組み込みエンジニアの年収を調べると、サイトによって数字がバラバラで戸惑いますよね。500万円前後と書く記事もあれば、700万円という数字も出てきます。
「結局、自分の年収は高いの?低いの?」と、モヤモヤしたまま検索をやめてしまう人もいると思います。
数字がずれるのは、どれかが間違っているからではありません。誰の年収を集めたデータなのか、集計の対象になった人たちが違うからです。
この記事では、組込み・制御系エンジニアの選考に関わってきた現役IT人事の立場で、年収データの読み方を整理します。企業が提示年収を決めるときに見ている経験や、求人倍率とSDVから見た将来性もあわせて解説します。
すけさん組み込みエンジニアの書類選考や面接に関わっていると、車載や家電の受託開発で経験を積んできた方の経歴をよく目にします。年収はどこで何を任されてきたかで大きく変わる世界なんですよね。まずは数字の読み方から整理していきます。
- 組み込みエンジニアの仕事内容と、制御系との違い
- 平均年収が578.5万円・496万円・約700万円とずれる理由
- 年収を分ける4つの要素(働く場所・工程・分野・役割)
- 人事が提示年収を決めるときに見ている5つの経験
- 有効求人倍率4.26とSDVから見た将来性
- 年収を上げたいときの5つの選択肢
組み込みエンジニアとは|仕事内容と制御系との違い
組み込みエンジニアは、家電や自動車の中にある小さなコンピューター(マイコン)を動かすソフトを作る仕事です。厚生労働省の職業情報サイトjob tagでは、「システムエンジニア(組込み、IoT)」として紹介されています。
家電・車載・産業機器・医療機器を動かすソフトを作る仕事
たとえばエアコンなら、センサーで室温を読み取り、設定温度に近づくよう冷やす力を調整します。リモコンの操作を受け取るのも、中にあるマイコンのソフトです。
活躍の場は家電だけではありません。
- 家電:エアコン、洗濯機、テレビなど
- 車載:エンジンやブレーキの制御、カーナビ、運転支援など
- 産業機器:工場のロボット、工作機械、搬送装置など
- 医療機器:検査装置、患者モニターなど
開発言語はC言語系が中心で、ハードウェアに近い部分ではアセンブラを使うこともあります。使えるメモリや処理時間に限りがある中で、決められた動きを確実にこなすソフトを書くのがこの仕事の特徴です。


「組み込み」と「制御系」の違い(求人ではほぼ一括り)
組み込みは、機器の中に入れて動かすソフトという作り方に注目した呼び名です。制御系は、モーターやセンサーを思いどおりに動かすという役割に注目した呼び名です。
実際には重なる部分が大きく、求人票では組込み・制御系とまとめて書かれることがほとんどです。厚生労働省の職業分類でも、ソフトウェア開発技術者(組込・制御系)という1つの区分になっています。
この記事でも、2つを分けずに組み込みエンジニアとして話を進めます。
働く場所は4タイプ(メーカー本体/メーカー系子会社/受託開発・技術者派遣/SIer・IT企業の組込み部門)
同じ組み込みエンジニアでも、どこに所属しているかで仕事の範囲が変わります。年収の決まり方に関わるのが、商流(発注元から何社目で仕事を受けているかという流れ)での位置です。
| 働く場所 | 主な仕事の範囲 | 商流での位置 |
|---|---|---|
| メーカー本体 | 製品の企画・仕様決めから設計・評価まで | 仕事を発注する側 |
| メーカー系子会社 | 親会社の製品の設計・開発・評価 | 親会社から直接受ける側 |
| 受託開発・技術者派遣 | 開発の一部(設計・実装・テストなど) | メーカーや子会社から受ける側(2社目以降のこともある) |
| SIer・IT企業の組込み部門 | 機器とサーバー・アプリをつなぐ開発も担当 | 案件によって発注側・受注側の両方 |
商流の下にいくほど、間に入る会社の取り分が増えます。同じ仕事でも、本人に届くお金が少なくなりやすい構造です。



私が見ている応募書類でも、所属は受託開発の会社という方が多いです。受託だから不利ということはありません。同じ受託でも任されている範囲は人によって違うので、そこを書類でどう見せるかで評価が分かれます。


求人票の組込み・制御系という言葉だけで決めないのがコツです。配属先の製品分野と、その会社が商流のどこにいるかを面接で確かめておくと安心です。入社後に思っていた仕事と違った、というズレを減らせます。
組み込みエンジニアの平均年収|データごとに数字が違う理由
組み込みエンジニアの平均年収は、見るデータによって500万円前後から700万円ほどまで開きがあります。どれが正しいかを探すより、それぞれ誰の年収なのかを知るほうが役に立ちます。



人事の立場から見ると、平均年収はあくまで真ん中の目安なんです。同じ年齢でも、経験の中身しだいで提示できる金額はけっこう変わります。まずは数字の出どころを押さえておくと、自分の立ち位置が見えやすくなりますよ。
| データ | 平均年収 | 集計の対象 |
|---|---|---|
| job tag(厚生労働省) | 578.5万円 | 令和7年賃金構造基本統計調査を加工。プログラマーなどと共通の数字 |
| doda 平均年収ランキング2025(組み込み/制御設計) | 496万円 | 2024年9月〜2025年8月のdoda登録者(全体で約60万人) |
| doda 2024年度版 決定年収レポート(技術職(組み込みソフトウェア)) | 539万円 | dodaのエージェントサービスで転職が決まった人への提示年収 |
| JAC Recruitment | 約700万円 | JACが転職を支援した組み込みエンジニア |
jobtagは578.5万円。ただし組込みだけの数字ではない
job tagの組込みエンジニアのページでは、賃金(年収)は578.5万円、平均年齢は37.1歳です。令和7年賃金構造基本統計調査を加工した国の数字なので、信頼度は高めです。
ただ、同じ578.5万円がプログラマーとソフトウェア開発(パッケージソフト)のページにも表示されています。job tag自身も、統計データはその職業だけの数字とは限らないと注記しています。
この数字は、ソフトウェア開発の仕事全体の目安として見るのが合っています。
ネット上では557.6万円という数字もよく見かけます。こちらは以前の調査年をもとにした表示で、2026年10月時点のjob tagでは578.5万円に更新されています。
doda 496万円・JAC 約700万円。差が出るのは母集団が違うから
dodaの496万円は、転職サービスに登録した人の年収です。登録したばかりの若手や、転職を考え始めたばかりの人も含まれます。
JACの約700万円は、JACが転職を支援した人の平均です。JACは管理職や専門職など、ミドル〜ハイクラスの転職支援に強いエージェントです。ボリュームゾーンは約550万〜850万円と公表されています。
同じdodaでも、転職が決まった人への提示年収(決定年収)は539万円でした。期間や職種の区切りが少し違うので単純には比べられませんが、採用が決まった人の年収は登録者全体より高めに出ています。
「じゃあ、自分はどの数字と比べればいいの?」と思いますよね。
- 今の年収が相場からずれていないか知りたい:job tagとdodaの平均年収
- 転職でどこまで狙えるか知りたい:dodaの決定年収とJACの数字
目的に合わせて、比べる数字を選ぶと迷いにくくなります。


自分の年収と比べるときは、同じ年代・同じ働き方の数字を選ぶのがコツです。求人票の年収レンジも、ひとつの母集団として並べて見ると、相場の幅がつかみやすくなります。
年収を分ける4つの要素
平均年収は目安にすぎません。実際の年収は、次の4つの組み合わせで決まる部分が大きいと感じています。
- 働く場所:メーカー本体か、受託・派遣か
- 担当工程:テスト中心か、設計・要件定義まで持つか
- 分野:車載・医療など安全規格が絡むか
- 役割:リーダーやマネジメントの経験があるか



人事の目線でいうと、経験年数そのものより、その年数で何を任されてきたかのほうが気になります。年数は同じでも、中身は人によってまったく違うからです。4つの要素で自分の経歴を分けてみると、強みが見つかりやすいですよ。
働く場所(メーカー本体か、受託・派遣か)
メーカー本体は、製品の売上から開発費を出す側です。受託・派遣の会社は、その仕事の一部を受けて対価をもらう側になります。
間に入る会社が多いほど、同じ仕事でも本人に届くお金は少なくなりがちです。メーカー系かどうか、何社目で受けているかで、年収の上限が変わってきます。
参考になるのが、パーソル総合研究所の調査(2020年9月実施)です。業種別のITエンジニアの平均年収は、製造業と金融・保険業で700万円を超えていました。組み込みだけの数字ではありませんが、メーカー側の年収が高めに出る一例です。
メーカー系の会社の見分け方は、メーカー系の会社の選び方をまとめた記事で詳しく解説しています。


担当工程(テスト中心か、設計・要件定義まで持つか)
上流(要件定義や設計など、開発の最初のほうの工程)を任されるほど、代わりのきかない人になっていきます。テスト中心の経歴と比べて、評価に差がつきやすいところです。
任される範囲と年収の関係は、job tagのスキルレベル別データが参考になります。ITSS(ITスキル標準)という、ITエンジニアの力を7段階で表す物差しを使った調査です。
| スキルレベル(目安) | 年収(真ん中の半数が入る範囲) |
|---|---|
| レベル1〜2:先輩の指導を受けながら担当する | 420万〜620万円 |
| レベル3:自分の力で担当できる | 450万〜700万円 |
| レベル4:専門分野で後輩を指導できる | 500万〜780万円 |
| レベル5以上:社内外で技術をリードする | 600万〜950万円 |
レベルが上がるほど、年収の範囲が全体に上へずれていきます。テストから設計へ、設計からリーダーへと任される範囲を広げることが、年収の伸びにつながりやすい形です。
なお、この金額はプログラマーなどのページにも同じものが載っています。組み込みに限らない、IT職全体の目安と考えると分かりやすいです。
分野(車載・医療など安全規格が絡む領域)
車載や医療機器のソフトは、不具合が人の命に関わります。そのため、決められた安全の規格に沿って開発したことを、記録で示しながら進める必要があります。
よく知られているのは、車の機能安全の規格(ISO 26262)や、医療機器ソフトの規格(IEC 62304)です。job tagの調査でも、組込みエンジニアの83.0%が各種規格への準拠の確認を行っていると答えています。
規格に沿った開発を経験している人は多くありません。私も書類選考では、車載ソフトの開発経験を大きなプラスとして見ています。
役割(リーダー・マネジメント経験)
4つ目は役割です。メンバーとして手を動かしてきたのか、チームをまとめてきたのかで、提示できる年収の幅が変わります。
私が提示年収を考えるとき、最初に確認するのがマネジメント経験です。正式な役職がなくても、サブリーダーとして進捗や品質を見てきた経験は評価の対象になります。


職務経歴書では、工程(設計・実装・テスト)と役割(メンバー・サブリーダー)を案件ごとに書き分けるのがおすすめです。4つの要素がそろって見えると、人事も提示年収の根拠を社内で説明しやすくなります。
人事は組み込みエンジニアの提示年収をどう決めているか



年収の話は、応募する側からはなかなか聞きにくいですよね。だからこそ、人事が何を見て金額を決めているかを先に知っておくと、面接や条件の話し合いの準備がずっと楽になります。ここでは私が実際に見ていることをお話しします。
中途採用の提示年収は、求人ごとに年収レンジ(下限から上限までの幅)が決まっています。そのレンジのどこに置くかを、経歴を見て決めるのがよくある流れです。
提示額を左右する5つの経験
私が組み込みエンジニアの年収レンジを決めるときは、次の5つの経験を見ています。
| 見ている経験 | 書類や面接で確かめること |
|---|---|
| ①マネジメント経験 | チームをまとめ、メンバーの育成や評価に関わったか |
| ②リーダー・サブリーダー経験 | 進捗や品質をまとめる立場だったか |
| ③組み込み開発での開発経験 | どの製品分野で、どの工程を担当してきたか |
| ④組み込み以外の開発経験 | アプリやインフラなど、別の領域にも触れているか |
| ⑤言語や資格の勉強経験 | 業務の外で何を学び、どう続けているか |
上の2つは役割、下の3つは技術の幅に関わる経験です。どれか1つで決まるものでもありません。組み合わせで見ています。
同じ求人でも提示額が変わる経歴の違い
たとえば、同じ求人に2人が応募したとします。経験年数はどちらも同じという、架空の例です。
| 項目 | Aさん | Bさん |
|---|---|---|
| 担当工程 | 単体・結合テストが中心 | 詳細設計から結合テストまで |
| 役割 | メンバー | サブリーダー |
| 組み込み以外の経験 | なし | Pythonでテスト用のツールを自作 |
| 勉強・資格 | 特になし | 基本情報技術者を取得 |
Bさんは、5つの経験のうち4つに当てはまります。同じ求人でも、提示額はレンジの上の方に置きやすくなります。
Aさんの経験が足りないわけではありません。テストで何を見つけ、どう改善につなげたかを書ければ、見え方は変わってきます。
提示額が出たあとの伝え方は、年収交渉のやり方を解説した記事でまとめています。


希望年収との差が大きい職種
パーソル総合研究所の調査(2020年9月実施)では、希望年収と実際の年収の差も調べています。組み込み/IoTエンジニアの差は174.1万円で、ITエンジニア全体の150.1万円を上回りました。
職種別では、セキュリティエンジニアに次いで2番目に大きい差でした。同じ調査では、希望との差が大きいほど転職を考える気持ちが強まる傾向も示されています。
6年前の調査なので、数字は今と同じではありません。それでも、組み込みエンジニアが自分の年収に納得しにくい状況は、データにも出ていたわけです。


希望年収は、今の年収ではなく、5つの経験のどれに当てはまるかを根拠に伝えると通りやすくなります。根拠のある希望額なら、人事もレンジの上限を社内で相談しやすくなります。
組み込みエンジニアの将来性|求人倍率とSDVから見る需要



この先も組み込みで食べていけるのか、転職を考えるときにいちばん気になるところだと思います。採用する側から見ると、組み込みは求人を出しても応募が集まりにくい職種のひとつなんですよね。その実感とデータを並べてみます。
将来性は、いま求人がどれだけあるかという事実と、この先どうなるかという見通しに分けて見ていきます。
有効求人倍率4.26:プログラマーとの差
有効求人倍率は、仕事を探している人1人に対して求人がいくつあるかを表す数字です。1を超えると、人より仕事のほうが多い状態です。
| job tagの職業 | 有効求人倍率 | 求人賃金(月額) |
|---|---|---|
| システムエンジニア(組込み、IoT) | 4.26 | 35.6万円 |
| ソフトウェア開発(パッケージソフト) | 2.54 | 36.4万円 |
| プログラマー | 0.98 | 33.9万円 |
組込みは4.26で、求職者1人あたり4件以上の求人がある計算です。プログラマーは0.98で、1件を下回っています。
さきほどの年収(578.5万円)は3つとも同じでしたが、求人倍率と求人賃金は職業ごとに違う数字が出ています。需要の差は、こちらのほうがはっきり見えます。
ただし、これはハローワークに出た求人だけの数字です。転職サイトやエージェントの求人は含まれないので、倍率の大きさよりも、ほかの職種との差に注目すると分かりやすいです。
SDV時代に制御系ソフトの価値が上がる理由
SDVは、ソフトウェア・デファインド・ビークルの略です。経済産業省の定義では、制御系ソフトウェアを後から更新できるOTA機能を持つ車両のことです。OTAは、通信でソフトを書き換える仕組みを指します。
スマホが更新で新しい機能を得るように、車も買ったあとに機能が良くなる時代になりつつあります。その中心にあるのが、エンジンやブレーキ、モーターを動かす制御系のソフトです。
政府はモビリティDX戦略で、2030年・2035年にSDVの世界販売台数で日系シェア3割という目標を掲げています。2025年3月には、経済産業省と自動車技術会がSDV開発に必要なスキルを整理したSDVスキル標準も公表しました。
ここからは見通しの話です。経済産業省の推計では、SDV開発のソフトウェア人材が足りなくなる見込みです。不足数は2025年に約3.3万人、2030年に約5.1万人とされています。
推計なので、この通りになるとは限りません。それでも、国が目標と人材不足の両方を数字で示している分野はそう多くありません。
「採りたくても採れない」採用現場の実態
採用する側の実感としても、組み込みエンジニアは採りたくても採れない職種です。いちばんの理由はシンプルで、そもそも応募が少ないんです。
もうひとつは立地です。開発拠点が愛知など地方にあることも多く、住む場所を変えにくい方からの応募は集まりにくくなります。
データにも同じ傾向が出ています。dodaの決定年収レポートでは、技術職(組み込みソフトウェア)の決定年収が2024年度に539万円となりました。
前年度から15万円上がり、職種別の上昇幅で1位です。その前の年度も14万円上がっていて、2年で29万円の上昇でした。
レポートでは、経験者が少なく、待遇の良い今の職場にとどまる人が多いことも背景に挙げられています。job tagにも、この分野のエンジニアは他社へ移ることが比較的少ないと書かれています。
「オワコン」と言われる理由と実態
それでもネット上では、組み込みはオワコン(もう終わった分野)と言われることがあります。多重下請けで年収が上がりにくい、古い開発環境が残っていて技術が広がらない、といった声です。
商流の深い現場では、そう感じる場面もあると思います。ただ、ここまで見てきた求人倍率や決定年収の伸びからは、仕事そのものが減っていく流れは見えません。
大変さや向き不向きの話は、別の記事で詳しく解説する予定です。


求人倍率が高い職種でも、年収が上がるのは即戦力として見てもらえる人です。今の担当製品と工程を書き出し、車載やSDVの求人が求める経験と重なる部分を探しておくと、次の一手を選びやすくなります。
人事から見た「評価が上がる組み込みエンジニア」



書類を見るとき、私は経歴の中からハードウェアに近い仕事をまず探しています。組み込みならではの経験がどこにあるかが分かると、面接で深く聞きたいこともはっきりするんです。
書類選考で最初に見ている経験
組み込みエンジニアの書類で、私が最初に確認するのは次の4つです。
- C言語・C++・アセンブラを使った開発経験
- 何かしらのエンジニアとしての実務経験
- 下回り(ハードウェアに近い領域)の経験
- マネジメント経験
これに加えて、マイコン制御やリアルタイムOS、車載ソフトの開発経験があると大きなプラスです。リアルタイムOSは、決められた時間内に処理を終わらせることを優先するOSのことです。
職務経歴書に、使ったマイコンやOS、担当した製品の分野まで書いてあると判断しやすくなります。社外秘で製品名を書けないときは、車載のブレーキ制御のように分野と機能で書けば十分伝わります。
面接で見送りが多いパターン
面接で見送りになることが多いのは、組み込みに行きたい理由が曖昧なケースです。
「志望動機って、毎回うまく言えないんだよな…」と感じる人もいると思います。
たとえば、ものづくりが好きだからという答えだけで止まると、なぜWebや業務系ではなく組み込みなのかが伝わりません。理由は立派でなくて大丈夫です。
今の仕事のどの場面で手応えを感じたのか、次にどの製品分野で何をしたいのか。この2つを自分の経験とつなげて話せれば十分です。


志望動機は、これまでの経験、今の関心、入社後にやりたいことを1文ずつ書くと曖昧さが消えます。書いたものを面接の前に一度声に出して話してみるのがおすすめです。
年収を上げたい組み込みエンジニアの選択肢



選択肢が並ぶと、どれかを選ばなきゃと焦ってしまいますよね。迷うのは普通のことで、今の会社でできることから考えても大丈夫だと思います。私なら、自分の経歴に近いものから眺めてみます。
年収を上げる道は、大きく分けて5つあります。向いている人と、年収への効き方を表にまとめました。
| 選択肢 | 向いている人 | 年収への効き方 |
|---|---|---|
| 今の会社でリーダー・上流を取りに行く | 今の製品や職場が好きな人 | 社内の評価・昇格で少しずつ上がる |
| メーカー側・商流の浅い会社へ移る | 受託・派遣で経験を積んできた人 | 会社の給与水準そのものが変わる |
| 車載・SDV領域へ寄せる | 制御やリアルタイム処理の経験がある人 | 需要の強い分野で評価されやすい |
| 業務系SI・Web系へ移る | 組み込み以外の開発にも興味がある人 | 分野が変わるためいったん下がることもある |
| 資格で基礎力を示す | 経験を形で示しにくい人 | 単独より実務経験とセットで効く |
今の会社でリーダー・上流を取りに行く
転職だけが選択肢ではありません。今の現場でサブリーダーや設計を任せてもらえれば、それがそのまま次の転職でも強みになります。
上司に、次の案件では設計から関わりたいと伝えるだけでも、任される範囲が変わることがあります。
メーカー側・商流の浅い会社へ移る
受託や派遣で経験を積んできた人にとって、年収が大きく変わりやすいのがこの選択肢です。同じ仕事をしていても、会社の給与水準そのものが変わるからです。
メーカー本体だけでなく、メーカー系の子会社や、メーカーから直接仕事を受ける会社も候補になります。求人票の年収レンジと、商流のどこにいる会社かを並べて比べると、違いが見えてきます。
会社の見分け方は、メーカー系の会社の選び方をまとめた記事も参考になります。
組み込みの求人は、拠点の地域や製品分野で絞り込まないと見つけにくいことがあります。ITエンジニアの転職に強いエージェントを使うと、条件の近い求人を比べやすくなります。
今の経験が、ほかの会社で
どう評価されるかを知っておく
人事の立場から言うと、比較対象を持たないまま決めている人が一番損をしています。
直接スカウト登録は無料エンジニア・クリエイターの
実務経験がある方/50歳未満
(未経験の方は対象外)
✓ 求人との相性(マッチ率)を数値で確かめられる
✓ リモート可否・フレックスなど細かい条件で探せる
専門高年収の正社員ポジション実務2年以上のITエンジニア
20代後半〜30代の支援が中心
(学生の方は対象外)
✓ 土曜1日で面接を終えられる1Day選考会がある(参加には事前の面談と書類選考の通過が必要)
✓ ITコンサル・メガベンチャーなど高年収のポジションを扱う
車載・SDV領域へ寄せる
家電や産業機器で制御の経験がある人は、車載の求人でも経験を活かしやすいです。リアルタイム処理や通信の経験は、製品分野が変わっても共通する部分が多いからです。
SDVスキル標準は公開されています。どんな経験が求められているかを一度眺めておくと、今の経験との重なりが見えてきます。
業務系SI・Web系へ移る(C言語経験の活かし方)
組み込みから、業務系SIやWeb系へ移る人もいます。私はこうした応募を見るとき、C言語の経験をプラスに受け取っています。
C言語は、JavaやPythonと比べて基本になる要素が多い言語だと感じています。だからこそ、ほかの言語へのキャッチアップもしやすいと見ています。
ただ、分野が変わるので、最初の年収は今と同じか、いったん下がることもあります。業界ごとの違いはSIer・コンサル・Web系の違いを解説した記事で整理しています。


資格で基礎力を示す
経験を補う材料になるのが、IPAのエンベデッドシステムスペシャリスト試験です。組み込み分野の高度な試験で、知識の広さを第三者にも分かる形で示せます。
なお、現行の試験制度は2026年度の実施で終わり、2027年度から新しい制度に移る予定です。今後の扱いは、エンベデッドシステムスペシャリスト試験の再編を解説した記事にまとめています。
資格は単独で見るより、実務経験とセットで見ることがほとんどです。経験を裏づける材料として使うのが合っています。


転職するかを決める前に、5つの選択肢から今の自分に合うものを1つ選び、必要な経験を書き出してみるのがおすすめです。足りない経験が見えると、社内で取りに行くか外に出るかを決めやすくなります。
よくある質問(Q&A)
- 組み込みエンジニアの初任給はどれくらいですか?
-
新卒の初任給は、職種ごとではなく会社ごとの給与の決まりで設定されていることが多いです。組み込みエンジニアだから特別に高い、低いということはまずありません。気になる会社の募集要項で、初任給と配属される製品分野をあわせて確かめるのが確実です。
- 未経験からでも組み込みエンジニアになれますか?
-
job tagでは、中途採用では学部学科よりも、どんな開発をしてきたかが重視されると説明されています。ITの実務経験がまったくない状態からの中途入社は、ハードルが高めです。アプリ開発など何かしらのエンジニア経験があれば、書類でもきちんと見てもらえます。
- フリーランスの組み込みエンジニアの年収はどれくらいですか?
-
フリーランスの組み込みエンジニアに限った年収は、国の統計では確認できませんでした。job tagによると、情報保護を重視する流れから正社員が中心で、フリーランスはほとんど見られないそうです。実機や社内の設備が必要な仕事が多いのも理由のひとつです。
- Web系と組み込み、将来性があるのはどちらですか?
-
ハローワークの有効求人倍率(令和7年度)は、組込みが4.26、Web・オープン系に入るパッケージソフト開発が2.54です。求人の多さでは組み込みが上回りますが、どちらも需要は続いています。私なら、どちらの仕事を長く続けたいかで選びます。
まとめ
この記事の要点を振り返ります。
- 年収データは母集団で読む。job tagの578.5万円はプログラマーなどと共通の数字で、組み込みだけの値ではありません。
- 転職市場の数字は対象で変わる。doda登録者は496万円、決定年収は539万円、JACの支援者は約700万円です。
- 年収は4つの要素で決まる。働く場所・担当工程・分野・役割の組み合わせで、同じ年齢でも差がつきます。
- 提示額は5つの経験で動く。マネジメント、リーダー、組み込み開発、組み込み以外の開発、学習の経験を見ています。
- 求人倍率は4.26と高い。プログラマーの0.98を大きく上回り、SDVでは2030年に約5.1万人の不足が推計されています。
- 書類は下回りの経験が強み。C・C++・アセンブラ、マイコン制御、車載ソフトの経験は大きなプラスです。
- 年収を上げる道は5つある。社内で上流を取る、商流の浅い会社へ移るなど、今の状況に合う道から選べます。
年収の数字は、正しく読めるだけでも見え方が変わります。今の会社に残るか、外に出るかを考える材料も、ぐっと増えるはずです。
迷うのは普通のことです。今日できる小さな一歩として、これまでの担当案件を、製品分野・工程・役割の3つで箇条書きにしてみるのがおすすめです。人事が見ている5つの経験のどこが自分の強みなのか、少しずつ見えてきます。
求人も眺めてみたくなったら、エージェントを比べてから選ぶと安心です。選び方はIT転職エージェントを比較した記事で詳しく紹介しています。


今の経験が、ほかの会社で
どう評価されるかを知っておく
人事の立場から言うと、比較対象を持たないまま決めている人が一番損をしています。
直接スカウト登録は無料エンジニア・クリエイターの
実務経験がある方/50歳未満
(未経験の方は対象外)
✓ 求人との相性(マッチ率)を数値で確かめられる
✓ リモート可否・フレックスなど細かい条件で探せる
専門高年収の正社員ポジション実務2年以上のITエンジニア
20代後半〜30代の支援が中心
(学生の方は対象外)
✓ 土曜1日で面接を終えられる1Day選考会がある(参加には事前の面談と書類選考の通過が必要)
✓ ITコンサル・メガベンチャーなど高年収のポジションを扱う
