「富士通の平均年収1,012万円」という数字だけを見て、転職先として検討していませんか?
富士通の年収は、FUJITSU Levelという等級で決まります。Level 10なら850〜1,050万円、Level 11なら1,000〜1,250万円。そして、この数字は2024年の給与レンジ改定で引き上げられたばかりです。
この記事では、IT業界の採用実務経験者として、Level 7〜15とVPの年収レンジ、課長・部長との対応、Level 10・11だけが選べる裁量労働制「SPIRIT」、評価制度「Connect」の実際の運用まで、有価証券報告書と社員口コミ43件を突き合わせて解説します。
中途入社と新卒入社で年収がどれだけ違うかというデータも載せています。富士通への転職を検討している方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
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富士通のレベル別年収【Level 7〜15+VP・SVP】早見表


富士通の年収は、FUJITSU Level(FJ Level)という等級で決まります。何年勤めたかではなく、いまどのレベルにいるかです。
先に早見表を置きます。この後、レベルごとに詳しく見ていきます。
| FUJITSU Level | 富士通での呼称 | 年収レンジ | SPIRIT(裁量労働)適用時 | 到達年次の目安 |
|---|---|---|---|---|
| Level 7 | トレーニー | 500〜600万円 | — | 新卒1年目 |
| Level 8 | 一般社員 | 600〜700万円 | — | 新卒2〜6年目 |
| Level 9 | 主任 | 700〜800万円 | — | 新卒3〜10年目 |
| Level 10 | リーダー | 850〜1,050万円 | 950〜1,100万円 | 新卒5〜20年目 |
| Level 11 | 課長補佐(アシスタントマネージャー) | 1,000〜1,250万円 | 1,200〜1,350万円 | 新卒9年目〜定年 |
| Level 12 | 課長(マネージャー) | 1,350〜1,550万円 | — | 新卒11年目〜定年 |
| Level 13 | 部長(シニアマネージャー) | 1,550〜1,750万円 | — | 新卒13年目〜定年 |
| Level 14 | 統括部長(シニアディレクター) | 1,750〜2,000万円 | — | 新卒15年目〜定年 |
| Level 15 | グループ統括・役員 | 2,000〜2,400万円 | — | — |
| VP | 本部長・執行役員以上 | 2,500万円〜 | — | — |
この表は、2026年6月に投稿された社員の口コミに記載されていたものです。筆者が同じOpenWorkの口コミ43件から年収の実額を集計し、矛盾がないことを確認しています。
先に、いちばん重要な構造を1つ。
| 区分 | 該当するLevel | 年収 |
|---|---|---|
| 一般社員 | Level 7〜11 | 500万〜1,350万円 |
| 幹部社員 | Level 12以上 | 1,350万円〜 |
ここが富士通のキャリアの最大の分岐点になります。
そして、もうひとつ押さえておきたいことがあります。一般社員の最上位であるLevel 11は、年収1,250万円まで届きます。 さらにSPIRITという制度を使えば1,350万円。管理職にならなくても、それだけもらえるということです。



「課長にならないと1,000万円に届かない会社」ではありません。ここは後で詳しく書きます。
表の見方で、2点だけ補足します。
1つ目:右端の「到達年次」を見ると、Level 10が「新卒5〜20年目」と幅広くなっています。
誤植ではありません。Level 10には5年目で上がる人もいれば、20年在籍しても上がる人もいる、という意味です。ジョブ型なので、年次で自動的に上がる等級ではありません。
2つ目:Level 11以降は「新卒9年目〜定年」のように、上限が定年になっています。
Level 11に上がれないまま定年を迎える人もいる、ということです。
昇格は保証されていません。
Level 7・8の年収は500〜700万円──2026年から新卒はLevel 8スタートになりました
ここに2026年の変更があります。従来、新卒はLevel 7のトレーニーから始まっていましたが、2026年に「新卒」という枠組み自体が廃止され、新入社員はLevel 8での入社になりました。
実質的に、入社時点で1レベル分の底上げがあったということです。実際、2025年から2026年に投稿された社員口コミでは、在籍3年未満の年収は500万〜670万円に分布しています。
Level 9(主任)の年収は700〜800万円──新卒3〜10年目
新卒入社なら3〜10年目で到達します。
2026年2月に投稿された中途入社の社員(営業)は「レベル9で年収800万円台、レベル10で年収900万円台に届くことが可能」と書いており、その方の実額(843万円)とも整合します。
このあたりから、上がるスピードに個人差が出はじめます。同じ職種でも部署によって昇格の速さが違う、という証言が複数あります。
Level 10(リーダー)の年収は850〜1,050万円──SPIRIT適用なら1,100万円
富士通の年収を検索する人がいちばん多く調べているのが、このLevel 10です。理由ははっきりしていて、中途入社で提示されることが最も多いレベルであり、かつ年収1,000万円に手が届く最初のレベルだからです。
在籍20年以上の社員(SE)の口コミには、こうあります。
「FLvと呼ばれるレベルで給与レンジが決まっている。2024年の見直しで給与レンジが一気に上がった。Lv10になれば1000万可能」



なお、Level 10の年収として「600万円台」「750〜900万円」という数字を目にすることもあると思います。これは2024年の給与レンジ改定より前の水準です。詳しくは後述します。
Level 11(課長補佐)の年収は1,000〜1,250万円──一般社員の最上位
在籍10〜15年の営業職の口コミが、この水準を具体的に語っています。
「Lv11(一般社員の一番上のレベル)でボーナス込みで1200万〜1250万円程度」
管理職にならなくても1,250万円まで届く、ということです。ここは富士通の制度で、はっきり評価できる部分です。
一方で、Level 11に上がれるかどうかは保証されていません。
在籍15〜20年の社員(SE)は「レベル10までは年数に比例して勝手に上がっていく。11は幹部補佐相当だが、このレベルになるかどうかは完全にその人の上司に左右されそう」と書いています。
Level 12(課長・マネージャー)の年収は1,350〜1,550万円──ここから幹部社員
Level 11までとの最大の違いは、ポストの数に制約されることです。実力があっても、部署内の枠が埋まっていれば上がれません。複数の口コミが同じことを書いています。
「実力があっても部署内で枠が埋まっていれば昇格は難しいのではないか」(SE・在籍3年未満)
「FJ levelのアップが順番待ちのような状況になる傾向もある」(エンジニア・在籍5〜10年)
なお、幹部社員への昇格には試験があります。「役職になるためには試験があり、決められた枠に対して受験する形」(営業・中途入社)という証言があります。
Level 13(部長・シニアマネージャー)の年収は1,550〜1,750万円
在籍20年以上のSEの実額(1,370万円/基本給76万円・月、賞与450万円、残業代0円)や、在籍10〜15年の研究開発職の実額(1,400万円)が、Level 12からLevel 13にかけての帯にあたります。この層になると残業代は付きません。
Level 14(統括部長・シニアディレクター)の年収は1,750〜2,000万円
一般的な会社でいう本部長・統括部長のポジションにあたります。
この層は社内での人数が限られるため、社員口コミにも実額の投稿はごくわずかです。
Level 15(グループ統括・役員)の年収は2,000〜2,400万円
このレベルに中途入社で直接入るケースは、ほぼありません。外部から来る場合は、次に説明するVP以上のポジションとして採用されることが多いためです。
VPの年収は2,500万円以上──本部長・執行役員以上の別枠
外部からの幹部採用は、このVPの枠で行われます。富士通が近年、外資系IT・コンサル出身者を役員クラスで採用しているのは、この等級を使ったものです。
なお、VPの上位にSVP(Senior Vice President)があります。執行役員クラスの等級で、年収は3,000万円以上が目安です。人数は限られ、社員口コミにも実額の投稿はありません。
SPIRIT(裁量労働制)──Level 10・11だけが選べる、年収1,000万円への近道



富士通には、SPIRITと呼ばれる裁量労働制があります。
求人票にも制度の詳細は書かれないため、応募の段階では見えにくい部分です。
要点は3つです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | Level 10・11のみ |
| 適用条件 | 上司の推薦が必要(自動ではなく任意選択) |
| 残業代 | つかない |
| 代わりに付くもの | みなし業務手当+賞与時の業績賞与 |
| 年収への影響 | Level 10で+約100万円/Level 11で+約100〜200万円 |
実際の証言を並べます。
「Lv10以上は、上司推薦があればSPIRITと呼ばれる裁量労働制を選択できる。その場合は残業代がつかないが、業務手当とボーナス時に業績賞与がつく」(営業・在籍10〜15年)
「レベル10、11のみ適用できるスピリットという裁量労働制があり、みなし手当が出る。レベル10スピリットで1000万を超えることもある」(営業・中途入社・在籍5〜10年)
「レベルが10以上になるとスピリットと言われる残業込みでの給与体系になり、1000万到達が見えてくる」(コーポレート・在籍3年未満)
ここが重要です。
富士通で年収1,000万円に届く経路は、Level 11への昇格だけではありません。Level 10のままSPIRITを選ぶという経路があります。



そして、これは中途入社の方に直接効く話です。Level 10のオファーを受けたとき、SPIRITが適用されるかどうかで年収が100万円変わります。求人票には書かれません。
オファー面談で聞くべきことが、これで2つになりました。
1つ目は「このポジションはLevel何ですか」。
2つ目は「SPIRITの対象になりますか」。
2つ目を聞ける中途応募者は、ほとんどいません。制度名を知らないからです。逆に言えば、これを聞けるだけで「社内の制度を理解している人」という印象になります。
なお、SPIRITは残業代が出ない制度です。残業が多い部署で適用されると、時間あたりの単価は下がります。「みなし手当は何時間分ですか」まで確認できると理想的です。
この金額の根拠──3つのデータを突き合わせて検証しました
富士通のレベル別年収を調べると、サイトによって数字がばらばらです。「Level 10で600万円台」と書いているところもあれば、「1,000万円可能」としているところもあります。
どれが正しいのか。性質の違う3つのデータを突き合わせて確かめました。
| データ | 内容 | 性質 |
|---|---|---|
| 有価証券報告書(2026年3月期) | 平均年収 1,012万円/平均年齢42.7歳/単体32,224名 | 公表値。動かせない |
| 社員口コミのレベル表 | 上記の早見表(2026年6月投稿・Level 11の社員) | 社内の給与テーブルを知る立場の証言 |
| 社員口コミの年収実額 | 29件(うち本体・現役27件) | 実際に受け取っている金額 |



まず、レベル表と実額が矛盾していないかを確認します。在籍年数別に、実際の年収の中央値を集計しました。
| 在籍年数 | 件数 | 年収の中央値 | レンジ | 相当するLevel |
|---|---|---|---|---|
| 3年未満 | 9 | 670万円 | 500〜1,230万円 | Level 8〜9(中途はLevel 10〜11も) |
| 3〜5年 | 6 | 860万円 | 500〜1,300万円 | Level 9〜10 |
| 5〜10年 | 8 | 810万円 | 700〜1,170万円 | Level 9〜11 |
| 10〜15年 | 3 | 1,250万円 | 1,000〜1,400万円 | Level 11〜12 |
| 20年以上 | 1 | 1,370万円 | — | Level 12〜13 |
レベル表と、きれいに対応しています。10〜15年目の中央値1,250万円は、Level 11の上限(1,250万円)とちょうど一致します。



1点だけ補足します。3〜5年目の中央値(860万円)が、5〜10年目(810万円)より高くなっています。
これはサンプル数が少ないことに加えて、3〜5年の6件に中途入社の方が3名含まれているためです(1,070万円・1,100万円・1,300万円)。新卒で3〜5年目の方は500万〜650万円台に分布しています。
後述しますが、富士通では中途入社と新卒入社で年収の水準がはっきり分かれます。この逆転は、その構造がそのまま出たものです。
次に、有価証券報告書の1,012万円と整合するかを見ます。
富士通はLevel 11までが一般社員、Level 12以上が幹部社員です。この2つに分けて計算します。
| 年収の中心 | 構成比の仮定 | |
|---|---|---|
| 一般社員(Level 7〜11) | 約850万円 | 77% |
| 幹部社員(Level 12以上) | 約1,550万円 | 23% |
| 加重平均 | 約1,012万円 | — |
| 有価証券報告書の実際 | 1,012万円 | — |
大企業の管理職比率としては、ごく標準的な数字です。
一方、Level 10を600〜800万円、Level 11を800〜900万円、Level 12を900〜1,100万円としているレンジで同じ計算をすると、全社平均は870万円前後にしかなりません。有価証券報告書の1,012万円には140万円以上届きません。届かせるには社員の大半が幹部社員である必要がありますが、それは組織の形として成り立ちません。
3つのデータを突き合わせて矛盾が出ないのは、この記事の表のほうです。



ただし、断定はしません。前提として押さえておくべき点が4つあります。
- 幹部社員比率23%は仮置きの数字です。富士通は管理職比率を公表していません
- レベル表の出典は社員口コミ1件です。実額29件と突き合わせて矛盾がないことは確認しましたが、公式に公表された数字ではありません
- 有価証券報告書の数字は単体(富士通株式会社)のものです。富士通Japanなどのグループ会社は含まれていません
- 有報の平均年間給与にも、口コミの年収にも、賞与と残業代が含まれます。基本給だけを見ている数字とは比較できません
なぜサイトによって数字が違うのか──2024年に給与レンジが一括で上がりました
富士通の年収を調べていると、同じLevel 10について「600〜800万円」「750〜900万円」「850〜1,050万円」と、いくつもの数字に行き当たります。
どれが正しいという話ではありません。
在籍20年以上の社員(SE・2026年3月投稿)の口コミが、これを直接語っています。
「FLvと呼ばれるレベルで給与レンジが決まっている。2024年の見直しで給与レンジが一気に上がった。 Lv10になれば1000万可能。また、賞与も10年前に比べればいささかベースが上がったと感じる。20代で半期100万も普通にある」
そして、この証言は他のデータでも裏が取れます。
| 根拠 | 内容 |
|---|---|
| 有価証券報告書 | 平均年収が929万円(2025年3月期)→ 1,012万円(2026年3月期)へ、1年で83万円上昇 |
| 社員口コミの投稿年別 | 2025年投稿の中央値800万円 → 2026年投稿の中央値843万円 |
| 購買職(在籍5〜10年) | 「給与はここ数年でかなり上がった。入社の時に想定していたスピードよりもかなり早いペースで毎年給料が上がっていく」 |
| SE(在籍3〜5年) | 「最近の昇給ベースは若手を中心にハイペース」 |
| コーポレート(在籍3年未満) | 「毎年初任給が上がっており……今年から新卒という枠組みが廃止され、新入社員はレベル8での入社となった」 |
つまり、「Level 10で600万円台」という説明は、2024年より前の富士通については正確だった、ということです。書かれた時期が違う、というだけの話です。



これから応募する方が見るべきなのは、改定後の数字になります。年収の情報を見るときは、それがいつ時点のものかを一緒に確認してみてください。
企業の年収情報を調べるときは、その数字が「いつのものか」を一緒に見てみてください。これだけで精度がかなり上がります。
給与制度の改定は、思っている以上に頻繁に起きています。とくにこの2〜3年は、人材確保のために基本給テーブルごと引き上げる大手が相次ぎました。制度が変わると、それ以前に書かれた情報は自動的に古くなります。どちらが正しいという話ではなく、時点が違うということです。
見分け方があります。有価証券報告書の平均年収の推移を見ることです。1年で数十万円動いていたら、制度が変わっている可能性が高い。富士通は2025年3月期の929万円から2026年3月期の1,012万円へ、83万円上がっています。通常のベースアップでは、ここまでの幅にはなりません。
中途入社の年収交渉で最も重要なのは、金額そのものより「どのLevelでのオファーか」です。同じ900万円でも、Level 10の上限としての900万円と、Level 11の下限としての900万円では、3年後がまったく違います。
Level 11なら、そのレベルの中で上限の1,250万円(SPIRIT適用なら1,350万円)まで上がる余地があります。Level 10の上限で入ると、次はレベル昇格そのものが必要になります。
オファー面談では「このポジションはLevel何ですか」を必ず聞いてください。ジョブ型を掲げている会社なので、これは失礼な質問にはなりません。答えられない場合、その求人はジョブディスクリプションが固まっていない可能性があります。
富士通の課長・部長は何レベル?──役職名とFUJITSU Levelの対応表


「富士通の課長の年収は」「部長は何レベル」といった検索が多くあります。先に結論を書きます。
富士通に「課長」「部長」という等級は、もうありません。あるのはFUJITSU Levelだけです。
ジョブ型人事制度への移行にともなって、年功的な役職名による等級はなくなりました。ただし、社内の呼称としてや、名刺の肩書き、他社との対外的なやりとりでは、いまも役職名が使われています。だから検索されるわけです。
一般的な役職名とFUJITSU Levelの対応は、おおむね次のようになります。
| 一般的な役職名 | 富士通での呼称 | FUJITSU Level | 年収レンジ |
|---|---|---|---|
| 一般社員(新卒〜) | トレーニー/一般社員 | Level 7〜8 | 500〜700万円 |
| 主任 | 主任 | Level 9 | 700〜800万円 |
| リーダー | リーダー | Level 10 | 850〜1,050万円(SPIRIT適用で〜1,100万円) |
| 課長代理・課長補佐 | アシスタントマネージャー | Level 11 | 1,000〜1,250万円(SPIRIT適用で〜1,350万円) |
| 課長 | マネージャー | Level 12 | 1,350〜1,550万円 |
| 部長 | シニアマネージャー | Level 13 | 1,550〜1,750万円 |
| 統括部長 | シニアディレクター | Level 14 | 1,750〜2,000万円 |
| 事業部長・グループ統括 | 役員 | Level 15 | 2,000〜2,400万円 |
| 本部長・執行役員 | VP | VP(Level外) | 2,500万円〜 |



この表でいちばん重要な線は、Level 11とLevel 12の間です。
| 区分 | Level | 該当する役職 |
|---|---|---|
| 一般社員 | Level 7〜11 | トレーニー・一般社員・主任・リーダー・課長補佐 |
| 幹部社員 | Level 12以上 | 課長・部長・統括部長・役員 |
「課長になれるかどうか」が、富士通のキャリアの最大の分岐点です。
ここを境に、年収の伸び方も、昇格の決まり方も変わります。
そして知っておくべきなのは、一般社員の最上位であるLevel 11でも1,250万円まで届くことです。課長にならなくても、それだけもらえます。「管理職にならないと稼げない会社」ではありません。



この対応表を見るときに、2つ注意点があります。
注意①:役職名とレベルは一対一で対応していません
同じ「部長」でも、事業部の規模によってLevel 13の場合とLevel 14の場合があります。ジョブ型は「その職務にいくらの値がつくか」で決まる制度なので、肩書きが同じでも職務の重さが違えばレベルが違います。
これは制度として意図されたものです。年功制なら「部長は全員同じ等級」ですが、ジョブ型では「小さな部の部長」と「主力事業の部長」が同じ等級である必要はありません。
したがって、この対応表は「だいたいこのあたり」を示すものとして使ってください。
注意②:転職して同じ肩書きに就いても、年収は同じにならない
他社で課長をしている方が富士通に移る場合、「課長として採用されるから年収1,350万円」とはなりません。
決まるのは、就く職務のLevelです。他社での課長経験が富士通のLevel 12の職務に見合うと判断されればLevel 12ですが、Level 11(1,000〜1,250万円)のポジションでのオファーになることもあります。逆に、専門性が高い領域であれば、管理職経験がなくてもLevel 11のオファーが出ることがあります。
実際、2026年6月に投稿された中途入社の方(営業)は、在籍3年未満でLevel 11の課長補佐、年収1,230万円です。前職での肩書きではなく、就いた職務のLevelで決まっているということです。



つまり、富士通への転職で見るべきは「役職が上がるか」ではなく「Levelがいくつか」です。
この記事の前半のレンジ表と、オファー面談で提示されたLevelを突き合わせてください。
役職名で年収を調べている方に、ひとつだけお伝えしておきます。
ジョブ型を導入した企業では、「役職名で年収を推測する」という調べ方そのものが機能しなくなっています。富士通に限らず、日立製作所もNECも同じ方向に動いています。
代わりに使えるのが、等級(グレード・レベル・バンド)です。求人票には書かれませんが、エージェント経由なら「このポジションは社内で何等級ですか」を確認してもらえます。ここが分かると、提示年収が上限に近いのか下限に近いのかが判断できます。同じ提示額でも、交渉の余地がまったく変わります。
富士通の場合、聞くべきことは3つです。「Levelはいくつか」「SPIRITの対象か」「そのLevelのレンジのどのあたりか」。この3つが分かれば、提示額が妥当かどうかを自分で判断できます。
その会社が良いかどうかは
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人事の立場から言うと、比較対象を持たないまま決めている人が一番損をしています。
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✓ リモート可否・フレックスなど細かい条件で検索できる
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20代後半〜30代が中心
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富士通の年齢別・年代別の年収レンジ


レベルで見るのがいちばん正確ですが、「いま30歳で、富士通ならいくらか」を知りたい方も多いはずです。年齢の軸で整理します。
以下は、社員口コミサイトOpenWorkに寄せられた2,900名の回答をもとにした年齢別の推定年収です。有価証券報告書の平均年収(1,012万円)が全社員の平均であるのに対し、こちらは「その年齢の社員がいくら受け取っているか」を示しています。
前提として、富士通はジョブ型に移行しているため、年齢と年収の対応は以前より緩くなっています。同じ35歳でもLevel 9の人とLevel 11の人がいて、年収差は400万円を超えます。表の「レンジ」の広さは、その差そのものです。
| 年齢 | 推定年収 | レンジ | 相当するLevel |
|---|---|---|---|
| 25歳 | 485万円 | 357万〜658万円 | Level 7〜8 |
| 30歳 | 621万円 | 458万〜842万円 | Level 8〜9 |
| 35歳 | 754万円 | 556万〜1,024万円 | Level 9〜10 |
| 40歳 | 859万円 | 633万〜1,165万円 | Level 10〜11 |
| 45歳 | 920万円 | 678万〜1,248万円 | Level 10〜12 |
| 50歳 | 947万円 | 698万〜1,285万円 | Level 11〜12 |
| 55歳 | 975万円 | 718万〜1,322万円 | Level 11〜13 |
30歳で621万円、40歳で859万円、50歳で947万円。伸びが最も大きいのは25歳から35歳の10年間で、269万円上がります。
一方、45歳から55歳の10年間では55万円しか上がりません。Level 12以上はポジションの数に制約されるため、ここから先は昇格しないと動かなくなるからです。
そして、レンジの広がり方を見てください。25歳では357万〜658万円(差301万円)ですが、45歳では678万〜1,248万円(差570万円)に広がります。同じ年齢でも、上と下で570万円の差がつくということです。年齢が上がるほど「平均」で見る意味がなくなります。
| タイミング | 何が起きているか | |
|---|---|---|
| 最も伸びる | 25歳→35歳(+269万円) | Level 7〜8から Level 9〜10へ。ここは大半の人が通過する |
| 分岐点 | 35歳→45歳(+166万円) | Level 10からLevel 11・12へ上がれるかどうか。年収1,000万円の壁 |
| 止まる | 45歳→55歳(+55万円) | ポストが空かないと上がらない領域。昇格しなければほぼ横ばい |
つまり、富士通で40歳の標準的な社員はLevel 10に入ったところで、まだレンジの上のほうには届いていない、ということです。
ここで注意していただきたいのは、この859万円が「2,900名の回答の平均」だということです。回答には2024年の給与レンジ改定より前のものも含まれます。実際、投稿年で分けると2025年投稿の中央値が800万円、2026年投稿は843万円と、上がっています。いま入社する方が見るべきなのは、この表よりやや上の水準です。
そのうえで、「Level 11に上がれば1,000万円」は事実ですが、「40歳になれば1,000万円」ではありません。ここを混同しないでください。年齢ではなくLevelとSPIRITの有無で決まります。
富士通の職種別の年収──エンジニア・SEと企画職では265万円違う
年齢と同じくらい、職種による差が大きいのが富士通の特徴です。
| 職種 | 平均年収 | レンジ | 回答者数 |
|---|---|---|---|
| 企画 | 957万円 | 388万〜1,720万円 | 68名 |
| 管理職 | 937万円 | — | — |
| マーケティング | 908万円 | 330万〜2,000万円 | 59名 |
| 研究開発 | 844万円 | — | — |
| コンサルタント | 839万円 | — | — |
| コーポレート | 785万円 | — | — |
| 開発 | 761万円 | 240万〜2,000万円 | 166名 |
| 営業 | 733万円 | 200万〜2,000万円 | 646名 |
| エンジニア・SE | 692万円 | 280万〜1,700万円 | 1,346名 |
ここでいちばん重要なのは、最も人数が多い職種が、最も年収が低いという事実です。
エンジニア・SEは回答者2,900名のうち1,346名、実に46%を占めていて、平均年収は692万円。企画職(957万円)とは265万円の差があります。
「富士通の平均年収は1,012万円」という数字を見て応募し、エンジニア・SEのポジションで入った場合、この265万円のギャップに直面することになります。
| 年齢 | エンジニア・SE | 営業 | 企画 | コンサルタント |
|---|---|---|---|---|
| 25歳 | 487万円 | 478万円 | — | 590万円 |
| 30歳 | 613万円 | 637万円 | 670万円 | 681万円 |
| 35歳 | 742万円 | 774万円 | 817万円 | 858万円 |
| 40歳 | 845万円 | 886万円 | 959万円 | 1,042万円 |
| 45歳 | 908万円 | 977万円 | 1,083万円 | 1,155万円 |
| 50歳 | 936万円 | 1,047万円 | 1,169万円 | 1,181万円 |
40歳の時点で、エンジニア・SEが845万円、コンサルタントが1,042万円。197万円の差です。50歳では245万円に広がります。



中途で応募する際は、この差を理解したうえでポジションを選んでください。同じ富士通でも、どの職種で入るかによって生涯年収は数千万円変わります。
職種別の年収差を見て「では企画職で応募しよう」と考える方がいますが、これは順番が逆です。
企画職の回答者は68名、エンジニア・SEは1,346名。そもそも枠の数が20倍違います。 年収が高いのは、難易度が高くポジションが少ないからです。
現実的な戦略は2つあります。ひとつは、エンジニア・SEで入って社内でポジションを移ること。富士通はジョブ型なので、社内公募で職務を変えられます。もうひとつは、いまの職種のまま、より高いLevelのオファーを取りにいくこと。エンジニア・SEでもLevel 11なら1,000万円台です。
職種を変えるより、Levelを1つ上げるほうが、たいてい現実的です。
【重要】富士通は中途入社のほうが年収が高い──同じ在籍3年未満で380万円差
転職を検討している方に、いちばんお伝えしたいのがここです。
社員口コミ27件の年収実額を、新卒入社と中途入社に分けて集計しました。
| 件数 | 年収の中央値 | |
|---|---|---|
| 新卒入社 | 17件 | 700万円 |
| 中途入社 | 10件 | 1,050万円 |
350万円の差があります。「中途は年齢が高いから」ではありません。在籍年数をそろえても、差は残ります。
| 年収の中央値 | 実際の投稿値 | |
|---|---|---|
| 新卒入社・在籍3年未満 | 550万円 | 500/500/550/600/670万円 |
| 中途入社・在籍3年未満 | 930万円 | 670/843/1,016/1,230万円 |
同じ在籍3年未満で、380万円の差です。
理由は制度の設計にあります。新卒はLevel 8からのスタートですが、中途はその人の経験に見合ったLevelで採用されます。前職での実績が評価されれば、入社初年度からLevel 10・11で入ることになります。
実際、2026年6月に投稿された営業職の方は、中途入社・在籍3年未満でLevel 11(課長補佐)、年収1,230万円。2025年6月投稿のコンサルタントは、中途入社・在籍3年未満で1,016万円です。
新卒で入って同じLevelに到達するには、9年から11年かかります。
これは富士通に限った話ではなく、ジョブ型に移行した日本企業に共通する構造です。
年功制の会社では、中途入社は「同期より遅れて入った人」として扱われ、年収も新卒組に合わせられます。ジョブ型では、そもそも同期という概念がありません。就く職務のLevelで決まるので、外から来た人が入社初日に社内10年目より上のLevelにいる、ということが普通に起きます。
だから、中途で入るなら「入ってから頑張って上がる」より「入る時点のLevelを上げる」ほうが、はるかに効率が良いです。入社後にLevelを1つ上げるには数年かかりますが、オファー段階の交渉なら数週間です。
ここが、転職エージェントを使う実利がいちばん出る場面でもあります。「このポジションはLevel 10と11のどちらの募集ですか」を、候補者本人が聞くのは切り出しにくい。エージェント経由なら、当たり前の確認として聞いてもらえます。
年収の内訳──残業代が1割から1.5割を占めています
最後に、年収の中身を見ます。ここは転職を検討している方に必ず確認していただきたい部分です。
| 項目 | 比率 |
|---|---|
| 基本給 | 61% |
| 賞与 | 24% |
| 残業代 | 12% |
| その他 | 3% |
| 年収 | 基本給(月) | 残業代(月) | 賞与(年) | 残業代が年収に占める割合 |
|---|---|---|---|---|
| 500万円 | 28万円 | 2万円 | 100万円 | 4.8% |
| 600万円 | 31万円 | 4万円 | 180万円 | 8.0% |
| 632万円 | 31万円 | 5万円 | 200万円 | 9.5% |
| 670万円 | 30万円 | 9万円 | 200万円 | 16.1% |
| 843万円 | 37万円 | 11万円 | 223万円 | 15.7% |
| 873万円 | 37万円 | 11万円 | 150万円 | 15.1% |
| 1,016万円 | 44万円 | 11万円 | 320万円 | 13.0% |
| 1,170万円 | 50万円 | 10万円 | 450万円 | 10.3% |
| 1,250万円 | 53万円 | 12万円 | 430万円 | 11.5% |
| 1,370万円 | 76万円 | 0円 | 450万円 | 0% |
きれいな傾向が出ています。
年収600万〜900万円の層では、残業代が年収の15%前後を占めます。年間で100万円以上です。つまり、その帯の人にとって「残業が減る」ことは「年収が100万円下がる」ことと同じ意味になります。
一方、いちばん下の1,370万円の方(在籍20年以上・SE)は、残業代が0円です。基本給が月76万円まで上がっているためで、幹部社員は裁量労働に移行して残業代の対象外になります。
そしてその中間に、前述のSPIRITがあります。Level 10・11で選択すると、残業代の代わりにみなし業務手当が付く。残業が少ない部署なら得、多い部署なら損、という制度です。
求人票の「想定年収」を見るときは、そこに残業代が何時間分含まれているかを必ず確認してください。
富士通に限らず、大手SIerの提示年収には月20〜30時間分の残業代が織り込まれていることがよくあります。「年収850万円」と書かれていても、うち100万円が残業代なら、残業ゼロの働き方をした瞬間に750万円になります。
聞き方は「提示額に固定残業代は含まれますか。含まれる場合、何時間分ですか」。これは労働条件明示の対象なので、答えないほうが問題です。遠慮なく聞いてください。



なお、富士通の平均年齢は42.7歳、平均勤続年数は17.6年です(2026年3月期)。
ここに、この5年で最も大きな変化が出ています。2021年3月期の平均年齢は43.8歳、平均勤続年数は19.6年でした。5年間で、平均年齢が1.1歳・平均勤続年数が2.0年、どちらも下がっています。
同じ期間に、平均年収は865万円から1,012万円へ147万円上がりました。
「若くなりながら、年収が上がっている」。これは中途採用の拡大とジョブ型移行が同時に進んだ結果として、最も素直に読める形です。
【2026年最新】富士通の平均年収は1,012万円で過去最高──有価証券報告書の中身


2026年3月期(第126期)の有価証券報告書で、富士通の平均年間給与は1,012万円になりました。前年比+83万円。同社として初めて1,000万円を超えています。
「富士通の平均年収は929万円」という記述をまだ多く見かけますが、それは1つ前の期(2025年3月期)の数字です。
過去8年の推移──2025年3月期に一度下がって、2026年3月期に過去最高
| 決算期 | 平均年間給与 | 平均年齢 | 平均勤続年数 |
|---|---|---|---|
| 2019年3月期 | 798万円 | 43.2歳 | 19.2年 |
| 2020年3月期 | 803万円 | 43.6歳 | 19.5年 |
| 2021年3月期 | 865万円 | 43.8歳 | 19.6年 |
| 2022年3月期 | 859万円 | 43.6歳 | 19.2年 |
| 2023年3月期 | 879万円 | 43.7歳 | 19.1年 |
| 2024年3月期 | 965万円 | 43.6歳 | 18.8年 |
| 2025年3月期 | 929万円 | 43.1歳 | 18.2年 |
| 2026年3月期 | 1,012万円 | 42.7歳 | 17.6年 |
注目すべきは、一直線には上がっていないことです。
2024年3月期に965万円まで上がったあと、2025年3月期は929万円に下がり、2026年3月期に1,012万円へ跳ねています。
「富士通の平均年収は929万円」と「1,012万円」と「965万円」が、いろいろなサイトに並んでいるのは、これが理由です。どれも間違いではなく、見ている決算期が違うだけです。最新は1,012万円(2026年3月期)です。
そして、2019年3月期からの7年で、平均年収は798万円から1,012万円へ214万円(+27%)上がりました。同じ期間に、平均年齢は43.2歳から42.7歳へ、平均勤続年数は19.2年から17.6年へ下がっています。
2025年3月期に一度下がった理由は、公表されていません。
賞与の変動や従業員構成の変化が考えられますが、有価証券報告書からは特定できませんでした。
いずれにしても、直近2期を平均すると970万円前後で、長期のトレンドとしては上昇が続いています。
従業員数は連結で1万3,540人減っている──この数字とセットで読む
もうひとつ、同じ有価証券報告書に載っている数字です。
2026年3月期の従業員数は、単体で32,224名(前年比▲2,626名)、連結で99,203名(前年比▲13,540名)。連結では1年で12%以上減っています。
平均年収が上がり、従業員数が減り、平均年齢が下がっている。この3つは同じ方向を向いています。
ただし、連結従業員数の減少幅が大きいのは、事業の売却や再編にともなうグループ会社の連結除外が含まれるためと考えられます。「1万3,540人が退職した」という意味ではありません。内訳は有価証券報告書のセグメント情報をご確認ください。



転職を検討する立場で押さえるべきなのは、単体の32,224名(▲2,626名・▲7.5%)のほうです。
富士通株式会社そのものの人員が、1年で7.5%減っています。そのうえで平均年収が83万円上がっている。人を絞って処遇を上げる方向に、はっきり舵を切っています。
「富士通の平均年収は737万円」という数字も見かけるのはなぜか
富士通の年収を調べていると、1,012万円のほかに「737万円」という数字にも行き当たります。社員口コミサイトOpenWorkに載っている平均年収です。
275万円も違います。どちらかが間違っているのでしょうか。
そうではありません。見ている集団が違うだけです。分解できます。
| 有価証券報告書 | OpenWork | |
|---|---|---|
| 平均年収 | 1,012万円 | 737万円 |
| 対象 | 富士通株式会社の全社員 | 回答した社員・元社員 |
| 人数 | 32,224名 | 2,900名(全社員の9%) |
| 平均年齢 | 42.7歳 | 35歳 |
| 性質 | 会社が開示した確定値 | 自己申告 |
決定的なのは平均年齢です。OpenWorkの回答者は平均35歳で、会社全体(42.7歳)より7.7歳若い集団です。
OpenWork自身の年齢別データを使って、42.7歳の水準に補正してみます。40歳で859万円、45歳で920万円なので、42.7歳はおよそ892万円。
- OpenWorkの737万円 →(回答者が7.7歳若いぶん +155万円)→ 892万円
- 892万円 →(管理職・幹部層による押し上げ +120万円)→ 1,012万円
275万円の差のうち、155万円は回答者の年齢、120万円は管理職層の押し上げで説明がつきます。どちらも正しい数字です。
そして、転職を検討している方にとって実用的なのは、737万円でも1,012万円でもなく、自分の年齢の欄の数字です。40歳なら859万円。ここが出発点になります。
平均年収を見るときは、必ず「平均年齢」もセットで見てください。これだけで、見比べる精度が一段上がります。
平均年収が高く見える会社の中には、平均年齢が高いだけ、というケースがあります。逆に、平均年齢が若くて平均年収が高い会社は、本当に払っている会社です。
富士通の場合、5年前は平均年齢43.8歳で865万円。いまは42.7歳で1,012万円です。若くなりながら147万円上がっている。この読み方ができると、求人票の「平均年収◯◯万円」に振り回されなくなります。
有価証券報告書の1,012万円に含まれるもの・含まれないもの
富士通の2026年3月期(第126期)の有価証券報告書によると、平均年間給与は1,012万円です(平均年齢42.7歳、平均勤続年数17.6年、従業員数(単体)32,224名、従業員数(連結)99,203名)。
(参照:富士通株式会社 有価証券報告書 第126期(2026年3月期))
この1,012万円には、基本給・残業代・賞与(年2回)が含まれています。
ここで人事の立場から注意したいのは、
この数字はあくまで「富士通本体の正社員の平均」であるという点です。
有価証券報告書の平均年収には、以下のような要素が含まれていません。
- グループ子会社(富士通Japanや富士通フロンテック等)の社員の給与
- 契約社員・派遣社員の給与
- 退職金や確定拠出年金の企業拠出分
- カフェテリアプランのポイント(福利厚生費)



なお、この数字は富士通株式会社(単体)のものです。
富士通Japan、富士通ネットワークソリューションズ、富士通総研といったグループ会社は含まれていません。グループ会社の年収水準は、本体より低いのが一般的です。「富士通」で検索して出てくる年収を、グループ会社の求人に当てはめないでください。
平均年収1,012万円と「あなたがもらえる年収」は別物である理由
平均年収1,012万円という数字は、平均年齢42.7歳・平均勤続17.6年という社員構成の平均です。20代・30代の転職者がこの金額から始まるわけではありません。
年齢別のレンジは前述のとおりで、30歳で621万円、40歳で859万円が目安になります。
転職時のオファー年収は、前職の年収・経験・面接での評価によって個別に決まります。見るべきは平均年収ではなく、提示されたポジションのFUJITSU Levelです。
20代で転職する場合、「平均年収1,012万円」にはまずたどり着きません。転職時のオファー年収は、前職の年収・経験・面接での評価によって個別に決まります。
人事の立場で言うと、有価証券報告書の平均年収は「採用のPR材料」として使われがちです。しかし、その数字には40代・50代の高年収層が含まれています。転職者が実際にもらえる金額は、あくまでオファーレター(内定通知書)に書かれた金額がすべてです。
他社SIer(NTTデータ・日立・NEC)との比較で見えること
富士通の年収水準を業界内で位置づけるために、主要SIer各社の有価証券報告書データを比較してみましょう。
| 企業名 | 平均年収 | 平均年齢 |
|---|---|---|
| 野村総合研究所(NRI) | 1,333万円 | 40歳 |
| 電通総研 | 1,123万円 | 40.8歳 |
| 日立製作所 | 995万円 | 42歳 |
| NEC | 994万円 | 43歳 |
| 富士通 | 1,012万円 | 42.7歳 |
| NTTデータ | 923万円 | 40歳 |
富士通は日立やNECと同水準ですが、NRIや電通総研にはおよびません。ただし、NRIはコンサルティング寄りで事業モデルが異なるため、単純な比較は適切ではありません。



ただし、平均年齢が若い会社は、若手が多いぶん平均が下がる面もあります。「若いうちから稼げる」かどうかは、平均年収ではなく年齢別のデータで見たほうが確実です。次にそれを載せます。
他社と年収を比べるときは、出典をそろえるのが鉄則です。有価証券報告書どうし、口コミサイトどうしで見ないと、定義が違って比較になりません。
同じOpenWorkのデータで、富士通とNECを年齢別に並べます。
| 年齢 | 富士通 | NEC | 差 |
|---|---|---|---|
| 25歳 | 485万円 | 482万円 | +3万円 |
| 30歳 | 621万円 | 607万円 | +14万円 |
| 35歳 | 754万円 | 721万円 | +33万円 |
| 40歳 | 859万円 | 811万円 | +48万円 |
| 45歳 | 920万円 | 874万円 | +46万円 |
| 50歳 | 947万円 | 915万円 | +32万円 |
| 55歳 | 975万円 | 949万円 | +26万円 |
20代のうちは、ほとんど差がありません(25歳で3万円)。差が開くのは30代後半から40代前半で、40歳時点が最大の48万円。そこからまた縮まります。
つまり両社の違いは「初任給の水準」ではなく、「30代後半にどれだけ上げられるか」に出ています。中途で移ることを考えている方にとっては、この年代がいちばん判断に効く場所です。
なお、有価証券報告書ベースでは富士通1,012万円(2026年3月期)、NEC 994万円(2025年度)で、差は18万円です。口コミベースの40代の差(46〜48万円)より小さく出ます。これは両社の管理職構成比の違いを反映していると考えられますが、断定はできません。


年収比較をするとき、人事は「平均年齢」と「事業モデル(コンサル寄りかSI寄りか)」も必ず見ます。単純に年収の数字だけで企業を選ぶと、入社後に「思ったより上がらない」と感じることになりかねません。
なお、富士通が近年グループ会社の統合を進めている背景には、2026年施行の取適法(下請法の改正)による商流の見直しがあります。



多重下請け構造そのものが法規制の対象になったことで、SIer各社は商流を短くする方向に動いています。
転職先を選ぶ際にも「その会社が何次請けにいるか」は年収に直結する論点なので、別記事にまとめました。


評価制度「Connect」──レベルはどう上がるのか


ここまでレベルごとの年収を見てきました。次の疑問は「どうすればレベルが上がるのか」です。
上のレベルの職務に就いたときに上がります。評価は、その職務を任せてよいかの判断材料です。ここを取り違えると、いくら評価を取っても上がらないという状態になります。
評価は5段階──3回続けて下位だとReskill対象になります
Connectの評価は、2026年2月時点で5段階です。実際に社内で使われている名称を、社員の口コミから引きます。
| 評価 | 位置づけ |
|---|---|
| Distinguished | 最上位 |
| Outstanding | 上位 |
| Successfully Meet | 標準(期待どおり) |
| Partially Meet | 期待を下回る |
| Unsatisfied | 最下位 |
評価は半年に一度。そして、この口コミにはもう1つ重要なことが書かれています。
「3回連続でPM(Partially Meet)をもらったら、Reskillに繋ぐ可能性があります」
3期連続で期待を下回ると、リスキリングの対象になるということです。1年半で発動する計算になります。
なお、2026年2月投稿の別の社員(営業・中途入社)は「今後3段階評価の通年に変わる可能性が出ている」と書いており、制度はいままさに動いている最中です。応募前に最新の運用を確認してください。
評価される3つの軸──重み付けは50:30:20
Connectは3つの軸で評価されます。軸の名前だけでなく、重み付けまで見ておくと、何を求められているかが具体的に分かります。
| 軸 | 見られるもの | 重み |
|---|---|---|
| Impact | 組織や顧客の成長にどれだけ貢献したか | 50% |
| Behaviours | 個人のふるまいで、周囲にどれだけ良い影響を与えたか | 30% |
| Learning & Growth | 自分や部下・チームのスキルをどれだけ向上させたか | 20% |
そして、同じ口コミにこう続きます。
「評価の重み付けから50%、30%、20%のような設定になっているが、どの項目を重視するかは上司によってまちまちである印象」
これは複数の口コミが一致して指摘している点です。「上司の裁量による部分が多く、一律の評価基準が浸透しているかというとそうではない」(SE・在籍3年未満)、「全社共通の評価基準が定義されているが、部署によっては全く独自の評価基準を勝手に設けていることもある」(インフラエンジニア・在籍10〜15年)。
もうひとつ、実務上重要なのは、絶対評価をうたいながら実際は相対評価だという証言が非常に多いことです。
「絶対評価と言いつつ中心は相対評価であり、かつ、人間が決めるものなので多少の好き嫌いも反映されている」(営業・在籍10〜15年)
「最終的には本部や事業部内で相対的に比較されて決まるため、どれだけ実績を積んでも他がより高い評価であれば低めの結果になることもある」(SE・在籍15〜20年)
「絶対評価と言いながら実際は相対評価」は、富士通に限った話ではありません。ほぼすべての日本の大企業がそうです。
理由は単純で、賞与の原資が有限だからです。全員が最上位評価を取っても、配れる金額は決まっている。だから、どこかで必ず相対化が入ります。制度が形骸化しているのではなく、そもそも原資制約のもとで設計されているということです。
面接で「評価制度は絶対評価ですか」と聞いても意味がありません。聞くなら「上位評価は何%の枠ですか」「評価の分布は開示されていますか」です。答えられる会社は、運用が透明です。
昇格には試験がある。そして「枠」がある
評価が良ければ自動的に上がる、という制度ではありません。2つの関門があります。
ひとつは試験です。
「レベルが上がるためには試験が必要です。基本的に実力や、担当領域における実績などを評価されて、試験の対象となれます」(Sales・中途入社・在籍3年未満)
「役職になるためには試験があり、決められた枠に対して受験する形」(営業・中途入社・在籍3〜5年)
もうひとつが、より現実的な壁です。枠です。
「上記レベルの昇格に関しては、運の要素がかなり絡んでくると思われる。実力があっても部署内で枠が埋まっていれば昇格は難しいのではないか」(SE・在籍3年未満)
「上司が変わるようなプロジェクト移動を繰り返したり、上司配下に同じくらいのレベルの人が多くいると、FJ levelのアップが順番待ちのような状況になる傾向もある」(エンジニア・在籍5〜10年)
「FujitsuLvも個人の力量に依ることはなく、年功序列や所属チーム内のlv配分などが重要な要素として関わってくる」(営業・在籍5〜10年)
逃げ道がある──社内公募でレベルを上げる
ここまで読むと閉塞感がありますが、富士通には抜け道が用意されています。社内公募(ポスティング)です。
「社内公募も充実しており、評価に不満があれば社内で別のポストを探し、ステップアップを実現することも可能なため、自身の目指したいキャリアに応じて柔軟に選択できる環境になっている」(エンジニア・在籍3〜5年・2026年8月投稿)
「社内ポスティング制度を利用して上位レベルに移動するケースも見られる」(システムエンジニア・在籍3年未満)
いまの部署で枠が埋まっているなら、枠が空いている部署の職務に応募する。ジョブ型なので、これが制度として成立します。
中途入社を検討している方にとって、これは重要な材料です。 「入った部署が当たりかハズレか」で人生が決まる会社ではない、ということだからです。
降格もあります──ここ数年で厳しくなりました
最後に、応募前に知っておいたほうがいいことを書きます。富士通には降格制度があります。
「悪いパフォーマンスを発揮していた場合は、下のレベルに下がる可能性が高くなります」(SE・在籍3〜5年)
「ここ数年で評価制度が厳しくなりました。降格の仕組みもあり長期で働く事を考えるならそのことを考える必要があります。実際にここ数年で降格した社員をたくさんみてきました」(金融・営業・中途入社・在籍3〜5年)
レベルが下がれば、年収も下がります。Level 11から10に下がれば、100万円以上の差です。
これはジョブ型の制度としては筋が通っています。職務で年収が決まるなら、職務が変われば年収も変わる。上がる方向だけ動いて下がらない、という制度のほうが不自然です。
ただし、入る側としては「一度上がれば安泰」ではない、という理解が必要です。年収のレンジだけを見て判断すると、ここを見落とします。
降格制度がある会社は、それだけで危ない会社ではありません。むしろ、ジョブ型を本気で運用している証拠です。
見るべきは「降格の基準が明示されているか」と「降格までに何段階の猶予があるか」です。富士通の場合、3期連続で期待を下回るとリスキリング対象という運用が口コミから確認できます。1年半の猶予があり、いきなり下げられる制度ではありません。
面接で聞くなら「等級が下がるケースはどういう場合ですか」。この質問に淀みなく答えられる会社は、制度が文書化されています。言葉を濁す会社のほうが、実際には危ないです。
富士通への転職で年収を上げるために人事が見ているポイント


中途採用の選考で評価されるスキル・経験とは
富士通の中途採用では、FUJITSU Levelに基づいてポジションごとのJob Descriptionが定義されています。選考では、以下の観点が重視されます。
- 職務経験の再現性:
前職での経験やスキルが、富士通のポジションでもそのまま活かせるかどうか。人事は「この人が入社したら、すぐにパフォーマンスを出せるか」を見ています。 - マネジメント経験・大規模PJ経験:
特にLevel 10以上のポジションでは、チームリーダーやプロジェクトマネージャーとしての経験が大きく評価されます。 - カルチャーフィット:
富士通のパーパスやバリューとの整合性も見られます。Connect評価制度の「Behaviours」に対応する部分です。
富士通の新卒・中途比率は約51%:49%(転職経験あり)と公表されており、中途採用に対して非常に積極的な姿勢がうかがえます。
(参照:富士通 採用情報)
オファー年収の決まり方と交渉の余地
中途採用のオファー年収は、基本的に「FUJITSU Levelの格付け × レンジ内でのポジション」で決まります。
人事が採用プロセスで年収を決定する際の主な考慮要素は以下の通りです。
- 前職の年収水準
- ポジションのFUJITSU Levelと報酬レンジ
- 面接での技術評価・行動評価の結果
- 同レベルの既存社員との報酬バランス
富士通は2023年に全社員対象で年収を平均約7%、最大24%引き上げる報酬改定を実施しました。さらに前述のとおり、2024年にはFUJITSU Levelの給与レンジ自体が引き上げられています。この2回の改定が、有価証券報告書の平均年収の推移(2023年3月期879万円 → 2026年3月期1,012万円)に表れています。
オファー年収は「交渉可能」です。ただし、やみくもに「もっと上げてほしい」と言っても通りません。交渉のコツは、「前職でこういう成果を出した」「同業他社からもこの水準でオファーが出ている」など、根拠を示すことです。人事側も社内の報酬バランスを見ながら決めているので、論理的な理由があれば上限まで引き上げてもらえる可能性があります。
富士通の年収・評価制度でよくある誤解3選
「ジョブ型=成果主義で若手も稼げる」は半分正しく半分違う
富士通のジョブ型人事制度は、Level 12以上の幹部社員には確かに成果主義として機能しています。しかし、Level 9以下の若手層では実質的に年次で横並びに昇格する傾向が残っています。
早見表のとおり、Level 10の到達年次は「新卒5〜20年目」と幅があります。同じ年次でも、上がる人と上がらない人に分かれるということです。
ただし、20代でLevel 11以上に到達するケースは、社員口コミを見るかぎり確認できませんでした。大半の若手社員は、入社してから10年程度はLevel 8〜10のレンジで推移すると考えておいたほうが現実的です。
「平均年収1,012万円=全員もらえる」ではない
繰り返しになりますが、1,012万円は平均年齢42.7歳の社員全体の平均値です。20代〜30代前半の転職者が最初からこの金額をもらえるケースは稀です。
転職時のオファー年収は前職の年収やスキル評価によって個別に決まるため、「平均年収」ではなく「自分のスキルに対するFUJITSU Levelの格付け」を基準に考えることが大切です。
「年収が下がる転職=失敗」とは限らない
年収は転職の重要な判断材料ですが、それだけで成否を判断すべきではありません。
富士通のように研修制度(LinkedIn Learning、キャリアカウンセラーによる面談等)やポスティング制度が充実している環境では、入社後の成長機会によって中長期的に年収が上がる可能性があります。
目先の年収ダウンよりも、3〜5年後のキャリアと報酬の伸びしろで判断するのが、後悔しない転職のコツです。
「年収が下がるからやめておこう」と判断する前に、「その企業でLevel○○まで上がれたら、年収はいくらになるか」を試算してみてください。
富士通の場合、Level 11に到達すれば年収1,000万円超、SPIRIT適用なら1,200万円台が見えてきます。Level 10のままSPIRITを選ぶ経路もあります。
到達率そのものは公表されていないので、条件面談の場で「このポジションから次のLevelに上がった方は、何年目くらいでしたか」と聞いてみてください。答えられる会社は、キャリアパスが実在します。
まとめ|富士通の年収・評価制度を正しく理解して転職判断に活かそう
この記事のポイントを整理します。


富士通は日本のIT業界を代表する企業であり、年収水準・福利厚生・キャリア開発制度のいずれも高い水準にあります。ただし、「ジョブ型=すぐに稼げる」という過度な期待は禁物です。自分のスキルと経験を冷静に棚卸しした上で、戦略的に転職活動を進めてください。



IT転職を成功させるためには、業界を熟知したエージェントのサポートが重要です。
その会社が良いかどうかは
他の選択肢を見ないと判断できません
人事の立場から言うと、比較対象を持たないまま決めている人が一番損をしています。
50歳未満/未経験は対象外
✓ リモート可否・フレックスなど細かい条件で検索できる
✓ 転職を決めていなくても登録できる
20代後半〜30代が中心
✓ 土曜1日で選考が終わる1Day選考会あり
✓ ITコンサル・メガベンチャーの求人が豊富
出典:
- 富士通株式会社 有価証券報告書 第126期(2026年3月期)
- 日本経済新聞「富士通の平均年収は1,012万円」
- The社史「富士通の平均年収・従業員数の推移」


