システム 301億円
Tier4300億円未満17社住友電工情報システム 299億円/デンソークリエイト 43億円
出典:各社公式サイトの会社概要ページ(2026年8月時点・直近本決算ベース)

Tier1の下限付近を見ると、大和総研(1,029億円)とJR東日本情報システム(1,007億円)が並んでいます。証券系のシンクタンクと、鉄道会社のIT子会社が同じ層にいる。ユーザー系SIerの幅の広さが、この2社によく表れています。

親会社の業種別に見た68社の分布

ユーザー系SIerは、親会社が何をしている会社かによって、担当するシステムも身につく技術も大きく変わります。業種別に並べると、金融・保険系が19社と最も多くなりました。

親会社の業種社数代表的な企業
金融・保険系19社野村総合研究所、日本総合研究所、ニッセイ情報テクノロジー
製造系12社日鉄ソリューションズ、トヨタシステムズ、コベルコシステム
電力・ガス系13社テプコシステムズ、中電シーティーアイ、オージス総研
運輸・鉄道・航空・物流系11社JR東日本情報システム、ANAシステムズ、ヤマトシステム開発
商社系7社SCSK、伊藤忠テクノソリューションズ、ダイワボウ情報システム
流通・サービス系3社電通総研、両備システムズ、イオンアイビス
通信キャリア系3社NTTデータグループ、NTTコムウェア、NTTテクノクロス
出典:各社公式サイトの会社概要ページ(2026年8月時点)

電力・ガス系が13社ある点は、あまり知られていないかもしれません。

電力会社は10社体制で全国をカバーしてきた歴史があり、各社がそれぞれIT子会社を持っています。

そのため、地方在住のまま安定した環境で働ける選択肢が、実は多く存在します。

この記事の要点
  • 売上規模と一人当たり売上には相関がある。ただし個社では逆転する:
    Tier別の中央値はTier1が5,029万円、Tier4が2,678万円ときれいに下がります。それでもTier1の4社は、Tier4首位の住友電工情報システム(4,475万円)を下回りました。
  • 68社中62社(91.2%)が3月決算:
    親会社の決算期に揃うためです。独立系SIerが8種類の決算月に分かれるのとは対照的で、ユーザー系の親会社との一体性を示す数字です。
  • 上場を維持しているユーザー系SIerは、ごくわずか:
    2015年の三井情報を皮切りに、伊藤忠テクノソリューションズ、SBテクノロジー、NTTデータグループ、SCSKと、大手が次々に上場廃止となりました。会社の位置づけは、親会社の判断で変わります。
採用のウラ側メモ

Tierはあくまで売上規模の目盛りです。採用の現場では、会社の売上高そのものを評価することはありません。見ているのは、その会社でどんな役割を担い、何を任されていたかです。Tier表は志望先を絞る入り口として使い、判断材料は次の章から先で集めてください。

この記事の「ユーザー系SIer」の定義と、68社の選定基準

ランキングを読む前に、何を数えたのかを共有させてください。ここが曖昧だと、社数も順位も意味を持たなくなってしまうためです。

この記事で扱うユーザー系SIer68社の定義(メーカー系・独立系との違い)

メーカー系・独立系との線引き

SIerは一般的に、次の3つに分けて語られます。

  • メーカー系:
    親会社がハードウェアメーカー。富士通、NEC、日立製作所などのグループ会社。
  • ユーザー系:
    親会社が非IT事業会社。金融、商社、製造、流通などの情報システム部門が分社化してできた会社。
  • 独立系:
    特定の親会社を持たず、資本的に独立している会社。

この記事では、親会社が非IT事業会社であることを基準にしました。

そのため、キヤノンITソリューションズやパナソニック インフォメーションシステムズのように、親会社がIT機器メーカーである会社はメーカー系として除いています。また、ビジネスエンジニアリング(旧:東洋ビジネスエンジニアリング)は、2018年に東洋エンジニアリングが保有株式をすべて売却しており、現在は特定の親会社を持たないため対象外としました。

判断に迷った点が3つありますので、正直に書いておきます。

1つ目は通信キャリア系です。NTTデータグループやNTTコムウェアは、親会社が通信事業者であり、厳密には「非IT事業会社の子会社」とは言いにくい立ち位置にあります。ただ、ユーザー系として紹介されることが一般的なため、掲載したうえで業種分類では別枠にしました。

2つ目は野村総合研究所です。野村證券の調査部門を出自とするユーザー系の代表格ですが、現在は野村ホールディングスの出資比率が低く、資本的にはほぼ独立しています。歴史的な経緯を尊重して掲載していますが、実態としては独立系に近い会社だと理解しておくのが正確です。

3つ目は京セラコミュニケーションシステムです。親会社の京セラは複合機なども手がけているため、メーカー系に数える見方もあります。ただ、京セラの事業の中心は電子部品やファインセラミックスで、IT機器メーカーを親会社とする会社とは性格が異なると判断し、ユーザー系として掲載しました。

売上高で区切る理由と、Tierが優劣ではない理由

Tierの区切りには売上高を使いました。多くの会社が公表している数少ない共通指標であり、外から検証できるためです。年収や働きやすさの指標を使わなかったのは、非上場企業では出典をたどれる数字が存在しないからです。

区切りは1,000億円・500億円・300億円としました。独立系SIerの記事では1,000億円・300億円・100億円で区切りましたが、ユーザー系は分布が異なります。300億〜1,000億円のゾーンに34社が密集するため、同じ区切りではTier2に半数が入ってしまうのです。

この密集自体が、ユーザー系の構造を表しています。

独立系が小さく生まれて成長していくのに対し、ユーザー系は最初から親会社の業務量に見合う規模で分社化されるため、中位の帯に集まりやすいのです。

そして大切な点を先に書いておきます。Tierは会社の優劣ではありません。売上300億円の会社が、売上1,000億円の会社より働きやすいことも、技術力が高いことも、年収が高いことも普通にあります。実際、後の章で見るように、一人当たり売上ではTierの順位が入れ替わります。

境界線が便宜的なものであることを示す例を1つ挙げます。

住友電工情報システムの売上高は299億8,300万円で、Tier4の首位です。

1つ上の農中情報システムは約301億5,000万円でTier3の末尾。その差は約1億6,700万円、売上の0.6%ほどにすぎません。線の上下に本質的な違いはないと考えてください。

非上場が多いユーザー系で、数字をどこから取ったか

ユーザー系SIerを調べるうえで、最大の壁がここです。上場企業なら有価証券報告書を見れば済みますが、68社のほとんどは親会社の100%子会社で、提出義務がありません。

そこで、次の順で数字を集めました。

  • 各社公式サイトの会社概要ページ:
    今回の主軸です。ユーザー系は採用活動のために売上高と従業員数を公開している会社が多く、ここが最も確実でした。
  • 上場企業の決算短信・有価証券報告書:
    上場を維持している5社に適用しました。
  • 親会社の有価証券報告書「関係会社の状況」:
    議決権比率の確認に使いました。

この2番目に該当したのは、わずか5社でした。68社のうち上場を維持しているのは7.4%ということになります。

企業名市場区分証券コード
野村総合研究所東証プライム4307
日鉄ソリューションズ東証プライム2327
電通総研東証プライム4812
JFEシステムズ東証スタンダード4832
さくらケーシーエス東証スタンダード4761
出典:日本取引所グループ「その他統計資料 東証上場銘柄一覧」(2026年8月時点)

逆に言えば、残る63社には、有価証券報告書を出す義務がありません。

それでも各社が会社概要で売上高を載せているのは、採用活動のためです。応募者に見てもらう前提で出している数字なので、そこは信頼して読んでよいと考えています。

ただし、68社とは別に6社は数字を掲載できませんでした。これも事実として共有しておきます。

企業名親会社掲載できなかった理由
豊田通商システムズ豊田通商会社方針により売上高を非公開
りそなデジタル・アイりそなホールディングス会社方針により売上高を非公開
あいおいニッセイ同和システムズMS&ADインシュアランスグループ公表値を確認できず
ニトリデジタルベースニトリホールディングス公表値を確認できず
SBテクノロジーソフトバンク2026年4月1日、ソフトバンクに吸収合併され解散
アイシン・インフォテックスアイシン2023年4月1日付で消滅
出典:ソフトバンク「完全子会社であるSBテクノロジー株式会社の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ」、各社公式サイト

もう1つ注意していただきたいのが社名変更です。今回の68社のうち7社が、近年社名を変えていました。旧社名で検索すると古い情報にたどり着いてしまうので、応募前に現在の社名を確認しておくと安心です。詳しくは後の章でまとめます。

採用のウラ側メモ

売上高を公開していない会社が悪いわけではありません。ただ、応募者としては判断材料が減ります。面接では会社側に質問する時間が必ずありますので、事業規模や親会社以外の取引先の割合を、その場で直接聞いてしまうのが確実です。答えられない会社はまずありません。

Tier1:売上1,000億円以上のユーザー系SIer17社

すけさん

Tier1の企業からの応募は、書類を読んでいて安心感があります。ただ、これは会社の名前で評価しているわけではありません。大きな会社ほど、扱っているシステムの規模が大きい。その経験が私たちの求人と重なるかどうかを見ているだけなんです。名前だけで通ることはありません。

売上1,000億円以上の17社です。国内SIer全体で見ても上位に入る規模の会社が並びます。

売上1,000億円以上のTier1ユーザー系SIerの規模

Tier1企業17社の一覧

企業名親会社売上高
NTTデータグループNTT5兆46億円(連結)
ダイワボウ情報システムダイワボウホールディングス約1兆1,000億円
野村総合研究所野村ホールディングス系8,147億円(連結)
伊藤忠テクノソリューションズ伊藤忠商事7,937億円(連結)
SCSK住友商事7,803億円(連結)
日鉄ソリューションズ日本製鉄3,813億円(連結・売上収益)
日本総合研究所三井住友フィナンシャルグループ2,994億4,762万円
トヨタシステムズトヨタ自動車2,616億円
NTTコムウェアNTT2,510億円
みずほリサーチ&テクノロジーズみずほフィナンシャルグループ2,035億3,300万円
電通総研電通グループ1,648億6,500万円(連結)
京セラコミュニケーションシステム京セラ1,499億651万円(連結)
三井情報三井物産1,386億2,500万円
三菱UFJインフォメーションテクノロジー三菱UFJフィナンシャル・グループ1,189億7,733万円
兼松エレクトロニクス兼松1,127億9,101万円(連結)
大和総研大和証券グループ本社1,029億5,600万円
JR東日本情報システム東日本旅客鉄道1,007億円
出典:各社公式サイトの会社概要ページおよび決算資料(2026年8月時点・直近本決算ベース)

数字を読むときの注意点を3つ補足します。

  • NTTデータグループの5兆46億円は持株会社の連結です:
    海外事業を含む数字であり、国内事業会社である株式会社NTTデータとは別法人です。他社と単純比較はできません。
  • ダイワボウ情報システムの約1兆1,000億円は卸売の売上です:
    同社はPCやソフトウェアの流通を主力としており、システム開発を主業とする他社とはビジネスモデルが異なります。
  • 日鉄ソリューションズはIFRS基準の「売上収益」です:
    他社の「売上高」とは厳密には別の概念にあたります。

Tier1に共通する事業構造

17社を眺めていて、はっきりした共通点があります。

親会社グループ向けの仕事だけで1,000億円に届いている会社は、ほとんどありません。

SCSKは住友商事グループ外の顧客が売上の中心ですし、伊藤忠テクノソリューションズも同様です。日鉄ソリューションズは日本製鉄向けの基幹システムを土台にしながら、金融機関や流通業への外販を伸ばしてきました。電通総研も、電通グループ向けだけの会社ではありません。

つまりTier1に入るということは、親会社の外に出て、他社と競争して勝ってきたということです。

転職先として見たとき、この点は重要な意味を持ちます。外販比率が高い会社ほど、提案力や見積り、納期交渉といった経験が積めるからです。

一方で、親会社との距離が近い会社もあります。トヨタシステムズ、NTTコムウェア、三菱UFJインフォメーションテクノロジー、JR東日本情報システムは、グループ内の巨大なシステムを支えることで、この規模に達しています。親会社の事業そのものが大きいため、内販中心でもTier1に届くという構造です。

Tier1企業に中途入社する人の職務経歴の傾向

ここからは採用側の視点です。私はTier1のユーザー系SIerから応募してくださった方の書類を、これまで数多く読んできました。

書類選考にかける時間は、1通あたり1分が目安です。有力な候補だと感じたら2分に延ばしますが、基本はこの範囲で判断します。短いと驚かれるかもしれませんが、これが現実的な時間です。

その1分で見ている順番は、おおよそ次のとおりです。

  • 年齢
  • 転職回数
  • 学歴
  • 社名
  • 在籍期間
  • 写真
  • 職務内容

社名は4番目です。しかも、社名を見て考えているのは「有名かどうか」ではなく「どんなシステムを扱っている会社か」です。Tier1の企業名だけで書類が通ることはありませんし、逆にTier4の企業名だからといって落とすこともありません。

そして最後の職務内容にたどり着いたとき、Tier1出身の方でも評価が分かれます。分かれ目は担当範囲が具体的に書かれているかどうかです。「基幹システムの保守運用」だけでは、規模も役割も分かりません。

採用のウラ側メモ

大きな会社にいた方ほど、担当範囲を書き切れていない職務経歴書が目立ちます。システムの利用者数、関わったベンダーの数、自分が判断していた範囲。この3つを数字で添えるだけで、1分の読み取りやすさがまったく変わります。会社名の知名度より、ここに時間をかけてください。

Tier2:売上500億〜1,000億円のユーザー系SIer14社

Tier2は14社。親会社の基幹システムを抱えながら、外販にも一定の手応えを得ている会社が中心です。

親会社向けと外販の二層構造

Tier2企業14社の一覧

企業名親会社売上高
ニッセイ情報テクノロジー日本生命保険966億3,400万円
テプコシステムズ東京電力ホールディングス793億円
QTnet九州電力731億円
丸紅I-DIGIOホールディングス丸紅約696億円(連結)
三菱総研DCS三菱総合研究所681億円
中電シーティーアイ中部電力584億円
コベルコシステム神戸製鋼所577億4,200万円
JFEシステムズJFEホールディングス574億1,100万円(連結)
NTTテクノクロスNTT572億6,300万円
ヤマトシステム開発ヤマトホールディングス546億7,300万円
関電システムズ関西電力528億5,300万円
日興システムソリューションズSMBC日興証券516億7,737万円
オージス総研大阪ガス514億1,400万円
ANAシステムズANAホールディングス506億円
出典:各社公式サイトの会社概要ページおよび決算資料(2026年8月時点・直近本決算ベース)

丸紅I-DIGIOホールディングスは中間持株会社です。傘下に丸紅情報システムズ、丸紅ITソリューションズ、丸紅ネットワークソリューションズなどを持つため、グループ連結で掲載しました。応募先は個別の事業会社になります。

オージス総研は単体の数字です。グループ各社を単純合算すると1,014億円となりTier1に届きますが、単純合算は連結売上とは異なるため、単体の数字を採用しました。

親会社の基幹系と外販、二層構造の会社が多い

Tier2でよく見られるのが、事業が二層に分かれている構造です。

ニッセイ情報テクノロジーは日本生命の保険基幹システムを担いながら、健康保険組合や自治体向けのパッケージも展開しています。ヤマトシステム開発はヤマトグループの物流システムを土台に、他社の物流・EC分野へ広げてきました。オージス総研も、大阪ガスのシステムを支えつつ、製造業向けの外販を伸ばしています。

転職を考えるうえで大切なのは、自分がどちらの層に配属されるかです。

同じ会社でも、親会社向けの部署と外販の部署では、仕事の性質がまったく違います。

  • 親会社向けの部署:
    長期にわたって同じシステムを深く見る。業務知識が積み上がる。納期や予算の変動が比較的少ない。
  • 外販の部署:
    複数の顧客と技術に触れる。提案や見積りの経験が積める。競合との競争がある。
すけさん

求人票では「ソリューション事業部」「ビジネスソリューション本部」といった名称になっていることが多く、外からは判別しづらいのが実情です。面接で確認するのが確実です。

Tier2出身の方の書類で、私が確認している点

Tier2の会社は、名前を聞いてすぐ事業内容が浮かぶとは限りません。そのため私は、職務経歴書の中に顧客が誰だったかが書かれているかを探します。

「親会社の生産管理システムを担当」と書いてあれば、業務知識の深さが想像できます。「グループ外の製造業3社に対して導入を担当」と書いてあれば、外販の経験があると分かります。どちらも価値がありますが、書かれていないと判断のしようがありません。

意外に思われるかもしれませんが、書類選考では、社名より先に転職回数を見ています。会社の規模ではありません。特に大手企業では、転職回数の上限を採用要件として設定しているケースが実際にあります。5回以下といった形です。ユーザー系SIerは長期在籍の方が多い傾向にあるため、この点で有利に働くことは少なくありません。

採用のウラ側メモ

職務経歴書には、顧客が親会社なのかグループ外なのかを必ず書いてください。守秘義務で社名を出せない場合も「グループ外の金融機関1社」といった書き方で十分伝わります。ここが空白だと、経験の幅を読み手が想像で補うことになり、正しく評価されません。

Tier3:売上300億〜500億円のユーザー系SIer20社

68社中で最も社数が多いのがTier3の20社です。金融、電力、運輸など、親会社の業種も幅広く分布しています。

親会社の業種が幅広いTier3のユーザー系SIer

Tier3企業20社の一覧

企業名親会社売上高
かんぽシステムソリューションズ日本郵政グループ498億600万円
エネルギア・コミュニケーションズ中国電力494億円
STNet四国電力488億4,900万円
SOMPOシステムズSOMPOホールディングス484億6,748万円
SGシステムSGホールディングス479億4,500万円
菱友システムズ三菱重工業432億2,900万円
ジェイアール東海情報システム東海旅客鉄道410億1,400万円
両備システムズ両備ホールディングス404億5,800万円
アイテック阪急阪神阪急阪神ホールディングス402億9,700万円
ティージー情報ネットワーク東京ガス396億4,800万円
明治安田システム・テクノロジー明治安田生命保険388億2,400万円
JALインフォテック日本航空375億5,400万円
第一ライフテクノクロス第一生命ホールディングス368億円
双日システムズ双日366億4,800万円
三井住友トラスト・システム&サービス三井住友トラスト・グループ359億円
スミセイ情報システム住友生命保険350億円
エクサJFEシステムズ・日本アイ・ビー・エム340億4,200万円
東京海上日動システムズ東京海上ホールディングス310億5,900万円
トインクス東北電力301億8,800万円
農中情報システム農林中央金庫約301億5,000万円
出典:各社公式サイトの会社概要ページおよび決算資料(2026年8月時点・直近本決算ベース)

SGシステムの479億4,500万円は単体の数字です。親会社であるSGホールディングスの連結売上と混同されやすいのでご注意ください。

エクサは、JFEシステムズと日本アイ・ビー・エムの合弁会社です。ユーザー系でありながら外資系ベンダーの技術基盤を持つ、やや特殊な立ち位置にあります。

同じTier3でも、担当領域の幅が大きく違う

この層は売上規模が近くても、中身が驚くほど違います。

STNetとエネルギア・コミュニケーションズは、それぞれ四国電力・中国電力の通信事業を担う会社です。データセンターや光回線サービスを運営しており、システム開発だけの会社ではありません。売上に設備型のビジネスが含まれている点は、読み解くうえで押さえておきたいところです。

一方でSOMPOシステムズ、明治安田システム・テクノロジー、第一ライフテクノクロス、スミセイ情報システムは、保険会社の基幹システムを担う会社です。保険という商品の複雑さゆえに、業務知識の蓄積が価値になります。

両備システムズは、この層でやや異質です。両備ホールディングスは岡山を拠点とする運輸・生活関連の企業グループですが、同社は自治体向けシステムに強みを持ち、全国の官公庁を顧客としています。親会社向けの比率が低いユーザー系という点で、独立系に近い性格を持っています。

親会社1社依存か、グループ横断かの見分け方

求人票を見ただけでは、その会社が親会社1社に依存しているのか、グループ全体や外部にも展開しているのかは分かりません。判断するための手がかりを3つ挙げます。

  • 公式サイトの導入事例ページ:
    グループ外の企業名が並んでいれば、外販の実績があります。事例が親会社ばかりなら内販中心です。
  • 親会社の有価証券報告書「関係会社の状況」:
    議決権比率と、親会社との取引の記載を確認できます。EDINETから無料で閲覧できます。
  • 採用ページの募集職種の数:
    営業職や提案営業の募集があれば、外販に力を入れている可能性が高くなります。開発・運用職のみなら内販中心の傾向があります。
すけさん

どちらが良いという話ではありません。
業務知識を深く積み上げたい方には内販中心の会社が合いますし、幅広い技術と顧客に触れたい方には外販比率の高い会社が合います。
自分がどちらを望むかを先に決めてから、会社を選ぶのが遠回りに見えて確実です。

採用のウラ側メモ

面接で志望動機を聞いたとき、公式サイトの導入事例に触れて話される方は印象に残ります。調べた形跡がはっきり分かるからです。逆に企業理念だけを引用した志望動機は、どの会社にも当てはまってしまい、記憶に残りにくくなります。事例ページは志望動機づくりの材料としても有効です。

Tier4:売上300億円未満のユーザー系SIer17社

Tier4は17社。規模は小さくなりますが、この層にこそ注目していただきたい会社が揃っています。理由は次の章で数字とともにご説明します。

売上300億円未満のTier4ユーザー系SIer17社の特徴(景気に左右されにくい・転勤範囲が限られる・特定分野に強い)

Tier4企業17社の一覧

企業名親会社売上高
住友電工情報システム住友電気工業299億8,300万円
三井E&Sシステム技研三井E&S276億円
Qsol九州電力259億円
さくら情報システム三井住友銀行248億6,300万円
さくらケーシーエス三井住友銀行237億円(連結)
JR西日本ITソリューションズ西日本旅客鉄道225億円
ヤマハモーターソリューションヤマハ発動機214億100万円
キッセイコムテックキッセイ薬品工業172億2,500万円
ほくでん情報テクノロジー北海道電力162億2,600万円
東邦ガス情報システム東邦ガス140億5,097万円
信組情報サービス全国信用協同組合連合会系137億3,400万円
北電情報システムサービス北陸電力132億3,000万円
メイテツコム名古屋鉄道119億8,000万円
JR九州システムソリューションズ九州旅客鉄道61億4,400万円
イオンアイビスイオン44億6,000万円
近鉄情報システム近鉄グループホールディングス43億3,800万円
デンソークリエイトデンソー43億円
出典:各社公式サイトの会社概要ページおよび決算資料(2026年8月時点・直近本決算ベース)

規模が小さくても待遇が安定している会社の共通点

Tier4の会社を見ていると、いくつかの共通点が浮かびます。

  • 親会社の事業が景気変動を受けにくい:
    電力、ガス、鉄道、信用組合。ほくでん情報テクノロジー、東邦ガス情報システム、北電情報システムサービス、信組情報サービスがこれにあたります。親会社の情報システムは止められないため、仕事がなくなりません。
  • 地域に根ざしている:
    北海道、北陸、東海、九州。転勤の範囲が限られ、地元で長く働きたい方には現実的な選択肢になります。
  • 特定領域に特化している:
    デンソークリエイトは車載ソフトウェアの開発ツールに、キッセイコムテックは医薬分野のシステムに強みを持ちます。規模は小さくても、その分野では代替が効きません。

売上43億円のデンソークリエイトは、この一覧では最下位です。ただ、デンソーという世界規模の自動車部品メーカーの技術部門を支える会社であり、規模の数字だけでは測れない性格を持っています。

情報開示が少ない会社をどう調べるか

Tier4の会社は、公開されている情報が限られます。口コミサイトの投稿数も少なく、判断材料に困ることがあります。

そんなときは、親会社側の情報を見るのが有効です。

  • 親会社が上場していれば、有価証券報告書に平均年収・平均勤続年数・従業員数が載っています。子会社の水準を推し量る参考になります。
  • 親会社の統合報告書には、グループのDX方針が書かれています。IT子会社への投資姿勢が読み取れます。
  • 親会社のニュースリリースで、子会社への出資比率変更や事業移管が発表されていないかを確認します。

もう1つ、転職エージェントの担当者に聞くという方法があります。過去にその会社へ紹介した実績があれば、選考の傾向や社内の雰囲気を教えてもらえることがあります。私の経験上、実績のあるエージェントは企業側の情報をよく把握しています。

採用のウラ側メモ

規模の小さな会社から応募いただくとき、私は在籍年数の長さを前向きに受け止めています。同じ会社に10年いた方は、環境に馴染む力と、地道に積み上げる姿勢を持っていると考えられるからです。会社が小さいことを引け目に感じる必要はまったくありません。

親会社の業種別に見るユーザー系SIer

ユーザー系SIerを選ぶとき、Tierと同じくらい大切なのが親会社の業種です。金融系と製造系では、同じシステムエンジニアという肩書きでも、日々の仕事がまったく違います。

親会社の業種別に担当するシステムの違い(金融・保険系、商社系、製造系、電力・ガス系、運輸系、流通・サービス系、通信キャリア系)

金融・保険系19社、商社系7社、製造系12社

業種特徴主な企業
金融・保険系勘定系・保険基幹系など、止められないシステムが中心。品質基準と手続きが厳格。業務知識が長期的な資産になる野村総合研究所、日本総合研究所、三菱UFJインフォメーションテクノロジー、ニッセイ情報テクノロジー、SOMPOシステムズ、さくら情報システム
商社系外販比率が高く、提案・見積り・パートナー管理の経験が積める。海外案件に関わる機会もあるSCSK、伊藤忠テクノソリューションズ、ダイワボウ情報システム、三井情報、兼松エレクトロニクス、双日システムズ
製造系生産管理・設計支援・車載ソフトなど、モノづくりに直結。現場との距離が近い日鉄ソリューションズ、トヨタシステムズ、コベルコシステム、菱友システムズ、住友電工情報システム、デンソークリエイト
出典:各社公式サイトの事業紹介ページ(2026年8月時点)

電力・ガス系13社、運輸系11社、流通・サービス系3社、通信系3社

業種特徴主な企業
電力・ガス系社会インフラを支える。通信・データセンター事業を併せ持つ会社が多い。地域密着で転勤範囲が限定的テプコシステムズ、中電シーティーアイ、関電システムズ、オージス総研、STNet、Qsol、トインクス、QTnet
運輸・鉄道・航空・物流系運行管理・予約・物流追跡など、一般利用者が直接触れるシステムに関われるJR東日本情報システム、ジェイアール東海情報システム、ANAシステムズ、JALインフォテック、ヤマトシステム開発、SGシステム
流通・サービス系店舗システムやマーケティング領域。消費者の動きが数字で見える電通総研、イオンアイビス、両備システムズ
通信キャリア系ネットワークと大規模基盤が中心。扱う規模が国内最大級NTTデータグループ、NTTコムウェア、NTTテクノクロス
出典:各社公式サイトの事業紹介ページ(2026年8月時点)

業種によって身につく技術がどう変わるか

採用の場で職務経歴書を読んでいると、業種ごとの色がはっきり出ます。

金融系の方は、品質管理や本番リリースの手順について、非常に丁寧に説明されます。止められないシステムを扱ってきた経験が、そのまま仕事の作法になっているのだと感じます。半面、新しい技術に触れる機会は限られる傾向があります。

商社系の方は、顧客との折衝経験が豊富です。要件を引き出し、費用と納期を調整してきた話が具体的に出てきます。マネージャー職の採用では、この経験が評価されやすくなります。

製造系の方は、現場の業務を理解したうえでシステムを作ってきた方が多い印象です。工場や設計部門と直接やり取りしてきた経験は、業務系システムの開発では強い武器になります。

電力・ガス系の方は、可用性や災害対策への意識が高く、インフラ領域の求人では相性が良くなります。

ここで気をつけたいのは、業種が変わる転職は、想像よりハードルが上がるという点です。

金融系から製造系へ移る場合、システムの作り方は共通していても、業務知識はほぼ一から積み直すことになります。応募時には、技術面での共通点を明確に伝えられるように準備しておくと通過率が変わります。

採用のウラ側メモ

業種をまたぐ応募では、職務経歴書の冒頭に3行の要約を置いてください。使ってきた技術と、担ってきた役割を先に示す形です。業務知識が違っても技術で戦えると伝われば、読み手は続きを丁寧に読みます。この3行の有無で、1分の読まれ方は大きく変わります。

登録・相談はすべて無料です

その会社が良いかどうかは
他の選択肢を見ないと判断できません

人事の立場から言うと、比較対象を持たないまま決めている人が一番損をしています。

サービス名
特徴・対象
ポイント
公式サイト
迷ったらここ
面談不要登録だけで完結IT・Web実務経験者
50歳未満/未経験は対象外
人事コメント:転職する気が固まっていなくて構いません。今の自分にどんな企業がいくらで声をかけるかを知らないまま条件交渉している人が、一番損をしています。
【市場価値がそのまま分かる】
✓ 企業から直接スカウトが届く
✓ リモート可否・フレックスなど細かい条件で検索できる
✓ 転職を決めていなくても登録できる
10,000件以上(2026年7月時点)実務2年以上のITエンジニア
20代後半〜30代が中心
人事コメント:模擬面接の回数に制限がありません。実績はあるのに面接で伝えきれない人には、ここが一番効きます。
【面談の質に定評】
✓ 志望企業の内情まで踏み込む
✓ 土曜1日で選考が終わる1Day選考会あり
✓ ITコンサル・メガベンチャーの求人が豊富

Tier1の4社が、Tier4の会社に一人当たりで負けている

すけさん

「大きい会社のほうが優秀な人が多いですか」と聞かれることがよくあります。私の実感では、そうとは限りません。小さな会社で一人何役もこなしてきた方のほうが、話していて厚みを感じることも多いんです。この章では、その感覚を数字で確かめてみます。

売上高は会社の大きさを表しますが、そこで働く一人ひとりが生み出している価値までは示しません。そこで、売上高を従業員数で割った一人当たり売上高を計算しました。売上高と従業員数を同じ基準(単体どうし・連結どうし)で確認できた36社が対象です。

ユーザー系SIerのTier別一人当たり売上高の中央値(36社)

一人当たり売上高ランキング36社

単体の売上には単体の従業員数を、連結の売上には連結の従業員数を当てて算出しています。

順位企業名Tier一人当たり売上高
1ダイワボウ情報システムTier15億4,808万円
2トヨタシステムズTier17,371万円
3兼松エレクトロニクスTier16,848万円
4STNetTier36,557万円
5QTnetTier26,407万円
6テプコシステムズTier26,349万円
7伊藤忠テクノソリューションズTier16,171万円
8かんぽシステムソリューションズTier35,818万円
9JR東日本情報システムTier15,738万円
10大和総研Tier15,517万円
11三井情報Tier15,110万円
12NTTコムウェアTier15,058万円
13みずほリサーチ&テクノロジーズTier15,000万円
14三菱UFJインフォメーションテクノロジーTier14,924万円
15野村総合研究所Tier14,822万円
16丸紅I-DIGIOホールディングスTier2約4,800万円
17日本総合研究所Tier14,735万円
18エネルギア・コミュニケーションズTier34,656万円
19住友電工情報システムTier44,475万円
20中電シーティーアイTier24,355万円
21三井E&Sシステム技研Tier44,194万円
22SCSKTier13,713万円
23日鉄ソリューションズTier13,710万円
24電通総研Tier13,570万円
25ニッセイ情報テクノロジーTier23,533万円
26京セラコミュニケーションシステムTier13,472万円
27菱友システムズTier33,469万円
28QsolTier43,444万円
29メイテツコムTier42,792万円
30SOMPOシステムズTier32,687万円
31三菱総研DCSTier22,647万円
32イオンアイビスTier42,563万円
33さくらケーシーエスTier42,158万円
34さくら情報システムTier42,089万円
35SGシステムTier31,763万円
36デンソークリエイトTier41,369万円
出典:各社公式サイトの会社概要ページ掲載の売上高・従業員数をもとに算出(2026年8月時点)

36社の中央値は4,566万円で、19位の住友電工情報システム(4,475万円)はそのすぐ下に位置します。売上299億円のTier4企業です。そしてこの会社より下に、Tier1企業が4社並んでいます。SCSK、日鉄ソリューションズ、電通総研、京セラコミュニケーションシステムです。

売上規模では26倍の開きがあるSCSK(7,803億円)と住友電工情報システム(299億円)が、一人当たりでは逆転している。これがTierだけで会社を判断できない理由です。

数値が高い=儲かっている、ではありません

ここで必ず押さえていただきたい注意点があります。

一人当たり売上高が高いことは、そのまま給与の高さや働きやすさを意味しません。

最も分かりやすい例が1位のダイワボウ情報システムです。5億4,808万円は2位のトヨタシステムズ(7,371万円)の約7.4倍です。ただし同社はPCやソフトウェアの卸売を主力とする会社で、商品を仕入れて売る事業構造上、売上高が大きく積み上がります。システム開発の生産性が7倍あるわけではありません。

上位に入った会社を並べると、共通点が見えてきます。

  • 機器・ソフトウェアの販売を持つ会社:
    ダイワボウ情報システム、兼松エレクトロニクス、伊藤忠テクノソリューションズ
  • 通信回線やデータセンターを持つ会社:
    STNet、QTnet、テプコシステムズ、エネルギア・コミュニケーションズ

いずれも人月ではない売上を持っています。上位の顔ぶれは、生産性の高さというより事業構造の違いを表していると読むのが正確です。

逆に下位に並ぶSGシステム、デンソークリエイト、さくら情報システム、さくらケーシーエスは、受託開発と運用の純度が高い会社です。数値が低いことは弱さではなく、人が価値を生む商売をしているという意味になります。ここを取り違えると、会社選びを誤ります。

Tierと一人当たり売上がズレる3つの理由

Tier別に中央値を出すと、実はきれいな階段になります。

Tier一人当たり売上高の中央値
Tier15,029万円
Tier24,578万円
Tier34,063万円
Tier42,678万円
出典:各社公式サイトの会社概要ページ掲載の売上高・従業員数をもとに算出(2026年9月時点、売上高と従業員数を同じ基準で確認できた36社が対象)

つまり平均で見れば、規模が大きいほど一人当たり売上は高いのです。

この事実は否定できません。それでも個社では逆転が起きます。理由は3つあります。

  • 事業構造の違い:
    物販や通信設備を持つ会社は数値が跳ね上がります。規模とは無関係に、商売の形で決まります。
  • 連結範囲の違い:
    グループ会社を多く抱える会社は、連結従業員数が膨らみます。日鉄ソリューションズやSCSKが中位に沈むのは、この影響も含まれています。
  • 内製と外注のバランス:
    協力会社に多くを委ねる会社は自社人員が少なく数値が上がり、内製比率の高い会社は下がります。数値が低い会社ほど、社員が手を動かしている可能性があります。

Tier1企業は16社中4社が中央値より下に入り、Tier4首位の住友電工情報システムは中央値のすぐ下に位置しました。

この結果は、Tierを入り口として使い、最終的には個社を見るべきことを示しています。

採用のウラ側メモ

面接では、一人当たり売上の低い会社の出身者ほど、手を動かした経験を具体的に語れる方が多い印象があります。自分の会社の数値が低くても悲観せず、実際に自分が設計し実装した範囲を丁寧に伝えてください。そこが評価の中心になります。

親会社の資本政策で、ユーザー系SIerの立ち位置は変わる

ユーザー系SIerを選ぶうえで、独立系にはない論点があります。親会社の判断ひとつで、会社の位置づけが変わるという点です。

親会社の資本政策とユーザー系SIerの上場廃止の流れ(2015年以降)

2015年以降に相次いだ上場廃止

かつて東証に上場していたユーザー系SIerの多くが、親会社による完全子会社化で上場廃止となりました。

企業名親会社上場廃止買付総額
三井情報三井物産2015年1月16日約125億円
兼松エレクトロニクス兼松2023年5月2日約748億円
伊藤忠テクノソリューションズ伊藤忠商事2023年12月1日約3,876億円
SBテクノロジーソフトバンク2024年9月6日約282億円
NTTデータグループNTT2025年9月26日約2兆3,700億円
SCSK住友商事2026年3月12日約8,820億円
出典:三井情報「当社株式の上場廃止のお知らせ」、伊藤忠テクノソリューションズ「当社株式の上場廃止に関するお知らせ」、日本取引所グループ「上場廃止等の決定:SBテクノロジー(株)」、ソフトバンク「SBテクノロジー株式会社株券等に対する公開買付けの結果に関するお知らせ」、NTTデータグループ「当社株式の上場廃止のお知らせ」、日本取引所グループ「上場廃止等の決定:SCSK(株)」、住友商事「SCSKに対する公開買付け開始について」、日本取引所グループ「上場廃止銘柄一覧」

6社のうち5社は2023年以降の出来事です。2025年から2026年にかけては、NTTデータグループとSCSKという業界最大級の2社まで上場を離れました。

背景には、東京証券取引所が親子上場の解消を求めてきたことがあります。

親会社と子会社の両方が上場していると、子会社の少数株主の利益が守られにくいという指摘です。企業側にとっても、上場を維持するコストや情報開示の負担がなくなる利点があります。

さらに、法人そのものが消えた例もあります。SBテクノロジーは上場廃止から約1年半後の2026年4月1日、ソフトバンクに吸収合併され解散しました。アイシン・インフォテックスも2023年4月1日付で消滅しています。

働く人にとって、これがすぐ不利益になるとは限りません。むしろ親会社と一体で動けるようになり、投資が加速する場合もあります。ただ、会社の名前も所属も、自分の意思とは関係なく変わりうるという事実は、入社前に知っておくほうが安心です。

社名変更7社が示していること

今回調べた68社のうち、7社が近年社名を変えていました。

旧社名現社名親会社
損保ジャパンシステムズSOMPOシステムズSOMPOホールディングス
九電ビジネスソリューションズQsol九州電力
東北インフォメーション・システムズトインクス東北電力
第一生命情報システム第一ライフテクノクロス第一生命ホールディングス
電通国際情報サービス電通総研電通グループ
みずほ情報総研みずほリサーチ&テクノロジーズみずほフィナンシャルグループ
関電システムソリューションズ関電システムズ関西電力
出典:各社公式サイトの沿革・企業情報ページ(2026年8月時点)

並べてみると、方向性がはっきりしています。SOMPOシステムズ、Qsol、電通総研、第一ライフテクノクロス。いずれも親会社のブランド名に寄せる形で改称しています。ユーザー系SIerは、社名までグループの方針に沿って決まるということです。

実務上も注意が必要です。旧社名で検索すると古い記事や口コミが上位に出てきます。関電システムズのように、社名変更と同時に事業の一部を移管しているケースもあり、その場合は売上規模も変わっています。応募前には、必ず公式サイトで現在の姿を確認してください。

応募前に親会社のIR資料で確認したい3項目

親会社が上場していれば、IR資料から多くのことが読み取れます。応募前に見ておきたいのは次の3点です。

  • 中期経営計画のDX・IT投資に関する記載:
    IT子会社をグループの成長の柱と位置づけているか、コスト部門として扱っているかが読み取れます。前者なら投資も採用も積極的になります。
  • 有価証券報告書の「関係会社の状況」:
    議決権比率が100%か、一部外部資本が入っているかを確認できます。EDINETから無料で閲覧できます。
  • 直近1年のニュースリリース:
    組織再編、事業移管、他社との合弁といった動きが出ていないかを見ます。入社直後に環境が変わる可能性を把握できます。

面接で「弊社について何かご質問はありますか」と聞かれたとき、この3点のどれかに触れた質問ができると、企業研究の深さがはっきり伝わります。

採用のウラ側メモ

親会社の中期経営計画を読んで面接に来られる方は、多くありません。だからこそ、そこに触れられると強く印象に残ります。「御社の親会社が掲げているIT投資方針のなかで、御社はどの領域を担われるのですか」。この一問で、企業研究の深さは十分に伝わります。

ユーザー系SIerへの転職・ユーザー系からの転職

すけさん

ユーザー系SIerの方の面接をしていて、もったいないと感じる場面があります。親会社の話ばかりで、ご自身の話が出てこないときです。私が知りたいのは親会社の事業内容ではなく、その方が何を考えて、何を決めてきたかなんです。

ここからは採用側の視点で、転職の実際についてお話しします。

ユーザー系SIer出身者の面接で人事が見ているポイント

ユーザー系から、どこへ移る人が多いか

私が書類を拝見してきた範囲では、ユーザー系SIerからの転職先は大きく3つに分かれます。

  • 別のユーザー系SIer:
    最も多いパターンです。同じ業種内であれば業務知識がそのまま活き、選考も通りやすくなります。金融系から金融系、製造系から製造系という移り方です。
  • 独立系SIerやコンサルティング会社:
    技術の幅や年収を求めての移動です。ただし内販中心の経歴だと、提案や折衝の経験が問われる場面が出てきます。
  • 事業会社の情報システム部門:
    発注する側に回るパターンです。ユーザー系で培ったベンダー管理の経験が、そのまま活きます。

逆に、ユーザー系SIerへ入ってくる方も同じくらいいます。独立系やSES企業から、安定性や働き方を理由に移ってこられるケースです。

すけさん

1つ正直に申し上げておくと、私自身はユーザー系SIerで働いた経験はありません。ここでお伝えできるのは、あくまで選考する側から見た景色です。社内の実際の雰囲気については、口コミサイトや、その会社で働く方の話を合わせて確認してください。

登録・相談はすべて無料です

その会社が良いかどうかは
他の選択肢を見ないと判断できません

人事の立場から言うと、比較対象を持たないまま決めている人が一番損をしています。

サービス名
特徴・対象
ポイント
公式サイト
迷ったらここ
面談不要登録だけで完結IT・Web実務経験者
50歳未満/未経験は対象外
人事コメント:転職する気が固まっていなくて構いません。今の自分にどんな企業がいくらで声をかけるかを知らないまま条件交渉している人が、一番損をしています。
【市場価値がそのまま分かる】
✓ 企業から直接スカウトが届く
✓ リモート可否・フレックスなど細かい条件で検索できる
✓ 転職を決めていなくても登録できる
10,000件以上(2026年7月時点)実務2年以上のITエンジニア
20代後半〜30代が中心
人事コメント:模擬面接の回数に制限がありません。実績はあるのに面接で伝えきれない人には、ここが一番効きます。
【面談の質に定評】
✓ 志望企業の内情まで踏み込む
✓ 土曜1日で選考が終わる1Day選考会あり
✓ ITコンサル・メガベンチャーの求人が豊富

企業規模より、私が見ているもの

書類選考では、社名より先に年齢や転職回数を確認しています。会社の売上規模を調べることはありません。

そのうえで職務内容を読むとき、ユーザー系の方の書類で特に注目しているのが次の3点です。

  • 自分が判断していた範囲はどこまでか:
    設計を任されていたのか、決まった仕様を実装していたのか。ここが書かれていないと、経験年数だけでは実力が測れません。
  • ベンダーとどう関わっていたか:
    ユーザー系は協力会社と組んで進める場面が多くあります。何社を、何人規模で管理していたかが書いてあると、マネジメントの経験が具体的に伝わります。
  • 技術要素が具体的に書かれているか:
    「基幹システムの運用保守」だけでは何も分かりません。使っていた言語、基盤、データベースまで書いてあると、求人との照合が一瞬でできます。

面接では、すべての転職理由を一つずつ聞くようなことはしません。

まず全体の流れを把握して、そのうえで気になった箇所だけを深掘りします。在籍期間が極端に短い時期があれば、そこは尋ねさせていただきます。

面接で「親会社の名前」から話し始めてしまう方へ

ユーザー系SIerの方に多いのが、自己紹介を親会社の説明から始めてしまうパターンです。

「私は◯◯グループの情報システム子会社に勤めており、親会社は国内シェア1位で……」。気持ちはよく分かります。会社の説明をしないと、担当システムの話が伝わらないと思われるのでしょう。

ただ、面接の時間は限られています。親会社の説明に時間を使うと、ご自身の話をする時間が減ってしまいます。

おすすめの順番は、こうです。

  • まず、自分が担当していたシステムの規模を一言で(利用者数、拠点数など)
  • 次に、そのなかで自分が担っていた役割
  • 最後に、必要であれば親会社との関係を補足

親会社の名前は、あくまで背景情報です。主語を自分に戻すだけで、面接での印象は変わります。

採用のウラ側メモ

自己紹介は1分から2分が目安です。親会社の説明に使ってよいのは、そのうち10秒程度と考えてください。残りはすべてご自身の話に充てる。この配分を意識するだけで、面接官の記憶に残る量がはっきり変わります。

ユーザー系SIerの一覧に関するよくある質問

ユーザー系SIerは、親会社の仕事だけを担当するのですか

会社によって大きく異なります。

SCSKや伊藤忠テクノソリューションズのように、グループ外の顧客が売上の中心という会社もあれば、親会社グループ向けが大半という会社もあります。見分ける手がかりは、公式サイトの導入事例ページです。グループ外の企業名が並んでいれば外販の実績があると判断できます。営業職の募集があるかどうかも参考になります。

Tierが下のユーザー系SIerは避けたほうがいいですか

その必要はありません。

今回の集計では、Tier4の住友電工情報システム(一人当たり売上4,475万円)が、Tier1のSCSK・日鉄ソリューションズ・電通総研・京セラコミュニケーションシステムの4社を上回りました。売上規模は会社の大きさを示す指標であって、働きやすさや年収を直接示すものではありません。Tierは志望先を絞る入り口として使い、最終判断は個別の会社を調べたうえで行うのが確実です。

親会社が完全子会社化すると、働く環境は変わりますか

すぐに大きく変わるとは限りません。

上場廃止によって開示の負担がなくなり、親会社と一体で投資を進めやすくなる面もあります。ただ、経営の意思決定が親会社側に寄ることや、将来的に組織再編・吸収合併の対象になる可能性は考えておく必要があります。実際にSBテクノロジーは2024年に完全子会社化されたのち、2026年4月に吸収合併され解散しています。応募前に親会社の中期経営計画と直近のニュースリリースを確認しておくと安心です。

まとめ|Tierは優劣ではなく、候補を絞るための目盛りです

ユーザー系SIer68社を、売上高で4つのTierに分けてきました。最後に要点を整理します。

記事のまとめ
  • Tier1が17社、Tier2が14社、Tier3が20社、Tier4が17社:
    300億〜1,000億円の帯に34社が集まります。親会社の業務量に見合う規模で分社化されるという、ユーザー系特有の構造です。
  • 一人当たり売上では、Tier1の4社がTier4の会社を下回りました:
    平均で見れば規模と相関しますが、個社では逆転します。Tierは入り口であって、結論ではありません。
  • 68社中62社(91.2%)が3月決算:
    親会社に揃うためです。イオンアイビスの2月期も、親会社イオンの決算期と一致しています。
  • 親会社の判断で、上場も社名も変わります:
    2015年以降に大手6社が上場廃止となり、7社が社名を変更しました。応募前には必ず現在の社名と資本関係を確認してください。

採用の現場から申し上げると、書類選考で会社の売上高を調べることはありません。見ているのは、その方がどんな役割を担い、何を判断してきたかです。会社の規模は、経歴を理解するための背景情報にすぎません。

すけさん

Tierの表は、志望先の候補を洗い出すために使ってください。そのうえで、公式サイトの導入事例、親会社のIR資料、実際に働く方の声。この3つを重ねていけば、自分に合う会社が見えてきます。
この記事が、その最初の一歩になれば嬉しいです。

登録・相談はすべて無料です

その会社が良いかどうかは
他の選択肢を見ないと判断できません

人事の立場から言うと、比較対象を持たないまま決めている人が一番損をしています。

サービス名
特徴・対象
ポイント
公式サイト
迷ったらここ
面談不要登録だけで完結IT・Web実務経験者
50歳未満/未経験は対象外
人事コメント:転職する気が固まっていなくて構いません。今の自分にどんな企業がいくらで声をかけるかを知らないまま条件交渉している人が、一番損をしています。
【市場価値がそのまま分かる】
✓ 企業から直接スカウトが届く
✓ リモート可否・フレックスなど細かい条件で検索できる
✓ 転職を決めていなくても登録できる
10,000件以上(2026年7月時点)実務2年以上のITエンジニア
20代後半〜30代が中心
人事コメント:模擬面接の回数に制限がありません。実績はあるのに面接で伝えきれない人には、ここが一番効きます。
【面談の質に定評】
✓ 志望企業の内情まで踏み込む
✓ 土曜1日で選考が終わる1Day選考会あり
✓ ITコンサル・メガベンチャーの求人が豊富
目次