「インフラエンジニアになりたいけど、資格が多すぎてどれから取ればいいかわからない…」 「運用保守の現場から抜け出したいけど、どの資格があれば構築・設計に上がれるの?」
こんな悩みを抱えている方は、きっと多いのではないでしょうか。
インフラエンジニア向けの資格は国家資格からベンダー資格まで数十種類もあり、調べれば調べるほど「自分の場合はどれを優先すべきなのか」が見えにくくなってしまう方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、採用する側=人事の目線から、各資格が実際にどう評価されているのかという切り口で情報を整理しました。「おすすめ資格」を知るだけでなく、”その資格を取ると採用現場でどう見られるのか“まで踏み込んでお伝えします。
すけさんこの記事では、現役IT人事の視点から、インフラエンジニアが本当に取るべき資格とその順番を、キャリアレベル別にロードマップ形式で解説します。
- インフラエンジニアに資格は本当に必要なのか、人事がどう見ているかのリアルな実態
- レベル別(未経験〜スペシャリスト)のおすすめ資格14選と、それぞれの受験料・難易度・学習時間の目安
- 国家資格とベンダー資格の違いと、人事がどちらを重視しているか
- あなたの状況に合った「資格ロードマップ」の選び方(3パターン)
- 資格を年収アップ・転職成功につなげるための具体的なコツ
- 2027年IPA試験制度改革がインフラ系資格に与える影響
【結論】インフラエンジニアの資格ロードマップ早見表


まずは、「結局どの資格をどの順番で取ればいいのか」の結論をお伝えします。詳しい解説は後半でしていきますので、まずは全体像をつかんでください。
レベル1:未経験からインフラエンジニアを目指す人
| 資格名 | 種別 | 受験料(税込) | 学習時間目安 |
|---|---|---|---|
| ITパスポート | 国家資格 | 7,500円 | 100〜150時間 |
| 基本情報技術者試験 | 国家資格 | 7,500円 | 200〜300時間 |
| CompTIA A+ | ベンダーニュートラル | 約52,000円(2科目) | 120〜180時間 |
レベル2:現場1〜2年目で取るべきインフラ基礎資格
| 資格名 | 種別 | 受験料(税込) | 学習時間目安 |
|---|---|---|---|
| CCNA | ベンダー資格 | 46,860円 | 200〜300時間 |
| LinuC レベル1/LPIC-1 | ベンダーニュートラル | 33,000円(2科目) | 150〜250時間 |
| AWS認定クラウドプラクティショナー | ベンダー資格 | 16,500円 | 40〜80時間 |
レベル3:運用保守から構築・設計に上がるための資格
| 資格名 | 種別 | 受験料(税込) | 学習時間目安 |
|---|---|---|---|
| CCNP Enterprise | ベンダー資格 | 約109,000円(2科目) | 300〜500時間 |
| LinuC レベル2/LPIC-2 | ベンダーニュートラル | 33,000円(2科目) | 200〜350時間 |
| AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト | ベンダー資格 | 22,000円 | 100〜200時間 |
| 応用情報技術者試験 | 国家資格 | 7,500円 | 300〜500時間 |
レベル4:スペシャリスト・上流を目指す人
| 資格名 | 種別 | 受験料(税込) | 学習時間目安 |
|---|---|---|---|
| ネットワークスペシャリスト試験 | 国家資格 | 7,500円 | 400〜600時間 |
| 情報処理安全確保支援士 | 国家資格 | 7,500円 | 300〜500時間 |
| AWS認定ソリューションアーキテクト – プロフェッショナル | ベンダー資格 | 44,000円 | 200〜300時間 |
| Azure/GCP認定資格 | ベンダー資格 | 各12,500〜26,500円程度 | 100〜200時間 |
※受験料は2026年4月時点の情報です。ベンダー資格は為替や改定により変動することがあります。
この表を見てお気づきの方もいるかもしれませんが、国家資格の受験料は一律7,500円なのに対して、ベンダー資格は数万〜10万円超と大きな開きがあります。
この「受験料の差」は、資格選びの意外な盲点です。詳しくは次のセクションで解説します。
インフラエンジニアに資格は本当に必要なのか?──人事のホンネ


「インフラエンジニアに資格はいらない」という意見を目にすることがあります。たしかに、資格がなくてもインフラエンジニアとして働くこと自体は可能です。
しかし、採用の現場を見ていると、資格の有無が合否を左右する場面は確実に存在します。ここでは、人事の目線から資格の評価リアルをお伝えします。
「資格不要」の求人でも人事は資格欄を見ている
求人票に「資格不問」と書いてあっても、書類選考の段階で資格欄はほぼ必ずチェックされています。
特に未経験者の採用では、「この人を育てるのにどのくらいコストがかかるか」を人事は常に考えています。資格を持っている人は、「少なくとも基礎知識はある=教育コストが低い人材」として評価されやすいのです。
実際に経済産業省の調査によると、2030年には最大約79万人のIT人材が不足すると予測されています(出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」)。



人気企業は「すぐに戦力になれる人」を求めており、資格は「即戦力の可能性」を示す手がかりになります。
即戦力採用ができない企業は1から研修で教えてくれる場合もあります。
国家資格とベンダー資格、プロジェクトの現場と人事はどちらを重視するか
プロジェクトの現場ではベンダー資格のほうが実務直結として評価される傾向があります。



人事側は汎用性の高い国家資格を持っている方が、昇格試験や履歴書を確認する際に評価が高くなる傾向があります。
ただし、ここには大事な背景があります。
国家資格(基本情報・応用情報など)の特徴:
- 受験料が7,500円と安い
- 出題範囲が広く、IT全般の体系的な知識が身につく
- 合格すれば永久に有効(更新不要)
- 社内の昇進・昇格要件として設定されている企業が多い
ベンダー資格(CCNA・AWS認定など)の特徴:
- 受験料が高い(CCNAは約47,000円、CCNPは2科目で約11万円)
- 出題範囲は特定製品・サービスに絞られており、実務に直結する
- 有効期限が3年間で、更新が必要
- 会社の受験費用サポートがないと、個人では受けにくい
とはいえ、国家資格の「体系的な基礎力の証明」としての価値も依然として大きく、どちらか一方だけでなく、組み合わせて持っているのがベストです。
人事が警戒する「資格コレクター」の特徴
資格は持っていれば持っているほど良い…と思われがちですが、実は人事が警戒するパターンもあります。
それは、実務経験が浅いのに資格だけがずらりと並んでいるケースです。
たとえば、実務経験1年なのにCCNA、LinuC、AWS CLF、基本情報、ITパスポート…と5つも6つも書いてあると、「この人は資格の勉強ばかりしていて、実務で手を動かしていないのでは?」という印象を持たれることがあります。



「ネットワーク系に進みたいからCCNAを取り、次にCCNPを目指している」というストーリーがあれば、資格がキャリアの方向性を裏付ける武器になります。
ベンダー資格の受験料は本当に高いです。CCNPを2科目受けるだけで約11万円。会社が費用を負担してくれるかどうかで、取得のハードルは大きく変わります。転職先を選ぶ際は、資格取得支援制度の有無も必ず確認してください。
【レベル1】未経験からインフラエンジニアを目指す人向けの資格3選





IT業界が完全に未経験という方は、まず「ITの基礎体力」をつけることが最優先です。ここで紹介する3つの資格は、いずれも実務経験がなくても挑戦できる入門レベルの資格です。
ITパスポート──IT知識ゼロの人が最初に取得しても良い資格
ITパスポートは、経済産業省が認定する国家資格の中で、最もやさしいレベルに位置付けられている試験です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主催 | 情報処理推進機構(IPA) |
| 受験料 | 7,500円(税込) |
| 試験形式 | CBT方式(随時受験可能) |
| 合格率 | 約50〜60% |
| 学習時間目安 | 100〜150時間 |
| 有効期限 | なし(永久有効) |
出題範囲はIT技術だけでなく、経営戦略やプロジェクトマネジメントなど幅広い分野をカバーしています。IT業界の「共通言語」を身につけるという意味で、最初のステップとしては最適です。



ただし正直に言うと、ITパスポートだけではインフラエンジニアの採用選考でアドバンテージにならないのが実情です。
あくまで「IT知識ゼロからの脱出」が目的であり、ここをクリアしたら速やかに次の資格に進みましょう。


基本情報技術者試験──書類選考の「足切りライン」をクリアする
基本情報技術者試験(FE)は、ITエンジニアとしての基礎力を幅広く証明できる国家資格です。
ITSSレベル2に相当し、多くの企業で「エンジニアとしての最低限の証明」として認知されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主催 | 情報処理推進機構(IPA) |
| 受験料 | 7,500円(税込) |
| 試験形式 | CBT方式(随時受験可能) |
| 合格率 | 約40〜50% |
| 学習時間目安 | 200〜300時間 |
| 有効期限 | なし(永久有効) |
アルゴリズムやプログラミング、データベース、ネットワークなど、IT全般の知識を問われます。インフラに特化した試験ではありませんが、「IT全般の基礎がわかっています」という証明として、書類選考で一定の効果があります。
未経験からの転職であれば、ITパスポートを飛ばしていきなり基本情報技術者試験に挑戦するのがおすすめです。受験料が同じ7,500円なので、コストパフォーマンスの面でもおすすめです。



ただし難しすぎて何も分からない。合格できそうにないと感じた場合はまずはITパスポートの取得を目指しましょう。
CompTIA A+──海外ベンダー系で唯一の入門資格
CompTIA A+は、アメリカの業界団体CompTIAが認定するベンダーニュートラルな資格で、ハードウェアやOS、ネットワーク、セキュリティなどITの基礎を幅広く学べます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主催 | CompTIA |
| 受験料 | 約52,000円(Core 1・Core 2の2科目合計) |
| 試験形式 | CBT方式(随時受験可能) |
| 合格率 | 非公開(海外データでは約60〜70%程度) |
| 学習時間目安 | 120〜180時間 |
| 有効期限 | 3年(更新制度あり) |
学べる内容は実務寄りで良い資格ですが、日本の採用現場での認知度はまだ高くないのが正直なところです。
外資系企業やグローバル展開を視野に入れている方には意味がありますが、国内企業への転職が目的であれば、基本情報技術者試験やCCNAを優先したほうが効果的です。
未経験の方には”基本情報技術者試験+CCNA(またはLinuC)”の2つを推奨しています。ITパスポートだけでは弱く、基本情報で基礎力を見せつつ、ベンダー資格で”インフラを志望している本気度”をアピールするのが、書類選考を通過しやすい組み合わせです。
【レベル2】現場1〜2年目で取るべきインフラ基礎資格3選





インフラエンジニアとして現場に入ったら、まず取りたいのがこの3つです。いずれも「この人はインフラの基礎ができている」と客観的に証明できる資格であり、次のキャリアステップに進むための土台になります。
CCNA──ネットワークエンジニアの登竜門
CCNA(Cisco Certified Network Associate)は、世界最大手のネットワーク機器メーカーであるシスコシステムズが認定する資格です。
ネットワークエンジニアの登竜門として、日本のインフラ業界では最も知名度が高い資格のひとつです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主催 | シスコシステムズ |
| 受験料 | 46,860円(税込)※為替により変動 |
| 試験形式 | CBT方式(随時受験可能) |
| 合格率 | 非公開(推定25〜30%程度) |
| 学習時間目安 | 200〜300時間 |
| 有効期限 | 3年(更新制度あり) |
ネットワークの基礎、ルーティング、スイッチング、セキュリティの基礎、自動化の基礎など、ネットワークエンジニアに必要な知識が体系的にカバーされています。
注意点は受験料の高さです。2022年の改定で約47,000円まで値上がりしており、不合格になった場合の再受験にも同額がかかります。
会社の資格取得支援制度がある場合は、積極的に活用しましょう。
また、CCNAには3年間の有効期限があります。期限が切れると履歴書に記載できなくなるため、更新計画も合わせて考えておく必要があります。


LinuC レベル1/LPIC-1──サーバー系を目指すならまずこれ
LinuC(リナック)およびLPIC(エルピック)は、Linuxの操作スキルを認定する資格です。インフラエンジニアが扱うサーバーの多くはLinuxで動いているため、サーバーエンジニアやクラウドエンジニアを目指す方には必須級の資格です。
| 項目 | LinuC レベル1 | LPIC-1 |
|---|---|---|
| 主催 | LPI-Japan | LPI(国際) |
| 受験料 | 16,500円×2科目=33,000円(税込) | 16,500円×2科目=33,000円(税込) |
| 試験形式 | CBT方式 | CBT方式 |
| 学習時間目安 | 150〜250時間 | 150〜250時間 |
| 有効期限 | 5年 | 5年 |
LinuCは日本市場向けに最適化された試験、LPICはグローバルに通用する国際資格です。どちらを選ぶかは、キャリアの方向性次第で決めて問題ありません。
CCNAと比べると受験料が約33,000円と少し安く、有効期限も5年と長いので、コストパフォーマンスは優秀です。


AWS認定クラウドプラクティショナー──クラウド時代の新定番
AWS認定クラウドプラクティショナー(CLF)は、AWSクラウドの基礎的な知識を証明する入門レベルの資格です。
近年のクラウド移行プロジェクトの増加に伴い、インフラエンジニアの間で急速に人気が高まっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主催 | Amazon Web Services |
| 受験料 | 16,500円(税込) |
| 試験形式 | CBT方式(随時受験可能) |
| 合格率 | 非公開(推定70〜80%程度) |
| 学習時間目安 | 40〜80時間 |
| 有効期限 | 3年 |
AWSの主要サービス、セキュリティ、料金体系などの基本概念が問われます。学習時間が40〜80時間と比較的短く、受験料も16,500円とベンダー資格にしてはリーズナブルなので、最初のクラウド資格として非常に取り組みやすいのが魅力です。
2025年1月時点で、世界のAWS認定保持者は105万人を超えています(出典:AWS公式サイト)。クラウドスキルの需要は今後も拡大していくことが確実であり、早めに取得しておいて損はありません。
最近の採用現場では、CCNA+AWS CLFの組み合わせを持っている候補者が増えてきました。ネットワークとクラウドの両方の基礎がわかっていることが伝わるので、書類選考では非常に好印象です。逆に、CCNAだけだと”オンプレ専門の人かな”と思われることもあります。
【レベル3】運用保守から構築・設計に上がるための資格4選





インフラエンジニアとして1〜3年の実務経験を積んだ方が、運用保守から構築・設計へのステップアップを目指すフェーズです。ここで紹介する資格は、いずれも「上流工程で活躍できる力がある」ことを証明するものです。
CCNP Enterprise──構築案件にアサインされるための武器
CCNP Enterpriseは、CCNAの上位資格であり、大規模ネットワークの設計・構築・トラブルシューティングの能力を証明します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主催 | シスコシステムズ |
| 受験料 | コア試験62,480円+コンセントレーション試験46,860円=約109,000円(税込) |
| 試験形式 | CBT方式 |
| 学習時間目安 | 300〜500時間 |
| 有効期限 | 3年 |
注意すべきは受験料の高さです。2科目合計で約11万円かかるため、個人で負担するのはかなりの覚悟が必要です。会社が受験費用をサポートしてくれるかどうかで、取得のハードルが大きく変わります。
しかし、CCNPの価値は非常に高く、持っているだけで構築案件にアサインされやすくなるという声は多いです。ネットワークエンジニアとしてキャリアを伸ばしたい場合は、取得がおすすめです。
LinuC レベル2/LPIC-2──設計フェーズで信頼される証明
LinuC レベル2(またはLPIC-2)は、Linuxのシステム管理やサーバー構築に関する実践的な知識を証明する中級資格です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主催 | LPI-Japan(LinuC)/ LPI(LPIC) |
| 受験料 | 16,500円×2科目=33,000円(税込) |
| 試験形式 | CBT方式 |
| 学習時間目安 | 200〜350時間 |
| 有効期限 | 5年 |
Linuxサーバーの構築・運用で求められる高度なスキル(ファイルシステム管理、ネットワーク設定、セキュリティ設定など)が問われます。サーバーの設計・構築に携わるうえで、「この人に任せて大丈夫」と思ってもらえる証明になります。
AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト──クラウド設計力の証明
AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト(SAA)は、AWS上でのシステム設計・構築に関する実践的な知識を証明する資格です。AWS認定資格の中で最も人気が高く、取得者数も多い代表的な資格です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主催 | Amazon Web Services |
| 受験料 | 22,000円(税込) |
| 試験形式 | CBT方式 |
| 合格率 | 非公開(推定50〜60%程度) |
| 学習時間目安 | 100〜200時間 |
| 有効期限 | 3年 |
AWSの多様なサービスを組み合わせたアーキテクチャ設計、セキュリティ、コスト最適化などが出題されます。クラウド移行プロジェクトが急増している昨今、この資格の市場価値は年々上がっていると感じます。
受験料が22,000円と、CCNPなどに比べればずっと手が届きやすいのも大きなメリットです。
応用情報技術者試験──上流工程に関わるための国家資格
応用情報技術者試験(AP)は、ITSSレベル3に相当する国家資格で、基本情報技術者試験の上位に位置します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主催 | 情報処理推進機構(IPA) |
| 受験料 | 7,500円(税込) |
| 試験形式 | 年2回(春期・秋期)の筆記試験 |
| 合格率 | 約20〜25% |
| 学習時間目安 | 300〜500時間 |
| 有効期限 | なし(永久有効) |
出題範囲は非常に広く、IT技術だけでなくマネジメントやストラテジの分野も含まれます。受験料がたったの7,500円で永久有効という点は、ベンダー資格にはない大きなメリットです。
社内の昇進・昇格要件として「応用情報技術者以上」を設定している企業は多く、長期的なキャリア形成を考えるなら取っておいて損のない資格です。


中途採用の面接で、応用情報技術者試験を持っている方は”地に足のついた基礎力がある”という印象を受けます。一方でAWS SAAを持っている方は”最新トレンドにもキャッチアップできている”という印象です。両方持っている方は、かなり強い候補者として社内で推しやすいです。
【レベル4】スペシャリスト・上流を目指す人向けの資格4選





ここからは、プロジェクトマネージャーやスペシャリストとして上流工程で活躍したい方向けの資格です。難易度は高いですが、取得できれば市場価値は大きく向上します。
ネットワークスペシャリスト試験──NW領域の最高峰国家資格
ネットワークスペシャリスト試験(NW)は、ITSSレベル4に相当する高度な国家資格です。ネットワーク領域における設計・構築・運用に関する専門的な知識と応用力が問われます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主催 | 情報処理推進機構(IPA) |
| 受験料 | 7,500円(税込) |
| 試験形式 | 年1回(春期のみ)の筆記試験 |
| 合格率 | 約14〜17% |
| 学習時間目安 | 400〜600時間 |
| 有効期限 | なし(永久有効) |
合格率が約15%前後と非常に低く、年1回しか受験できないため、取得の難易度は高めです。
しかし、受験料が7,500円で永久有効という圧倒的なコストパフォーマンスと、国家資格としての信頼性の高さが大きな魅力です。
情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)──セキュリティ人材の需要は求人倍率50倍超
情報処理安全確保支援士(登録セキスペ、SC)は、サイバーセキュリティに関する高度な知識と技術を認定する国家資格です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主催 | 情報処理推進機構(IPA) |
| 受験料 | 7,500円(税込) |
| 試験形式 | 年2回(春期・秋期)の筆記試験 |
| 合格率 | 約20%前後 |
| 学習時間目安 | 300〜500時間 |
| 有効期限 | 資格自体は永久有効 (ただし「登録」には更新費用あり) |
レバテックの調査によると、セキュリティ領域の有効求人倍率は50倍を超えたと報告されています(出典:レバテック「セキュリティが転職求人倍率1位に」)。つまり1人の求職者に対して50件以上の求人がある、極端な売り手市場です。
セキュリティ人材の不足は今後も続く見込みであり、インフラエンジニアがセキュリティ方面にキャリアを広げるなら、この資格は非常に強力な武器になります。
AWS認定ソリューションアーキテクト – プロフェッショナル──クラウドアーキテクトへの道
AWS認定ソリューションアーキテクト – プロフェッショナル(SAP)は、AWSにおける最上位レベルの設計資格です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主催 | Amazon Web Services |
| 受験料 | 44,000円(税込) |
| 試験形式 | CBT方式 |
| 学習時間目安 | 200〜300時間(SAA取得済みの場合) |
| 有効期限 | 3年 |
複雑な要件を持つシステムの設計、コスト管理、移行戦略など、クラウドアーキテクトとしての総合力が問われます。クラウドエンジニアとしてのキャリアを極めたい方にとっての最高到達点のひとつです。
Azure / GCP認定資格──マルチクラウド時代のキャリア戦略
AWS一強と思われがちなクラウド市場ですが、Microsoft AzureやGoogle Cloud Platform(GCP)のシェアも着実に拡大しています。
| 資格 | 受験料 | 備考 |
|---|---|---|
| Azure Fundamentals(AZ-900) | 約12,500円 | Azure入門レベル |
| Azure Administrator(AZ-104) | 約26,500円 | Azure管理者向け |
| Google Cloud Digital Leader | 約13,200円 | GCP入門レベル |
| Professional Cloud Architect | 約26,400円 | GCP設計者向け |
企業のクラウド戦略は「マルチクラウド」に向かう傾向が強まっており、AWSだけでなくAzureやGCPの知識も持っている人材は希少です。すべてを取る必要はありませんが、AWS+Azureの組み合わせは市場価値を大きく引き上げます。
正直、レベル4の資格を持っている候補者はそう多くありません。特にネットワークスペシャリスト+AWS SAPの両方を持っている方は、社内で”ぜひ採りたい”という声が上がるレベルの希少人材です。ここまで到達できれば、転職時の年収交渉でもかなり有利に進められます。
【状況別】あなたに合った資格ロードマップの選び方





「全部の資格を順番に取ればいい」というわけではありません。あなたの現在の状況によって、最適なルートは異なります。ここでは3つのパターンに分けてロードマップを提示します。
完全未経験からインフラエンジニアに転職したい人
未経験からの転職で最も大切なのは、「資格を完璧に揃えてから動く」のではなく、最低限の証明ができたら実務経験を積み始めることです。
- まず基本情報技術者試験で、IT全般の基礎力があることを証明する
- 次に、目指す方向に応じてCCNA(ネットワーク系)かLinuC レベル1(サーバー・クラウド系)のどちらかを取得する
- この段階で転職活動を開始する(残りの資格は入社後に取得でOK)
「まだ足りない気がする…」と感じて資格を増やし続ける方がいますが、未経験者は”資格1〜2つ+即転職”がもっとも効率的です。1日でも早く実務経験を積んだほうが、キャリアの伸びは速くなります。
運用保守の現場から構築・設計に上がりたい人
運用保守から構築・設計へステップアップするためには、「この人は構築を任せられる」と思ってもらえる資格が必要です。
- まだCCNAやLinuC レベル1を持っていなければ、まずここを取得する
- ネットワーク系ならCCNP、サーバー系ならLinuC レベル2に挑戦する
- 並行してAWS SAAを取得し、クラウドの設計力もアピールする
特にCCNPを持っていると、構築案件へのアサイン率が大きく上がるという話は現場からもよく聞きます。受験料は高いですが、投資に見合ったリターンが期待できます。
オンプレからクラウドエンジニアに転向したい人
すでにオンプレ環境での実務経験がある方は、クラウドの基礎→設計→上級と段階的にステップアップするのが王道です。
- まずAWS CLFでクラウドの基本概念を体系的に整理する
- 次にAWS SAAで設計・構築の知識を深める
- さらにキャリアを伸ばすなら、AWS SAPやAzure・GCPの認定にも広げる
オンプレの知識があることは大きなアドバンテージです。ネットワーク、サーバー、セキュリティの基本がわかっている分、クラウド資格の学習はスムーズに進むはずです。
未経験者の転職で一番もったいないのは、”資格を全部揃えてから転職しよう”と考えて1年以上足踏みしてしまうケースです。採用側は資格の数よりも、”若さ”と”ポテンシャル”を見ています。資格1〜2つ取ったら、すぐに転職活動を始めてください。
資格取得を年収アップ・転職成功につなげるコツ


資格を取ること自体は手段であり、目的ではありません。資格を「持っているだけ」で終わらせず、キャリアアップに活かすコツを3つ紹介します。
資格手当の相場と活用法
IT企業の多くは、資格取得者に対して月額の資格手当や一時金(合格報奨金)を支給しています。
一般的な資格手当の相場:
- ITパスポート:手当なし
- 基本情報技術者試験:月額2,000〜3,000円程度
- 応用情報技術者試験:月額5,000円程度
- ネットワークスペシャリスト:月額10,000〜30,000円程度
- 情報処理安全確保支援士:月額10,000〜30,000円程度
※金額は企業規模や業種によって大きく異なります
転職先を検討する際は、資格手当の金額だけでなく、受験費用の補助制度があるかどうかも必ず確認しましょう。
履歴書・職務経歴書で資格をアピールする書き方
資格欄には正式名称と取得年月を記載するのが基本ですが、それだけでは他の候補者との差別化になりません。
- 職務経歴書の自己PR欄で、資格取得の動機とキャリアビジョンをセットで書く
- 「CCNA取得(2025年10月)」だけでなく、「ネットワーク設計・構築のスキルを体系的に習得するため取得。今後はCCNPの取得を通じて構築フェーズでの貢献を目指す」のようにストーリー性を持たせる
- ベンダー資格の有効期限内であることを示す(「有効期限:2028年10月」など)
詳しい書き方は、履歴書・職務経歴書の書き方ガイドもあわせてご覧ください。




面接で資格について聞かれたときの答え方
面接では「なぜこの資格を取ったんですか?」と聞かれることが多いです。
ポイントは、実務経験と資格学習を結びつけて語ることです。「資格の知識が実務のどこで活きたか」を具体的に伝えられると、説得力が格段に上がります。
面接で資格について話すとき、“落ちた経験”をポジティブに語れる人は意外と評価が高いです。”最初は不合格でしたが、弱点を分析して再挑戦し合格しました”という話は、粘り強さと課題解決力のアピールになります。
【2027年に要注意】IPA試験制度改革でインフラ系資格はどう変わる?





2027年度に予定されているIPAの情報処理技術者試験の制度改革は、インフラエンジニアの資格戦略にも影響を与える可能性があります。
新試験区分とインフラエンジニアへの影響
IPAは現在、情報処理技術者試験の制度改革を進めています。具体的には、試験区分の再編や出題内容の見直しが議論されています。
インフラエンジニアに関連が深い試験区分としては、ネットワークスペシャリスト試験や情報処理安全確保支援士試験がありますが、これらがどのように再編されるかは現時点で確定していません。
ただし、クラウドやセキュリティの重要性が増している流れを踏まえると、試験内容がよりクラウド寄り・セキュリティ寄りにシフトする可能性は十分にあります。
今から取っておくべき資格、様子見でよい資格
2027年の改革を見据えたうえでの判断としては、以下のように考えることをおすすめします。
今から取っておいて問題ない資格:
- 基本情報技術者試験・応用情報技術者試験(合格は永久有効なので、制度が変わっても資格自体の価値は維持される)
- CCNA、LinuC、AWS認定資格(ベンダー資格はIPAの制度改革とは無関係)
動向を注視しつつ判断する資格:
- ネットワークスペシャリスト・情報処理安全確保支援士(試験内容が変わる可能性があるが、現行制度で合格しても資格は有効。取得を先延ばしにする理由にはならない)
結論として、制度改革を待つ理由は基本的にありません。現時点で取れる資格は早めに取得し、改革後は新制度に対応していくのが最善の戦略です。
IPA試験制度改革の詳細については、IPA試験制度改革2027の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。


よくある質問(Q&A)
- インフラエンジニアの資格は独学でも取得できますか?
-
はい、十分に可能です。
多くの資格は参考書やオンライン学習サイト(Ping-t、Udemy、AWS Skill Builderなど)を活用すれば独学で合格できます。特にITパスポートや基本情報技術者試験は、独学での合格者が大多数です。
ただし、CCNPやAWS SAPなどの上位資格になると、実機やハンズオン環境での練習が重要になるため、研修プログラムやスクールの活用も選択肢に入れてみてください。
- CCNAとLinuC、どちらを先に取るべきですか?
-
目指す方向性によって判断しましょう。
- ネットワークエンジニアを目指すなら → CCNAが先
- サーバーエンジニアやクラウドエンジニアを目指すなら → LinuCが先
どちらの方向性も決まっていない場合は、まずCCNAを取ることをおすすめします。ネットワークの知識はインフラエンジニアのどの分野に進んでも必要になるため、汎用性が高いからです。
- 資格なしでもインフラエンジニアに転職できますか?
-
転職は可能ですが、資格があったほうが選択肢は広がります。
「未経験歓迎」の求人でも、同じスキルレベルの候補者が2人いた場合、資格を持っている人のほうが選ばれやすいのは事実です。特にSIerやSES企業では、クライアント先に人材を提案する際に「保有資格」が判断材料になるケースが多く、資格があることで配属先の選択肢が広がります。
まとめ
この記事では、インフラエンジニアにおすすめの資格14選を、キャリアレベル別のロードマップ形式で紹介しました。
- インフラエンジニアに資格は必須ではないが、書類選考や面接での評価に確実に影響する
- 国家資格は受験料が安く永久有効、ベンダー資格は実務直結だが受験料が高く更新が必要。両方をバランスよく取るのがベスト
- 資格は「数」より「一貫性」が大事。キャリアの方向性に沿った資格選びを意識する
- 未経験者は「資格1〜2つ+即転職」が最も効率的。資格を完璧に揃えてからでは遅い
- ベンダー資格の受験料は高額。転職先の資格取得支援制度は必ず確認する
- 2027年のIPA試験制度改革を待つ必要はなし。今取れる資格は今のうちに取る
資格はあくまでキャリアを前に進めるための手段です。あなたの現在の状況と目指す方向を明確にしたうえで、最も効果的な1つを選んで、まず動き出してみてください。
その一歩が、インフラエンジニアとしてのキャリアを大きく変えるきっかけになるはずです。



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