日立製作所への転職を考えるとき、多くの方が最初に調べるのが「勝ち組と言えるのか」と「入社してから後悔しないか」の2つです。
この記事では、その2つに正面からお答えします。使ったのは、有価証券報告書などの公開データと、社員・元社員の方が書いた口コミ約150件です。数字にはすべて出どころを付けています。
先にひとつだけお伝えしておきたいことがあります。口コミを読み込んでいて、最も印象に残ったのはこの一文でした。
親会社で一生働けるとは限らないかもしれない。自分の所属する部門は特にその動きの影響を受けており、仲のいい同期も何人か転職してしまった。待遇は悪くないため残念だ
OpenWork/2024年6月投稿・エネルギー事業統括本部 研究開発・在籍3〜5年
待遇に不満はないのに、転職を考えている。日立製作所という会社の難しさは、この一文にほとんど集約されています。この記事では、その中身を順番にほどいていきます。
すけさん採用の仕事をしていると、日立を受けようとしている方から「待遇は良さそうだけど何が心配なんですか」と聞かれることがよくあります。私の答えはいつも同じで、心配すべきなのは待遇ではなく、入った後にどこで働くことになるかです。この記事はその話を中心にしています。
- 日立製作所の平均年収995万円の中身と、入社何年目でいくらになるか
- 同じ「日立」でも、日立ビルシステム・日立システムズ・日立ソリューションズで給与テーブルが違うこと
- 20代は横並びで、40代から差が開いていく実態
- 日立製作所に入っても、事業再編で所属会社が変わることがあるという事実
- 社員の口コミから見えた「後悔しやすい5つのポイント」
- 転勤の実態と、どの職種がどこへ配属されやすいか
- 転職難易度と、キャリア採用が新卒を上回った採用計画の中身
- 日立製作所に向いている人と、慎重に考えたほうがいい人


日立製作所への転職は「勝ち組」なのか
ここは数字ではっきりしています。
平均年間給与は995万円(2026年3月期)。国税庁の調査による給与所得者の平均給与が478万円ですから、その2倍以上です。連結従業員数は28万人を超え、事業は社会インフラから金融システムまで広がっています。福利厚生も、休暇制度を中心にかなり手厚く整備されています。
ただ、「勝ち組か」という問いには、もう少し丁寧な答え方が要ります。答えが変わる条件が3つあるからです。
| 答えが変わる条件 | 何が変わるか | この記事で扱う章 |
|---|---|---|
| どの会社に入るか | 日立製作所本体かグループ会社かで、給与テーブルが別 | 3章目 |
| どの部署に配属されるか | 働き方も評価のされ方も、部署によって大きく違う | 7章目 |
| 何を求めて入るか | 安定を求めるか、技術を深めたいかで評価が逆転する | 8章目 |
この3つを踏まえたうえでの答えは、こうなります。
- 世の中の平均と比べるなら、待遇・安定性ともに明確に上位
- 腰を据えて長く働きたい人にとっては、制度面でこれ以上ない環境
- 大規模プロジェクトをまとめる力を身につけたい人には、機会が豊富
一方で、慎重に考えたほうがいい点もあります。
- 入社から10年目付近までは、評価による差がほとんどつかない
- SEとして入っても、実装よりも管理・調整が仕事の中心になる
- キャリアの本線はマネジメントで、技術特化の道は細い
- 事業再編にともなって、所属する会社が変わることがある
- 職種によっては、全国転勤の可能性を前提に考える必要がある
どちらのリストも、同じ会社の話です。この記事では、両方の根拠を数字と口コミで示していきます。
「勝ち組かどうか」を年収だけで判断すると、たいてい入社後にずれます。私が候補者の方に必ず聞くのは「5年後に何ができるようになっていたいか」です。その答えが「大きな案件を任されたい」なら日立は強い選択肢ですし、「手を動かして技術を深めたい」なら別の会社も並べて比べたほうが後悔が少なくなります。
日立製作所の平均年収は995万円【推移・等級別・裁量労働制】



日立の年収について調べていて「あれ、サイトによって数字が違う」と感じた方は多いと思います。私も同じところでつまずきました。実はこれ、どれかが間違っているのではなく、誰を数えているかが違うだけなんです。まずそこから整理させてください。
平均年間給与は995万円。3年で79万円上がっています
日立製作所の平均年間給与は995万円です。有価証券報告書に記載された、提出会社(日立製作所という法人)に在籍する25,934人の平均になります。
調べていると961万円という数字を目にすることもあると思います。これは前期(2025年3月期)の数字です。日立の平均年収は数年にわたって上がり続けているので、いつ時点の数字かで印象がかなり変わります。
| 決算期 | 平均年間給与 | 前期比 |
|---|---|---|
| 2023年3月期 | 916万円 | — |
| 2024年3月期 | 936万円 | +20万円 |
| 2025年3月期 | 961万円 | +25万円 |
| 2026年3月期 | 995万円 | +34万円 |
3年で79万円、直近1年だけで34万円上がっています。伸び幅そのものが年々大きくなっているのが特徴です。



日立グループの連結従業員数は287,901人(2026年3月末)なので、グループ全体で見た場合の水準ではありません。この違いは大きなポイントなので、3章目であらためて扱います。
なぜ「日立の年収」は調べるたびに数字が違うのか
日立の年収を検索すると、995万円のほかに800万円台や700万円台の数字が出てきます。どれが正しいのか迷うところですが、これは対象になっている集団が違うためです。
| 出所 | 平均年収 | 対象者の平均年齢 |
|---|---|---|
| 有価証券報告書 | 995万円 | 在籍者全員 |
| Yahoo!しごとカタログ(社員クチコミ集計) | 812万円 | 38.2歳 |
| OpenWork(社員クチコミ集計) | 741万円 | 33.0歳 |
回答者の平均年齢が下がるほど、平均年収も下がっています。3つとも矛盾していません。
有価証券報告書は在籍者全員の平均なので、管理職層が多く含まれるぶん高く出ます。口コミサイトは書き込んだ人の集まりで、転職を考えている若手ほど書き込む傾向があるため、平均年齢が低くなります。
自分に近い数字を知りたいときは、全体平均ではなく年齢別のデータを見るのがおすすめです。次の項で扱います。
入社何年目でいくらか──等級(グレード)別の年収目安


日立製作所の給与は、組合員グレード(S1〜S4)と呼ばれる等級で管理されています。数字が小さいほど上位です。
社員の口コミに、等級ごとの年収目安を具体的に書いたものがありました。これは1件の証言に基づくもので、公式に発表されている数字ではありません。目安として見てください。
| 等級 | 年次の目安 | 想定年収 |
|---|---|---|
| S4P | 新卒〜3年目 | 600万円台後半 |
| S3P | 4〜5年目 | 700万円台前半〜後半 |
| S2P | 6〜7年目 | 900万円前後 |
| S1P | 8年目以降 | 1,000万円前後 |
制度そのものについては、別の方も書いています。
組合員グレード(S1〜S4)による給与体系
OpenWork/2026年2月投稿・研究開発・在籍5〜10年
各グレードに給与レンジ上限あり。上位グレード昇格で昇給が継続する
OpenWork/2025年12月投稿・研究開発・在籍20年以上
「各グレードに給与レンジ上限がある」という点は重要です。
昇格のタイミングについては、次のような声があります。
- 「早ければ6年目程度で主任昇格」(2026年2月投稿・営業・在籍5〜10年)
- 「技師までは年齢で昇格可能、主任技師以上は実力主義」(2026年5月投稿・社会システム事業部 SE 技師・在籍15〜20年)
- 「30代で主任相当職となり1,000万円突破(みなし残業・手当含む)」(2025年12月投稿・設計開発・在籍15〜20年)
28歳前後が分岐点──裁量労働制で年収の構造が変わります



年収を考えるうえで、もうひとつ押さえておきたいのが裁量労働制です。一定の等級以上になると対象になり、残業代の計算方法が変わります。
S3P以上になると裁量労働制が選択できるようになり、基本給の約30パーセントを見込み残業として受け取ることが出来る
OpenWork/2026年7月投稿・鉄道 設計 企画員・在籍5〜10年
28歳頃で裁量労働(基本給+約10万円手当)となり、年収650万円〜850万円レンジへ上昇
OpenWork/2025年10月投稿・産業系 営業 主任・中途入社・在籍3年未満
S3Pは4〜5年目なので、新卒入社なら26〜28歳前後。別々の方が書いた2つの証言で、年次がきれいに一致します。
みなし残業の水準は、「基本給の約30%」「30時間分」「約35時間分」と証言に幅があり、部署や年次で違うようです。共通しているのは、その時間を超えた分は支給されないという点です。
ここまでを整理すると、日立の年収は3段階で上がっていく構造になります。
| 段階 | 年次の目安 | 年収の決まり方 |
|---|---|---|
| 第1段階 | 新卒〜3年目 | 基本給+実働分の残業代。等級はほぼ横並び |
| 第2段階 | 4〜5年目以降 | 裁量労働の手当が加わり、一段上がる |
| 第3段階 | 10年目以降 | 昇格の差が年収に反映され始める |
「10年目」については、複数の方が同じことを書いています。
入社10年目付近までは評価差がつきにくい横並び
OpenWork/2026年6月投稿・SE・在籍3年未満
入社10年を超えると一気に評価・差がつく仕組み
OpenWork/2026年5月投稿・営業・マーケティング・在籍5〜10年
修士新卒から7〜8年目は一律に近い上昇。課長相当(30代半ば〜40歳)で1,000万円到達
OpenWork/2025年7月投稿・研究開発・在籍3〜5年
中途で入る方にとって、ここは判断材料になります。20代後半で入れば、この賃金カーブの上り坂の手前に乗ることになります。30代半ばで入る場合は、すでに差がつき始めた集団に加わることになるので、入社時の等級がその後を大きく左右します。
内定が出たら、労働条件通知書で「等級(グレード)」と「裁量労働制の対象かどうか、みなし残業は何時間分か」の2つを必ず確認してください。等級はその後の昇給の出発点になります。
同じ「日立」でも待遇は別テーブル──本体とグループ会社を比べる



面談をしていると「日立を受けています」とおっしゃる方が、実はグループ会社の求人を見ていた、というケースが本当に多いです。責める話ではなくて、求人サイトの表記だと見分けがつきにくいんです。ただ給与テーブルは会社ごとに別なので、ここだけは応募前に確認してほしいところです。
日立製作所と日立グループ会社は、法人格が別の会社です
当たり前のことのようですが、求人サイトでは意外と見分けがつきません。
たとえば日立ビルシステムは、資本金51億509万1千円の全額を日立製作所が出資している100%子会社です。1956年設立、従業員約8,700名、売上高2,893億円(2024年度)。名実ともに日立グループの中核企業ですが、日立製作所とは別の法人であり、給与も評価制度も別に運用されています。
日立ソリューションズ、日立システムズも同様です。いずれも日立グループですが、日立製作所の平均年収995万円は、これらの会社の社員には適用されません。
この「別会社感」は、社員の方の実感としても語られています。
事業部ごとに実質別会社、他部署との絡みは実質無
OpenWork/2026年3月投稿・産業/SE・技術・中途入社・在籍3年未満
部署や事業部が違えば、仕事の進め方やルールは別会社くらい違う
OpenWork/2026年4月投稿・SE・在籍5〜10年
BUや本社によって別会社と言っても良いくらい文化や費用感が異なる
OpenWork/2026年6月投稿・営業・在籍3年未満
興味深いのは、この3人が言っているのがグループ会社の話ではなく、日立製作所の中の事業部(ビジネスユニット)の話だという点です。同じ会社の中でも文化が違う。ましてや別法人であれば、なおさら別物ということになります。
グループ4社の年収を、同じ物差しで並べる


日立製作所は上場企業なので有価証券報告書に平均年間給与が載りますが、日立ビルシステム・日立ソリューションズ・日立システムズは非上場のため、有報の数字がありません。そのままでは並べられないわけです。
そこで、社員クチコミという同じ物差しに揃えて比較します。以下は同じサイトの同じ算出方法による集計なので、会社間の差を見るのに適しています。
| 会社 | クチコミ平均年収 | 回答者の平均年齢 | 賞与(年) |
|---|---|---|---|
| 日立製作所 | 812万円 | 38.2歳 | 189万円 |
| 日立システムズ | 749万円 | 39.7歳 | 184万円 |
| 日立ソリューションズ | 741万円 | 38.2歳 | 179万円 |
| 日立ビルシステム | 676万円 | 37.1歳 | 101万円 |
ここで見たいのは絶対額ではなく、会社間の差です。日立製作所とのいちばん下の会社で136万円。ただし、この差は年代によってまったく違う顔を見せます。
20代はほぼ横並び。差がつくのは40代からです
年代別に分けると、4社の関係がはっきりします。まず日立製作所と日立ビルシステムを比べます。
| 年代 | 日立製作所 | 日立ビルシステム | 差 |
|---|---|---|---|
| 20代 | 432万円 | 411万円 | 21万円 |
| 30代 | 704万円 | 620万円 | 84万円 |
| 40代 | 876万円 | 763万円 | 113万円 |
| 50代 | 1,017万円 | 882万円 | 135万円 |
20代の差は21万円しかありません。それが50代で135万円まで開きます。
IT系の2社も並べておきます。
| 年代 | 日立システムズ | 日立ソリューションズ |
|---|---|---|
| 20代 | 411万円 | 392万円 |
| 30代 | 655万円 | 609万円 |
| 40代 | 767万円 | 771万円 |
| 50代 | 880万円 | 954万円 |
4社を横に並べると、20代の幅は392万円〜432万円で、差は40万円。日立ビルシステムの411万円は日立システムズと同額で、日立ソリューションズより19万円高い水準です。
つまり「日立グループのどこに入るか」は、20代のうちはほとんど関係がなく、キャリアの後半でじわじわ効いてくる種類の差です。転職の判断としては、ここが悩ましいところだと思います。目先の提示年収だけで比べると、差がまったく見えません。
日立ビルシステムは「勝ち組」なのか


ここまでの数字から整理します。
日立ビルシステムのクチコミ平均年収は676万円。国税庁の民間給与実態統計調査(令和6年分)では給与所得者の平均給与が478万円なので、それより約200万円高い水準です。従業員約8,700名・売上高2,893億円、資本金は全額を日立製作所が出資しており、エレベーター・エスカレーターの分野でも国内有数の企業です。安定性という意味では、十分に上位クラスの会社と言えます。
一方で、日立製作所本体と比べると差はあります。「勝ち組か」の答えは、何と比べるかで変わります。
| 比較の相手 | 日立ビルシステム676万円との差 |
|---|---|
| 給与所得者の平均(478万円) | +198万円 |
| 日立ソリューションズ(741万円) | −65万円 |
| 日立システムズ(749万円) | −73万円 |
| 日立製作所・クチコミ(812万円) | −136万円 |
世の中の平均と比べるなら明確に上、日立製作所本体と比べるなら差がある。この2つは両立します。
金額以外に、もうひとつ押さえておきたい構造があります。給与の中身です。日立ビルシステムの賞与は年101万円(クチコミ集計)で、他3社の179万〜189万円と比べて低く出ています。一方で社員のクチコミには、こういう声があります。
同世代より給料は貰っている方だが残業代で稼ぐ印象。基本給だけでは十分でない。賞与は年5〜6ヶ月分で新卒1年目冬は50万超
Yahoo!しごとカタログ/2024年投稿・製造・20代男性
「賞与は年5〜6ヶ月分」という証言と、集計値の101万円は一見食い違いますが、回答者の年齢構成の違いで説明がつきます。賞与が月数で決まる制度では、基本給が低い若手ほど金額が小さくなります。回答者の平均年齢が37.1歳と4社で最も若いことを踏まえると、集計値が低めに出るのは自然です。
ここから読み取れるのは、金額の高低よりも給与の構成です。基本給が抑えめで、残業代の比率が高い。現場でのメンテナンス業務が事業の中心である会社では、珍しい構造ではありません。
| 項目 | 日立ビルシステムの見方 |
|---|---|
| 世間水準との比較 | 明確に上(+198万円) |
| グループ内での位置 | 4社中では下。ただし20代は横並び |
| 給与の安定性 | 残業時間に左右されやすい構造 |
| 会社の安定性 | 100%子会社・従業員約8,700名・売上2,893億円 |
| 向いている人 | 現場に近い仕事で、長く安定して働きたい人 |
| 慎重に考えたい人 | 残業を減らしながら年収を上げたい人 |
残業代の比率が高い給与構造は、働き方改革で残業が減ると年収も下がります。応募前に、直近の平均残業時間と、残業代が年収に占める割合を確認しておくと安心です。求人票には書かれないので、面接かエージェント経由で聞く項目になります。
【重要】日立製作所に入っても、日立製作所に居続けられるとは限りません
ここまでは「どの会社に応募するか」の話でした。ここからは、入社した後の話です。
日立は近年、事業ポートフォリオの入れ替えを積極的に進めています。上場子会社の再編、事業の売却、他社との合弁会社化。株式市場からは高く評価されている経営判断ですが、社員の側から見ると、所属する会社が変わる可能性がある、ということでもあります。
口コミで繰り返し語られている論点です。
事業再編も活発なため、子会社に転籍させられることも珍しくありません。転籍させられた場合は、親会社ほどの昇給や定年後の年金に差があり期待はできません。それをきっかけに転職する人も何人も見てきました。こればっかりは運です
OpenWork/2026年1月投稿・SE・在籍5〜10年・女性
所属が変わると給料体系や、福利厚生までもが、転籍先の企業のものになる
OpenWork/2026年2月投稿・システムエンジニア・在籍5〜10年・女性
会社の事情によって子会社に転籍させられたり、部署ごと違う会社になることが近年徐々に起きやすいこと。これに関しては、どんなに優秀であっても、その時の時勢や経営方針であったりする
OpenWork/2026年2月投稿・設計開発・在籍10〜15年
3人に共通しているのは、これが個人の成績とは無関係だという指摘です。
「どんなに優秀であっても」「こればっかりは運です」。評価が高くても、事業ごと動くときは動く、ということになります。
そして、転籍の可能性そのものを理由に転職を考えている方もいます。
将来的に出向先の企業へ転籍する可能性があるため。現在は日立製作所に籍を置いて、子会社出向して働いているが、いずれ転籍を打診される可能性が高いことが分かった。大企業はどこもそうかもしれないが、事業の子会社化や他社との合弁会社化が頻繁にあり、親会社で一生働けるとは限らないかもしれない。自分の所属する部門は特にその動きの影響を受けており、仲のいい同期も何人か転職してしまった。待遇は悪くないため残念だ
OpenWork/2024年6月投稿・エネルギー事業統括本部 研究開発・在籍3〜5年(退職検討理由として)
最後の「待遇は悪くないため残念だ」という一文が、この論点の性質をよく表しています。給与にも福利厚生にも不満はない。それでも辞めることを考えている。
先ほど並べたグループ4社の年収表は、「どこに応募するか」の表であると同時に、「将来どこに移る可能性があるか」の表でもあるということです。
ただし、これは日立に限った話ではありません
日立が特別というわけではありません。
むしろ日立の場合、再編の方向性が公表されていて、どの事業に投資してどの事業を切り離すかが読み取りやすい面があります。口コミにも、経営判断そのものを評価する声は多くあります。
事業ポートフォリオを容赦なく入れ替えていくので、時代に合わせて大きく舵を切れる
OpenWork/2025年7月投稿・産業系 営業・在籍5〜10年
経営陣の方針がはっきりしており、伸びない事業は売却、今後力を入れる事業に投資をしていくといった点。従業員も同じ方向を向いて活動できると感じる
OpenWork/2026年2月投稿・営業・在籍10〜15年
大事なのは、日立で転籍が起きるかどうかではなく、応募しようとしている部門がどちら側にあるかです。次の4つは、応募前に自分で確認できます。
- その事業が中期経営計画で成長領域に位置づけられているか(統合報告書・中期経営計画で確認)
- 直近3年でその部門に組織変更・分社化があったか(プレスリリース・有価証券報告書のセグメント情報)
- その部門の売上が伸びているか(決算資料のセグメント別業績)
- その部署に出向者がいるか、いる場合その割合(面接で確認)
応募前に確認すべきこと──6つのチェックリスト
| 確認すること | どこで見るか | なぜ必要か |
|---|---|---|
| 募集企業の正式名称 | 求人票の「会社名」欄 | 「株式会社日立製作所」かどうかで年収テーブルが変わります |
| 想定年収レンジの上限 | 求人票・エージェント | 日立製作所のポジション別レンジは担当者クラスで約530〜800万円 |
| 40代時点の想定年収 | 面接・エージェント | 差が出るのはここから。初年度の提示額では見えません |
| 配属先の事業が成長領域か | 中期経営計画・決算資料 | 転籍や切り離しの可能性に直結します |
| 出向・転籍の実績 | 面接 | 「可能性がある」ではなく実績を聞く |
| 残業代が年収に占める割合 | 面接・エージェント | 給与の安定性が変わります |
なお、グループ会社に入ることが不利という話ではありません。20代の水準はほぼ横並びで、事業内容も職種も違います。日立ビルシステムでエレベーターの保守に携わるのと、日立製作所で金融機関のシステムを構築するのとでは、そもそもキャリアの方向が別です。
大事なのは、自分がどちらに応募しているのかを分かったうえで選ぶことです。
面接で「この部署から他のグループ会社へ出向・転籍された方はいますか」と聞くのは、まったく失礼にあたりません。むしろ長く働くことを前提に考えている人だと受け取られます。答えにくそうにされた場合も、それ自体が情報です。聞きづらければ、エージェント経由で名前を出さずに確認してもらう方法もあります。
その会社が良いかどうかは
他の選択肢を見ないと判断できません
人事の立場から言うと、比較対象を持たないまま決めている人が一番損をしています。
50歳未満/未経験は対象外
✓ リモート可否・フレックスなど細かい条件で検索できる
✓ 転職を決めていなくても登録できる
20代後半〜30代が中心
✓ 土曜1日で選考が終わる1Day選考会あり
✓ ITコンサル・メガベンチャーの求人が豊富
日立製作所の福利厚生と働き方【休暇制度は上位クラス】


年収の話が続いたので、ここからは働く環境の話に移ります。日立製作所を「勝ち組」と呼ぶ根拠として、実は年収以上に説得力があるのがこの部分です。
休暇制度がとにかく厚い
社員の口コミを読んでいて、いちばん驚いたのが休暇制度の厚さでした。年次有給休暇が24日あるのはもちろんですが、それとは別枠の休暇がいくつも用意されています。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 年次有給休暇 | 24日。年間20日以上の取得が必須という規則あり |
| 時間年休 | 1時間単位で取得できる |
| リフレッシュ休暇 | 5年ごとに5日間。加えて退職までに一度だけ10日間 |
| 子の看護休暇/家族の看護休暇/年次介護休暇/ライフサポート休暇 | 各5日・給与100%支給 |
| 上記を使い切った場合の看護・介護休暇 | 給与70%支給 |
| 育児休職 | 子が小学校6年生まで利用できる制度あり |
| 傷病手当金 | 最長3年 |
| 年間休日 | 126日(2026年度)/実働7時間45分 |
特に丁寧に書かれていた口コミを引用します。
年休24日に加えて、100%給与支給されて取れる各種お休みがそれぞれ5日ある。(中略)年次介護休暇や年次看護休暇、ライフサポート休暇を使い切ったら、普通の介護休暇や看護休暇があり70%は給与が支給される。最近は特に介護離職防止にかなり力を入れられており、離職せずに介護が続けられるような施策を会社が出している
OpenWork/2026年7月投稿・購買 バイヤー・中途入社・在籍3〜5年・女性
この方によれば、介護に関する支援は制度以外にも用意されているそうです。外部の専門相談窓口、上長との連絡カード、介護費用や宿泊費用の補助といった内容が挙げられていました。介護は40代以降に突然やってくるテーマなので、長く働くことを考えている方には効いてくる部分です。
5年ごとに5日間のリフレッシュ休暇を取得できますが、退職するまでの間に一度だけ10日間の休暇を取得する事ができます。もちろん自分の仕事を引き継ぎをしていくのですが、みなさん協力的な方ばかりですので助け合って仕事をしています
OpenWork/2026年1月投稿・設計補助・在籍20年以上・女性
住宅手当は「家賃の50%・上限5万円」。ただし期限があります
住宅手当については、複数の口コミが同じ数字を書いていました。
- 住宅手当は家賃の50%・上限5万円(2026年7月投稿・法人営業/2026年6月投稿・SE)
- カフェテリアプランは年間約10万円分(2026年3月投稿・経理)
月5万円を12か月で年間60万円。額面の年収には表れませんが、手取りベースで考えると大きな差になります。
ただし、注意点がひとつあります。
家賃補助は新卒〜14年目まで支給
OpenWork/2026年1月投稿・営業部 企画員・在籍5〜10年
年数に上限があるという証言です。これは1件の証言なので断定はできませんが、中途入社の場合に「入社から何年目まで」なのか「年齢基準なのか」で条件が変わってくるところです。内定時に確認しておくと安心です。
リモートワークは定着。週1出社の部署も多い
働く場所については、コロナ禍を経て柔軟な運用が定着しています。
- 「週4日は在宅勤務で、週1出社を基本としているので通勤時間ロスもほとんどありません」(2025年11月投稿・ビジネスマネジメント・在籍15〜20年・女性)
- 「事業所によって出社日数が定められており、自分の事業所では月1出社が目安」(2025年11月投稿・デジタルマーケティング統括本部 営業)
- 「フルフレックスな上、最低労働時間の設定がないため、うまく仕事量や会議日程を調整すれば週4の勤務にすることも可能」(2026年3月投稿・企画・在籍3年未満・女性)
- 上長の承認があれば旅先などからの勤務ができるスポットリモートワークという制度も新設(2025年11月投稿・営業)
ただし、これらはあくまで部署ごとの運用です。制度としてあることと、自分の配属先で使えることは別なので、面接で「このチームの直近の在宅比率」を聞いておくと確実です。
残業時間は部署でまったく違います
ここは正直にお伝えします。残業時間についての証言は、同じ会社の話とは思えないほど割れていました。
| 証言 | 投稿者の属性・投稿年 |
|---|---|
| 「私自身は、月残業20hを超えたことはない」 | SE・在籍3年未満/2024年12月 |
| 「残業は45時間ギリギリで行うことが基本。年に6回までは75時間まで上限を伸ばす」 | 鉄道 設計 企画員・在籍5〜10年/2026年7月 |
| 「45hを超えない月はほぼないと思ってよい」 | 社会BU SE 企画員・在籍3〜5年/2025年11月 |
| 「ワークライフバランスは、私が知る中でも一番優れていると考える」 | 金融 営業 企画員・在籍3〜5年/2025年3月 |
OpenWorkの集計では、日立製作所の月間残業時間は31.4時間、有給休暇消化率は64.8%となっています。ただし、これは全社を平均した数字です。上の表のとおり、実際には部署による幅がかなりあります。
分かれ目についても、口コミに書かれていました。
営業やフロントSEといった職種は全体的に忙しい傾向にあるのは間違いない。(中略)比較的安定した働き方を望むのであれば、社内SEのポジションを推奨する
OpenWork/2024年12月投稿・システムエンジニア・在籍3年未満
「日立のSE」はひとつの職種ではありません。社内SEなのか、客先常駐が中心のフロントSEなのか。ここで働き方が大きく変わります。求人票では見分けにくい部分なので、応募前の確認項目にしておくのがおすすめです。
- 常駐先はありますか。ある場合、週何日ですか
- このポジションの方の直近1年の平均残業時間はどのくらいですか
- 裁量労働制の対象ですか。対象なら何時間分の手当ですか
なお、残業の管理そのものは厳格です。「36協定遵守のため、45時間超過は基本年3回まで、それ以降は事業部長の承認が必要」(2025年11月投稿・社会BU SE 企画員)、「PC起動時間管理でサービス残業は皆無」(2024年10月投稿・ヘルスケア事業部 研究員・女性)といった証言があり、労働時間の把握と支払いはきちんと運用されているようです。
女性の働きやすさ──制度は充実、実態は部署差
女性の働きやすさについては、21件の口コミを読みました。傾向ははっきりしていて、制度への評価は高く、運用の実感は部署によって割れるという形です。
まず、評価が高い側の声です。
最長3年の育休取得が可能で、長期間休業後も同一職場への復帰や時短・在宅勤務での昇格実績あり
OpenWork/2023年8月投稿・調達 主任・在籍15〜20年・女性
男女ともに育休取得率が高く(男性1ヶ月・女性半年〜)、子供の急病時もチームカバーで休みやすい
OpenWork/2023年9月投稿・技術・在籍5〜10年
一方で、慎重に見ておきたい声もあります。
- 「制度は整っているが現場の女性比率が低く、育休復帰後の昇格例が極めて少ない」(2026年7月投稿・鉄道ビジネスユニット エンジニア・在籍10〜15年・女性)
- 「連続して産休育休をとると昇進遅れが生じやすいが、ママさん管理職も存在する」(2023年8月投稿・DSS 設計 企画員)
- 「時短復帰後もフルタイム同様の業務量が求められるケースがある」(2026年3月投稿・購買・中途入社・在籍5〜10年・女性)
- 「客先常駐案件などフロント部門では家庭とのバランス調整に苦労する場合もある」(2023年6月投稿・金融 システムエンジニア・中途入社・在籍10〜15年・女性)
部署による差も明確に語られています。「AI・クラウド領域は女性や外国籍割合が高め(約15%)。特許・論文など実力で評価される」(2026年6月投稿・研究職・女性)という声がある一方、「技術職現場はおじさん比率が高く馴染みにくい場合がある」(2025年5月投稿・インダストリアルAIビジネスユニット)という指摘もありました。
見るべきは全社の数字ではなく、配属予定部署の実態です。
育休や時短の実績を聞くとき、全社の取得率を聞いても意味がありません。聞くべきは「この部署に、育休から復帰して管理職になった方はいますか」です。答えが具体的なら前例のある部署、曖昧なら前例がない可能性が高いということ。どちらの答えでも判断材料になりますし、面接で聞いて差し支えない質問です。
日立製作所の事業内容と、他の大手SIerとの違い
日立製作所を検討している方の多くは、富士通・NEC・NTTデータ・NRIといった会社も並行して見ています。ここでは、事業の構造と年収の両面から違いを整理します。
3つのセクターと、IT×OT×プロダクトという強み


日立製作所は、大きく3つのセクターで事業を運営しています。
| セクター | 主な領域 |
|---|---|
| デジタルシステム&サービス(DSS) | 金融・公共・産業向けのシステム構築、クラウド、データ利活用 |
| グリーンエナジー&モビリティ(GEM) | 電力・エネルギー、鉄道システム |
| コネクティブインダストリーズ(CI) | ビルシステム、産業機器、計測分析、ヘルスケア |
SIerとして日立に応募する場合、主な配属先はDSSになります。ただし日立の特徴は、DSS単体ではなく、他の2セクターと組み合わせられる点にあります。
最先端のデジタル技術(IT)、社会インフラを運用・制御する技術(OT)、そして鉄道や電力設備などの実製品(プロダクト)の3つをすべて自社で保有している点です。これらを掛け合わせることで、他社には真似の難しい複雑で大規模な社会インフラシステムを構築できます
OpenWork/2026年5月投稿・設計開発・在籍3年未満
近年はデータ活用基盤の「Lumada」に加えて、AI関連のソリューション「HMAX」を新しい柱として打ち出しています。
一方で、弱みとして挙げられていた声も紹介しておきます。
- 「事業領域が広く、組織も巨大なため、意思決定や改革のスピードが遅くなりがち」(2025年12月投稿・SE・在籍3年未満)
- 「スコープが大きくあらゆる提案は可能だが、逆にいうと器用貧乏になっている感もある」(2026年2月投稿・営業・在籍10〜15年)
- 「ソフトウェア領域で強みのあるプロダクトを持っていない」(2025年12月投稿・DSS システムエンジニア・在籍3年未満)
平均年収で見た、大手4社の位置関係


有価証券報告書の平均年間給与を、同じ決算期(2026年3月期)で並べます。
| 会社 | 平均年間給与 | 従業員数(単体) |
|---|---|---|
| 野村総合研究所 | 1,333万円 | 7,982人 |
| 富士通 | 1,012万円 | 32,224人 |
| 日立製作所 | 995万円 | 25,934人 |
| 日本電気(NEC) | 994万円 | 21,934人 |
日立とNECは1万円差で、ほぼ同水準です。富士通が17万円上。そして野村総合研究所だけが1,300万円台で突出しています。
NTTデータについては、この表に入れていません。理由があります。
NTTデータグループは持株会社で、単体の従業員数が1,592名(2025年3月期)しかいないため、単体の平均年収を並べても事業会社の実態を表さないからです。
同じ理屈で数字を比べられないものは、無理に並べないほうが判断を誤りません。
もうひとつ、この表の読み方で注意点があります。平均年間給与は「その会社に在籍している人の平均」であって、「あなたが入ったときの年収」ではありません。従業員数を見ると分かるとおり、富士通と日立は3万人規模、NRIは8千人規模です。組織の年齢構成も職種構成も違うので、同じ土俵での比較にはなりません。
富士通・NECとの違い──エネルギーと鉄道の厚み
同じメーカー系SIerである富士通・NECと比べたとき、日立の特徴はIT以外の事業の厚みにあります。
富士通はIT事業への集中を進めており、NECも社会公共・社会基盤とITソリューションが軸です。それに対して日立は、電力・エネルギー、鉄道車両や信号システムといった領域を今も自社で持っています。海外の鉄道事業は近年の成長ドライバーのひとつでもあります。
SIerとして考えた時、IT以外の得意分野が多くある点が大きな強み。特にエネルギーや社会インフラ事業を自社で持っているのが強く、次世代AIデータセンター向けの電力インフラ構築や、社会インフラのイノベーション事業などで追い風が吹いている
OpenWork/2025年11月投稿・ITエンジニア・中途入社・在籍3〜5年
ただし、これは配属先によって体感が大きく変わる部分でもあります。情報系の部署に配属されれば、日々の仕事はIT企業のそれに近くなります。
事業部ごとに色彩は大きく異なり、ソフト要素の強い情報系は人材の流動性が高いためよりIT企業の文化に近づいているが、ハード要素の強い鉄道・電力などはメーカー文化が色濃い
OpenWork/2026年7月投稿・法人営業・在籍5〜10年
NTTデータ・NRIとの違い──何を売っている会社か
ユーザー系・コンサル系との違いは、事業構造そのものにあります。
| 区分 | 代表的な会社 | 売っているものの中心 |
|---|---|---|
| メーカー系 | 日立製作所、富士通、NEC | 自社のハードウェア・製品と組み合わせたシステム |
| ユーザー系 | NTTデータ | 純粋なシステム開発・運用 |
| コンサル系 | 野村総合研究所 | 戦略・業務の設計から入る上流のサービス |
選ぶ基準を整理すると、こうなります。
- モノづくりとITの両方に関わりたいなら、メーカー系(日立・富士通・NEC)
- システム開発そのものを軸にキャリアを積みたいなら、ユーザー系
- 上流の企画・戦略から関わりたいなら、コンサル系
- 社会インフラの規模感と事業の幅を重視するなら、日立
年収だけで見ればNRIが頭ひとつ抜けていますが、その分求められる働き方も違います。数字と事業構造の両方を見て選ぶのがおすすめです。


大手SIerを併願するとき、志望動機を会社ごとに書き分けられずに苦戦する方が多いです。おすすめは、事業構造の違いから逆算することです。日立なら「電力や鉄道といった実物のインフラとITの両方に関わりたい」、NRIなら「業務の設計から入りたい」。この一言があるだけで、面接での説得力がまったく変わります。
日立製作所の転職難易度と中途採用の実態



「大手だからどうせ受からない」と最初から諦めてしまう方をよく見かけます。ただ日立に関しては、ここ数年で中途の入口が明らかに広がっています。難しいことは事実ですが、数字を見ると状況は変わってきていますので、そこからお話しさせてください。
キャリア採用が新卒を上回る──2026年度は930名の計画
日立製作所が2025年2月に発表した2026年度の採用計画は、次のとおりです。
| 区分 | 2026年度計画 |
|---|---|
| 新卒(大学・大学院・高等専門学校) | 770名 |
| 新卒(高等学校) | 45名 |
| 新卒 計 | 815名 |
| キャリア採用 | 930名 |
| 合計 | 1,745名 |
キャリア採用が930名で、新卒の815名を上回っています。日立はこれを「キャリア採用が初めて新卒採用を上回る計画」と説明しており、採用の重心が中途側へ移ったことになります。
推移で見ると、変化の大きさが分かります。
| 年度 | キャリア採用数 |
|---|---|
| 2015年度 | 150名 |
| 2023年度 | 600名 |
| 2024年度(実績) | 610名 |
| 2026年度(計画) | 930名 |
10年で6倍以上です。2024年度実績の610名に対して、2026年度計画は約1.5倍。転職難易度そのものが下がったわけではありませんが、応募できるポジションの数は明確に増えています。
なお、日立のキャリア採用ページには「採用計画:2026年度1,100名」という記載もあります。上のプレスリリースの930名と数字が違いますが、これは集計の範囲が違うためと考えられます。応募時は、実際に募集されているポジションの一覧で確認するのが確実です。
転職難易度は高い。ただし「落とされ方」に特徴があります
門戸は広がっていますが、選考そのものは簡単ではありません。日立はジョブ型採用に移行しており、ポジションごとに求める職務内容が明示されています。つまり、「優秀だから採る」ではなく「その職務ができるから採る」という選考になります。
これは応募する側にとって、有利にも不利にも働きます。
| 有利に働く場合 | 不利に働く場合 | |
|---|---|---|
| 経験の見られ方 | 職務経歴がポジションと合致していれば、年齢や社歴は問われにくい | 経験が近くても職務が違うと、実力に関係なく通らない |
| 入社後のイメージ | 何をする仕事かが事前に分かる | 入社後の職務変更は原則ない |
| 準備の方向性 | 求人票の職務内容に沿って準備すればよい | 「幅広く対応できます」というアピールは効きにくい |
実際に入社した方の声にも、この特徴が表れています。
ジョブ型採用のため、入社後の仕事のイメージもしやすく、また、想定を大きく外れた仕事をすることもないと考えたため(入社を決めた理由)。入社理由とはそれほど大きく外れておらず、想定内であった。満足している
OpenWork/2026年1月投稿・SE・在籍5〜10年・総合評価4.4
一方で、ジョブ型の運用が徹底されていないという声もあります。この点は後の章でくわしく扱います。
選考プロセスと、押さえておきたいポイント


キャリア採用の選考は、次の流れが基本です。
- エントリー
- 書類選考
- 面接(複数回実施予定)
- 内定
日立の公式サイトには「選考の内容や回数は、募集職種・ポジションによって異なります」と記載されています。契約期間の定めはなく、試用期間は入社日より3か月です。
採用側の視点でお伝えすると、大手メーカーの中途選考で差がつくのは、書類の書き方です。特に大きな組織から応募する方に多いのが、規模だけを書いてしまうパターンです。
- 「10億円規模のプロジェクトに参画」→ 何をしたか分からない
- 「50名体制の開発チームに所属」→ その中での役割が見えない
日立のようにジョブディスクリプションが明示される会社では、「あなたがその職務をこなせるか」が判断基準です。プロジェクトの規模ではなく、自分が何を設計し、何を判断したかが書けているかで通過率が変わります。
中途入社の年収は、前職水準と実績を踏まえて決まります
中途採用の年収決定については、こういう証言がありました。
中途採用時は前職水準・実績考慮。デジタル・AI人材には個別柔軟な運用制度あり
OpenWork/2025年8月投稿・マーケティング・中途入社・在籍10〜15年
この証言は1件のみなので断定はできません。ただ、中途で応募する際に「この職種に個別の給与レンジがありますか」と聞いてみる価値はあります。
公式に公表されているポジション別の年収レンジは、次のとおりです。
| ポジション | 理論年収 |
|---|---|
| 担当者クラス | 約530万〜800万円 |
| 部長クラス | 約1,450万〜2,000万円 |
| 事業部長・本部長クラス | 約1,700万〜4,100万円 |
入社後に部署を変えられるか──社内公募制度の実態
配属先が合わなかったときに異動できるかどうかは、大企業への転職で気になるところだと思います。
制度としては存在します。日立グループは2024年11月に、グループ公募制度へ人財マッチングのシステムを導入しています。ただし、使いやすさについては証言が割れています。
| 立場 | 証言 |
|---|---|
| 使いやすい | 「公募はかなり活発で、どの本部でも公募で異動してきた方がいる。上司に報告されることなく選考を受けることができるため、利用ハードルが低い」(2026年6月投稿・営業・在籍3年未満・女性) |
| 使いにくい | 「FA制度、社内公募といった別組織への転属制度は存在するが、ほとんど実現性がなく現実的には転職した方が入りやすい」(2026年2月投稿・SE 技師・在籍15〜20年) |
| 使いにくい | 「FAで公開されているポジションも選択肢としては狭い」(2022年1月投稿・SE 主任・在籍10〜15年) |
| 使いにくい | 「ジョブローテーションがないため、職種を跨いだ異動は自ら社内公募に手を挙げる必要がありハードルが高い」(2026年7月投稿・営業・在籍5〜10年) |
どちらかが誤りというより、部門や時期によって運用が違うと読むのが自然です。使いやすいと書いているのは営業部門の若手、使いにくいと書いているのは技術系の中堅層でした。
いずれにしても、「入ってから異動すればいい」という前提で応募先を決めるのは避けたほうが安全です。最初の配属先で数年は働くつもりで選ぶことをおすすめします。


ジョブ型採用の会社に応募するとき、職務経歴書は求人票のジョブディスクリプションを横に置いて書くのがおすすめです。求人票に書かれている業務のうち、自分が経験しているものを同じ言葉で書く。これだけで書類選考の通過率が変わります。採用側は「読み替え」をしてくれないと思っておいたほうが確実です。
その会社が良いかどうかは
他の選択肢を見ないと判断できません
人事の立場から言うと、比較対象を持たないまま決めている人が一番損をしています。
50歳未満/未経験は対象外
✓ リモート可否・フレックスなど細かい条件で検索できる
✓ 転職を決めていなくても登録できる
20代後半〜30代が中心
✓ 土曜1日で選考が終わる1Day選考会あり
✓ ITコンサル・メガベンチャーの求人が豊富


日立製作所への転職で「後悔」しやすい5つのポイント



ここからが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。約150件の口コミを読み込んで分かったのは、日立で後悔している人の理由が、ほとんど給与ではないということでした。待遇には満足しているのに辞めることを考えている。その中身を、5つに整理してお伝えします。
ここまで見てきたとおり、日立製作所は待遇でも安定性でも上位クラスの会社です。それでも「後悔」で検索する人がいるのはなぜか。
口コミを読み込んだ結果、後悔の中身にははっきりした傾向がありました。
| 後悔の中身 | 同じ趣旨の証言数 |
|---|---|
| ①社内向けの仕事・調整の多さ | 8件(うち中途入社6件) |
| ②SEの仕事が実装ではなく管理中心 | 5件 |
| ③10年目まで評価差がつかず、キャリアはマネジメント一本道 | 8件 |
| ④働き方と労働条件の部署差 | 多数 |
| ⑤転勤・事業再編で所属や勤務地が変わる | 13件 |
順に見ていきます。
①社内向けの仕事が多い──中途入社者が最も驚くポイント
中途入社の方の口コミで、最も一致していたのがここでした。前職と比べたときのギャップとして、複数の方が同じことを書いています。
ただただ社内工数が多い。各種定例会、審議会、報告会……特にPMクラスや中間管理職は平日ひたすら会議で、週末に集中して資料作成や作業を実施している
OpenWork/2026年3月投稿・産業/SE・技術・中途入社・在籍3年未満
とにかく根回しと証拠の会社。何かするにも根拠が求められる
OpenWork/2025年5月投稿・水環境ビジネスユニット 営業 主任・中途入社・在籍3年未満
社内調整やステークホルダーの調整の比重が重い点は認識しておくべきである
OpenWork/2026年3月投稿・公共システム事業部 企画員・中途入社・在籍3年未満
具体的な業務量として書かれているものもありました。
出世するためには1年ほどかけてプレゼン資料を準備し、年度末に本部長全員の前でプレゼン発表しなければならない。全員必ずやる。(中略)自動化してせっかく業務を減らせても、パワポ職人で仕事人生が終わりそうな気がするため、実務経験を積みたく転職と考えている
OpenWork/2026年3月投稿・購買・中途入社・在籍5〜10年・女性
とある社内向けの資料のために1ヶ月前から準備し、主任から2回、課長から2回、部長から2回レビューをもらい、ブラッシュアップする。これが年に複数回ある
OpenWork/2021年1月投稿・購買・中途入社・在籍3年未満・女性
採用側の視点で補足すると、これは規模がもたらす結果でもあります。連結で28万人、事業領域が社会インフラから金融システムまで広がる組織で、部門をまたいだ意思決定をするには、それだけの合意形成が必要になります。手続きが多いこと自体は、大企業として不合理とは言い切れません。
問題は、その環境が自分に合うかどうかです。同じ環境を肯定的に書いている中途入社の方もいます。
組織はかなり縦割りで、部門ごとの壁は厚いですが、決められたルールの中でコツコツ進めるタイプの人には合う環境です。(中略)慎重に物事を進める文化は根付いているので、スピード感を求める人には少しもどかしく感じるかもしれません
OpenWork/2025年10月投稿・SE・中途入社・在籍3〜5年
②「日立のSE」の仕事は、実装ではなく管理です


IT系から転職を考えている方にとって、最も影響が大きい部分です。
プログラミングをすることはほぼない。プログラミングはパートナー会社の担当であり、プログラミング工程において、社員は主にスケジュール管理を担当する。設計に携わることは可能
OpenWork/2026年3月投稿・SE・中途入社・在籍3〜5年
組織としてはスペシャリストよりもゼネラリストを育成する方針であったため、半年ほどでSE部門へ異動となった。SIerとしてドキュメント作成や調整業務が中心となり、十分な開発経験を積めないまま20代を終えることに危機感を抱いた。そのため、早い段階で退職し、エンジニアとしてのスキルアップを目指した
OpenWork/2026年7月投稿・SE-SIer・在籍3年未満・退職済み
SEとして採用されたが、やっていることはただの施工管理のようなものであり、かなりのギャップがあった
OpenWork/2026年6月投稿・プロジェクトマネジメント 企画員・在籍3年未満
ここで注目したいのは、この論点が「会社への不満」として語られていない点です。総合評価4.4という高い点数をつけている方も、同じことを書いています。
大企業のため、上流工程のみの仕事も多く、人によってはスキルが付かず、マネジメントばかりになる可能性がある。スキルを手に入れたい人にとっては、向いていない可能性はある
OpenWork/2026年1月投稿・SE・在籍5〜10年・総合評価4.4
つまりこれは、欠点ではなく設計です。大手SIerの元請けとして、大規模システムの品質と納期に責任を持つ。実装は協力会社が担い、社員は要件定義・設計・進捗管理・品質管理を担当する。この分業があるからこそ、数十億円規模のプロジェクトが回っています。
自分がどちらをやりたいかで、評価が正反対になる部分です。
| 向いている | 慎重に考えたい | |
|---|---|---|
| やりたいこと | 大規模プロジェクトの全体をまとめる | 自分の手でコードを書き続ける |
| 身につくもの | 顧客折衝・進捗管理・品質管理・調整力 | 最新技術の実装スキル |
| 5年後のイメージ | PM・PLとして案件を持つ | スペシャリストとして技術を深める |
③10年目まで差がつかず、キャリアの本線はマネジメント
この記事の前半、年収の章で触れた「10年目」の話を、ここでは評価の側面から見ます。
良い意味でも悪い意味でもフラットに評価を受ける。良い意味では言われた事をこなしてるだけでそれなりのお金がもらえるし、外からこれをやれと強制される事もない。悪い意味では意識高く色々なことに取り組んだとしても周りと比較して大きな評価差はつかない
OpenWork/2026年3月投稿・デジタルサービス SE 企画員・在籍3〜5年



この構造は、安心材料にも物足りなさにもなります。頑張っても差がつかない代わりに、うまくいかない年があっても大きく下がらない。どちらを重く見るかは人によります。
そして昇進の道筋について、4件が同じ方向の指摘をしていました。
- 「将来的に管理職を目指す道が中心で、技術力を評価する役職枠が少ないため、技術特化型のキャリアはプレゼンスが低い」(2026年6月投稿・社内SE・在籍3年未満)
- 「マネジメント路線が基本となるため、プレイヤー志向の人はキャリアの選択肢が限られやすい」(2026年2月投稿・SE 技師・在籍15〜20年)
- 「マネジメント・技術とも中途半端になりやすく、優秀な若手(30歳前)の離職要因にもなっている」(2026年4月投稿・SE・在籍5〜10年)
- 「キャリアとして給料を上げると考えると、管理職を目指すしかなく、技術者としてガンガン働きたいという場合にはモチベーションの維持が大変」(2023年1月投稿・SE・在籍10〜15年・退職済み)
給与テーブルの構造にも、これと整合する指摘がありました。
すべての職種で給料テーブルが同一であるので、特定の分野の職種のみ給与を高くすることが構造的に難しい
OpenWork/2025年7月投稿・研究開発・在籍3〜5年・退職済み
労働組合が国内電機メーカーと足並みを合わせたがるのかもしれないが、優秀な人材の獲得・リテンションのためには給料体系にメスを入れることが必要ではないか
OpenWork/2023年6月投稿・財務・在籍5〜10年
ここは、採用側から見ると分かりやすい構造です。
日立は電機メーカーであり、賃上げの水準は電機業界の労使交渉と連動します。IT専業の会社が「この職種だけ年収レンジを大きく上げる」といった個別の設計をするのに対して、日立は全職種を同じテーブルに乗せている。だから職種ごとに大きく変えることが難しいわけです。
これは公平性の設計でもあります。営業も設計もSEも、同じ物差しで評価される。一方で、市場価値が急に上がっている職種にとっては、上限が見えやすい構造でもあります。
④働き方と労働条件が、部署でまったく変わります
残業時間の証言が20時間から100時間近くまで割れていることは、前の章でお伝えしたとおりです。ここでは、労働条件そのものについて、もうひとつ押さえておきたい点を扱います。
裁量労働制の適用のされ方です。証言が2つに分かれていました。
| 見え方 | 証言 |
|---|---|
| 任意で選べる | 「裁量労働制の選択は任意なので、平均的な残業を基準に制度の活用を選択する人が多い。平均して40時間以上残業する人は制度を利用せず、それ以下の人であれば利用していることが多い。途中で変更もできる」(2026年7月投稿・鉄道 設計 企画員・在籍5〜10年) |
| 切り替わる | 「入社5年目以降の社員、中途社員は労働条件が裁量労働制に半強制的に切り替わるためその点注意が必要」(2025年2月投稿・企画員・中途入社・在籍3年未満・退職済み) |
| 切り替わる | 「昨今の残業時間の長さからフレックス制から裁量労働制に半強制的に切り替えた話もきいたことがある」(2026年1月投稿・公共営業・中途入社・在籍3年未満) |
証言が食い違っていますが、どちらかが誤りというより、部署や入社区分で運用が違うと読むのが自然です。「任意で選べる」と書いているのは在籍5〜10年の新卒入社の方、「切り替わる」と書いているのはいずれも中途入社の方でした。
裁量労働制そのものが悪い制度ということではありません。残業が少なく収まる部署なら、実労働より多くを受け取れることになります。問題になるのは、想定より残業が多い部署で適用された場合です。
中途で応募する方は、内定時に次の3点を確認しておくと安心です。
- 裁量労働制(専門業務型/企画業務型)の対象かどうか
- 対象の場合、みなし残業は何時間分か
- そのポジションの方の、実際の平均残業時間



みなし時間と実態が近ければ問題ありません。ここが大きく離れているときだけ、慎重に考えれば大丈夫です。
⑤転勤と事業再編で、働く場所や所属会社が変わることがあります
5つ目は、自分の努力ではコントロールしにくい部分です。転勤と、事業再編にともなう転籍。この2つを合わせて13件の証言がありました。
まず転勤です。日立の公式サイトには「配属される部門や職務に応じて、日本全国にある各拠点、もしくは海外拠点で勤務する可能性がある」と記載されています。ただ、これだけでは判断材料になりません。口コミから、もう少し具体的な姿を補います。
財務、人事などで地方に配属されるリスクはまあまあ高いと言うこと。日立市で創業したこともあり、茨城県内にはまだ複数の事業所が存在するので、その分そこで働く可能性もある。その可能性を受け入れられるかは十分に考慮してから入社するべき
OpenWork/2026年3月投稿・財務・在籍3〜5年
コーポレート部門(財務・人事など)は、事業所のある地域への配属可能性が相対的に高いという指摘です。日立製作所は茨城県日立市で創業しており、現在も茨城県内に複数の事業所があります。一方、システム系の部署は顧客に近い場所(首都圏が中心)に置かれることが多いため、同じ会社でも職種によって前提が変わります。
転勤がキャリアや生活に与える影響についても、率直な声がありました。
転勤が多く、自分のライフプランを立てるのが難しいと実感しました。(中略)全国転勤が当たり前なのでそれを踏まえた上で入社することが大切です。全国各地に適応できる力を持ち合わせていれば、上手くいくと思います。今の若手も全国転勤を拒否して会社を辞めるケースが増えているため、会社としてジョブ型や地域割り型で採用をしていくといいのかなと思いました
OpenWork/2025年9月投稿・エンジニア・中途入社・在籍5〜10年・女性
「全国転勤を拒否して辞める若手が増えている」という指摘は、採用側から見ても実感と合います。ここ数年、勤務地を限定したコースを設ける企業は明確に増えました。転勤の可否は、いま最も候補者が重視する条件のひとつです。
そしてもうひとつが、事業再編にともなう転籍です。この記事の前半でくわしく扱いましたが、要点を再掲します。
| ポイント | 証言の内容 |
|---|---|
| 転籍は珍しくない | 「事業再編も活発なため、子会社に転籍させられることも珍しくありません」(2026年1月投稿・SE・在籍5〜10年・女性) |
| 処遇の枠組みが変わる | 「所属が変わると給料体系や、福利厚生までもが、転籍先の企業のものになる」(2026年2月投稿・SE・在籍5〜10年・女性) |
| 個人の成績とは無関係 | 「どんなに優秀であっても、その時の時勢や経営方針であったりする」(2026年2月投稿・設計開発・在籍10〜15年) |
| それ自体が退職理由になる | 「将来的に出向先の企業へ転籍する可能性があるため(退職検討理由)。待遇は悪くないため残念だ」(2024年6月投稿・エネルギー事業統括本部 研究開発・在籍3〜5年) |
繰り返しになりますが、これは日立に限った話ではありません。事業ポートフォリオの入れ替えは大手メーカー全体で起きています。
面接で「転勤はありますか」と聞くと、たいてい「可能性はあります」と返ってきます。この答えからは何も分かりません。聞き方を「このポジションで、直近3年に異動された方はいますか。その方はどこへ異動されましたか」に変えてみてください。実績を聞く形にすると具体的な答えが返ってきますし、失礼にもあたりません。
その会社が良いかどうかは
他の選択肢を見ないと判断できません
人事の立場から言うと、比較対象を持たないまま決めている人が一番損をしています。
50歳未満/未経験は対象外
✓ リモート可否・フレックスなど細かい条件で検索できる
✓ 転職を決めていなくても登録できる
20代後半〜30代が中心
✓ 土曜1日で選考が終わる1Day選考会あり
✓ ITコンサル・メガベンチャーの求人が豊富
日立製作所への転職が向いている人・慎重に考えたい人


ここまで慎重に見るべき点を並べてきましたが、日立製作所の評価が低いわけではありません。OpenWorkでの総合評価は3.69(回答者3,968人)で、上位2%に入る水準です。
評価が高い項目と、低い項目がきれいに分かれています
| 評価項目 | スコア(5点満点) |
|---|---|
| 法令順守意識 | 4.8 |
| 待遇の満足度 | 3.8 |
| 社員の相互尊重 | 3.7 |
| 風通しの良さ | 3.5 |
| 人材の長期育成 | 3.5 |
| 社員の士気 | 3.1 |
| 20代成長環境 | 3.0 |
| 人事評価の適正感 | 3.0 |
法令順守意識の4.8は突出しています。実際、口コミでも繰り返し語られていました。
ホワイトかブラックかと言えば、かなりホワイトである。職場によると思うが、世の中の会社の中では、恵まれた環境である
OpenWork/2025年6月投稿・IT・在籍20年以上・総合評価5.0
労働組合の組織が大きくて力があるため、若い社員(組合員)はしっかりと守られている。(中略)分からない状態で放置される事は無い。上司が若手の指導をする事が大事な業務であり、会社への大きな貢献と認識されている
OpenWork/2026年5月投稿・研究所 研究員・中途入社・在籍20年以上
評価が低めに出ているのは「人事評価の適正感」と「20代成長環境」で、どちらも3.0です。これは、ここまで見てきた論点──10年目までは横並びで差がつきにくいこと、上流工程中心で若手に実装の機会が少ないこと──と、きれいに対応しています。


向いている人・慎重に考えたい人
| 観点 | 向いている | 慎重に考えたい |
|---|---|---|
| 仕事の進め方 | 手順とルールの中で着実に進めたい | スピードと裁量を重視したい |
| 身につけたいもの | 顧客折衝・大規模プロジェクトの管理・調整力 | 実装スキル・特定技術の専門性 |
| キャリアの方向 | マネジメント | スペシャリスト |
| 評価されたいタイミング | 10年かけて積み上げたい | 3年で結果を出して昇給したい |
| 会社との関係 | 安定した環境で長く働きたい | 事業再編や転籍の可能性は受け入れがたい |
| 重視するもの | 福利厚生・休暇・組合の保護 | 目先の年収の伸び |
どちらが良いという話ではありません。口コミを読んでいて印象的だったのは、自分の適性を理解したうえで納得している方の言葉でした。
意思決定が遅い・調整が多いというJTCっぽさは多分にある。大規模インフラを扱う以上ある程度仕方ない部分ではあるが、十分認識してから入社するべきである。自分自身、スピード感で突っ走るより、根を据えて大きな仕組みや物事を改善していくタイプなので相性はいいと思っている
OpenWork/2026年8月投稿・営業・在籍3年未満
「十分認識してから入社するべき」。この記事でお伝えしたかったことは、ほぼこの一文に尽きます。
向き不向きを自分で判断するのは、思っている以上に難しいものです。私が候補者の方に提案しているのは、日立と対極にある会社の求人も2〜3社見てみることです。スピード感のある会社の求人票を読んだうえで日立が良いと思えるなら、その判断はかなり固い。比べる相手がいないと、自分の基準そのものが見えてきません。
日立製作所への転職に関するよくある質問
- 日立製作所は「やめとけ」と言われることがありますが、なぜですか?
-
口コミを読む限り、待遇への不満が理由になっているケースはほとんどありません。挙がっているのは、社内調整や資料作成の多さ、SEでも実装よりも管理が中心になること、10年目までは評価による差がつきにくいことの3つが中心です。いずれも「合わない人には合わない」という性質のもので、会社そのものの評価が低いわけではありません。OpenWorkの総合評価は3.69で、上位2%に入る水準です。
- 日立ビルシステムと日立製作所は、待遇にどのくらい差がありますか?
-
社員クチコミの集計では、日立製作所が812万円、日立ビルシステムが676万円で、差は136万円です。ただし年代別に見ると様子が変わります。20代の差は21万円ほどで、30代で84万円、50代で135万円と、キャリアの後半に向かって開いていく形です。20代で入社する場合、目先の年収ではほとんど差が見えないという点は押さえておいてください。
- 中途入社でも出世できますか?
-
キャリア採用が新卒採用を上回る計画(2026年度で930名対815名)になっていることからも分かるとおり、中途入社を前提とした組織づくりが進んでいます。実際、在籍20年以上の中途入社者の口コミも複数あります。ただし口コミでは「10年目付近までは評価差がつきにくい」という指摘が共通しているため、短期で昇進したい方には物足りなく感じる可能性があります。入社時の等級(グレード)がその後の出発点になるので、内定時に必ず確認してください。
- 転勤は断れますか?
-
公式には「配属される部門や職務に応じて、日本全国にある各拠点、もしくは海外拠点で勤務する可能性がある」とされています。断れるかどうかは個別の事情によりますが、口コミには「今の若手も全国転勤を拒否して会社を辞めるケースが増えている」という指摘もありました。面接では「可能性はありますか」ではなく「このポジションで直近3年に異動された方はいますか。どこへ異動されましたか」と実績を聞くのがおすすめです。
- 日立製作所のSEはプログラミングをしますか?
-
口コミでは「プログラミングをすることはほぼない。プログラミングはパートナー会社の担当であり、社員は主にスケジュール管理を担当する」という声が複数ありました。設計や要件定義には携われるものの、実装そのものは協力会社が担う体制です。大規模システムの元請けとしては一般的な分業ですが、手を動かし続けたい方にとってはギャップになりやすい部分です。
- 平均年収995万円というのは、本当に受け取れる金額ですか?
-
995万円は有価証券報告書に記載された、日立製作所(提出会社)に在籍する25,934人の平均です。管理職層を含む全在籍者の平均なので、入社直後の年収ではありません。年代別に見ると、社員クチコミの集計では20代で432万円、30代で704万円、40代で876万円という水準です。自分に近い数字を知りたいときは、全体平均ではなく年代別を見るのがおすすめです。
- 入社後に部署を変えることはできますか?
-
社内公募・FA制度は存在し、日立グループは2024年11月にグループ公募制度へ人財マッチングのシステムを導入しています。ただし使いやすさについては口コミが割れており、「公募はかなり活発」という声がある一方で「ほとんど実現性がない」「公開されているポジションが狭い」という声もありました。部門や時期による差が大きいようです。「入ってから異動すればいい」という前提で応募先を決めるのは避けたほうが安全です。
- 女性は働きやすい環境ですか?
-
制度面の評価は高く、最長3年の育休や、時短・在宅勤務での昇格実績を挙げる声があります。一方で「現場の女性比率が低く、育休復帰後の昇格例が極めて少ない」という指摘もあり、部署による差が大きいのが実情です。研究開発のAI・クラウド領域のように女性比率が高めの部署もあります。面接では全社の取得率ではなく「この部署に育休から復帰して管理職になった方はいますか」と聞くのが確実です。
まとめ:日立製作所への転職を成功させるために
ここまでの内容を、要点だけ振り返ります。
- 平均年収は995万円で上昇が続いている。2026年3月期の有価証券報告書の数字で、3年前の916万円から79万円上がっています。
- 年収が上がるのは10年目から。等級はS4P(新卒〜3年目)からS1P(8年目以降)まであり、4〜5年目の裁量労働制適用が最初の分岐点になります。
- 同じ「日立」でも給与テーブルは別。グループ4社を同じ物差しで比べると、20代の差は40万円ですが50代では137万円まで開きます。
- 事業再編で所属会社が変わることがある。転籍すると給与体系も福利厚生も転籍先のものになり、個人の成績とは無関係に起こると複数の社員が指摘しています。
- 福利厚生と休暇制度は上位クラス。年休24日に加えて給与100%支給の各種休暇が5日ずつ、5年ごとのリフレッシュ休暇など制度が厚く整備されています。
- キャリア採用が新卒を初めて上回った。2026年度計画は新卒815名に対してキャリア採用930名で、中途の入口は明確に広がっています。
- 後悔の理由は給与ではない。社内調整の多さ、SEでも管理が中心になること、キャリアがマネジメント一本道であることの3つに集中しています。
この記事を書くために約150件の口コミを読み込んで、いちばん印象に残ったのは「待遇は悪くないため残念だ」という一文でした。給与にも福利厚生にも不満はない。それでも辞めることを考えている。日立製作所という会社の難しさは、ここに集約されていると思います。
裏を返すと、この会社に必要な準備ははっきりしています。年収を調べることではなく、自分がどの会社の・どの部署に・どんな職務で入るのかを、応募の段階で確認しておくことです。募集企業の正式名称、配属先の事業が成長領域かどうか、そのポジションの実際の働き方。この3つが分かっていれば、入社後のギャップはかなり小さくなります。
そして、これは日立を受けるかどうかに関わらず言えることですが、比べる相手がいないと自分の基準は見えてきません。日立の求人票を読んで「調整が多そうだけれど、大きな仕事ができそうだ」と思えるかどうかは、対極にある会社の求人を並べて初めて判断できます。応募先を1社に絞り込む前に、いくつか見比べてみてください。


その会社が良いかどうかは
他の選択肢を見ないと判断できません
人事の立場から言うと、比較対象を持たないまま決めている人が一番損をしています。
50歳未満/未経験は対象外
✓ リモート可否・フレックスなど細かい条件で検索できる
✓ 転職を決めていなくても登録できる
20代後半〜30代が中心
✓ 土曜1日で選考が終わる1Day選考会あり
✓ ITコンサル・メガベンチャーの求人が豊富




参考にした情報
- 株式会社日立製作所 有価証券報告書(第157期・2026年3月期)
- 株式会社日立製作所「人的資本の充実に向けた2026年度採用計画について」(2025年2月27日)
- 日立製作所 キャリア採用
- 株式会社日立ビルシステム 会社概要
- OpenWork 株式会社日立製作所
- Yahoo!しごとカタログ 日立製作所の年収
- 国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」
※本記事の情報は2026年8月時点のものです。制度や数値は変更される場合がありますので、応募の際は必ず公式サイトでご確認ください。

