「ITパスポートって取っても意味ないのかな…」
IT業界への転職を考えている方なら、一度はこの疑問を感じたことがあるのではないでしょうか。
ネットで検索すると「意味がある」「意味がない」と真逆の意見が出てきて、結局どっちなの?と迷ってしまいますよね。
この記事では、現役IT企業の人事・採用担当者である筆者が、実際に履歴書でITパスポートを見たときにどう感じているのか、包み隠さずお伝えします。
- IT人事が履歴書でITパスポートを見たときの正直な感想
- ITパスポートの有無で合否が変わるのか(実例付き)
- IT転職において、資格よりも重視されているポイント
- ITパスポートの代わりにやるべき具体的なアクション
この記事のまとめ【結論だけ知りたい方へ】

ただし「完全に意味がない」というわけでもなく、ITの基礎知識を身につけるきっかけとしては悪くありません。
問題は、ITパスポートを「ゴール」にしてしまうことです。
IT転職で本当に評価されるのは、資格そのものではなく「この人はエンジニアとして成長できるのか?」という将来性です。
この記事を読んでいただければ、ITパスポートに時間をかけるべきか、それとも別のアクションを取るべきかがはっきりわかるはずです。
ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
ITパスポートが「意味ない」と言われる理由を人事目線で解説
「ITパスポートは意味ない」と言われる背景には、資格としての構造的な問題があります。
ここでは、採用する側の目線からその理由を整理します。
そもそもITパスポートとは?試験の位置づけをおさらい
ITパスポート(正式名称:ITパスポート試験)は、経済産業省が認定する国家試験「情報処理技術者試験」の一つです。
ITを利活用するすべての社会人を対象とした入門レベルの試験で、情報処理技術者試験のなかでは最も難易度が低い「レベル1」に分類されています。
IPA(情報処理推進機構)の発表によると、令和7年度の年間応募者数は30万7266千人、合格率は48.6%でした。
(出典:IPA「令和7年度 iパス 年間応募者数等について」)
つまり、約2人に1人が合格する試験です。
試験内容はITの技術的な知識だけでなく、経営戦略やマネジメント、法務なども含まれており、出題範囲は幅広い反面、深い専門性は求められません。
IT企業の採用で「加点」にならない理由
IT企業の採用選考において、ITパスポートが加点材料にならない理由はシンプルです。
ITパスポートで証明できるのは「IT用語がわかる」レベルであり、「IT業務ができる」レベルではないからです。
エンジニア採用では、実際に何がどこまでできるのかが最も重要視されます。プログラミングの経験があるか、ネットワークの設計ができるか、データベースを触ったことがあるか…といった実務に直結するスキルが見られます。
ITパスポートはこれらの実務スキルを証明する資格ではないため、選考において加点にはなりにくいのです。
また、ITパスポートには独占業務がありません。医師や弁護士、宅地建物取引士のように「この資格がないとできない仕事」がないため、採用側が「この資格を持っている人がほしい」と考えることもほぼありません。
履歴書に書いてあっても面接で触れない現実
正直にお伝えすると、履歴書の資格欄にITパスポートが書いてあっても、面接でわざわざ深掘りすることはほとんどありません。
基本情報技術者試験や応用情報技術者試験であれば、「どのくらい勉強したか」「過去問の正答率はどれくらいか」といった質問をすることがあります。
でもITパスポートについては、そこまで突っ込む必要がないレベルの試験という認識です。
もちろん、履歴書に書いてあること自体は悪いことではありませんし、話の流れで触れることはあります。ただ、ITパスポートについて話を広げても、合否に影響するような情報はほとんど得られないというのが本音です。
基本情報技術者試験の進捗や過去問の正答率は面接で聞くことがありますが、ITパスポートについてはレベル的に聞きません。面接で話を広げても、評価に繋がる情報がほとんど出てこないからです。
IT人事が履歴書でITパスポートを見たときの本音
ここからは、さらに踏み込んだ「人事の本音」をお話しします。
採用担当者が実際に何を感じているのか、未経験者と経験者に分けてお伝えしますね。
未経験者の履歴書に書いてあった場合

「あ、書いてあるな」くらいの認識です。
ただし、話し方によって評価が分かれる場面はあります。
たとえば、面接でITパスポートについて聞いたときに「まずはITパスポートで基礎を固めて、次に基本情報技術者試験を目指す準備として受けました」と言われたら、ステップを踏んで学習する計画性がある人だな、と感じます。
一方で、「ITパスポートの試験が難しくて何回も落ちました」「すごく勉強しました」といった発言があると、正直なところIT適性や論理的思考力に不安を感じてしまいます。
すけさんIT資格のレベル1の資格で合格率が約50%の試験に何度も苦戦しているとなると、入社後にITの技術をキャッチアップできるか心配になるのが採用側の正直な気持ちです。
IT業界経験者の履歴書に書いてあった場合
IT業界での実務経験がある方の履歴書にITパスポートが書いてあった場合は、正直まったく見ていません。
経験者の採用では、職務経歴書に書かれた実務経験の内容のほうがはるかに重要です。
どんなプロジェクトに携わったか、どんな技術スタックを使ったか、どんな役割を担ったか。
資格欄に目が行くのは、応用情報技術者試験やAWS認定資格、CCNAなど、専門性の高い資格が書いてあったときです。
経験者がITパスポートを書いていても「特に何も触れない」というのが実態です。
「書かない方がいい」は本当か?
ネット上では「ITパスポートは履歴書に書かない方がいい」「書くと恥ずかしい」という声もありますが、書くこと自体がマイナスになるわけではありません。
国家試験に合格したという事実は、少なくとも嘘をついているわけではないので、書いておくのは問題ありません。
資格欄にITパスポートしか書かれていない場合、面接官は「ほかにアピールできるものがないのかな」と感じてしまうことがあります。
ITパスポートは書いたうえで、それ以外の強み(実務経験、学習中のスキル、自己学習の成果など)もしっかり伝える準備をしておきましょう。
ITパスポートを書くこと自体は問題ありませんが、面接で”すごく難しかった”というアピールは逆効果です。採用側はITパスポートの難易度を把握しているので、別の角度でアピールしたほうが印象が良くなります。
ITパスポートが評価されるケース・されないケースの分岐点
ITパスポートの評価は、どの業界に転職するかによって大きく変わります。
すべての場面で意味がないわけではないので、ここで整理しておきましょう。
非IT業界への転職なら意味がある場面もある
ITパスポートが一定の評価を受けるのは、非IT業界の事務職・管理部門への転職です。
たとえば、総務・経理・人事といったバックオフィス系の職種では、社内システムの運用やセキュリティ意識が求められる場面が増えています。
こうしたポジションでは、ITの基礎知識があること自体が評価材料になることがあります。
また、DX推進を掲げる非IT企業では、ITパスポートの取得を社員研修に組み込んでいるケースも少なくありません。そうした企業への転職であれば、ITパスポートは「ITへの理解がある人材」として好印象につながる可能性があります。
ITパスポートが活きるのは非IT企業のバックオフィス系です。IT企業のエンジニア採用とは評価軸がまったく違うので、自分がどの業界を目指すかで”取るべきかどうか”の答えは変わります。
IT業界への転職では正直プラスにならない
一方、IT企業への転職(特にエンジニア職)を目指す場合、ITパスポートが選考でプラスに働くことはほぼありません。



私の経験では、ITパスポートの有無で合否が変わったケースは一度もありません。
IT業界の採用担当者にとって、ITパスポートは「ITの入門知識を学んだ証明」であり、「エンジニアとしてのポテンシャルの証明」ではないのです。
ただし、IT監視業務などの運用系エンジニアのポジションであれば、多少考慮される場面はあるかもしれません。とはいえ、それも「ITパスポートがあるから合格」というレベルの話ではなく、あくまで補足的な評価です。
新卒就活と中途転職で評価が変わる理由
新卒の就職活動では、ITパスポートの取得がある程度のアピールになる場面があります。
学生にとっては「自主的にITの勉強をした」という姿勢そのものが評価対象になるからです。
しかし中途転職(転職活動)の場合は、前提が異なります。
転職市場では即戦力や短期間での戦力化が求められるため、「勉強しました」よりも「何ができるか」が重視されます。
同じITパスポートでも、新卒なら「意欲の証明」になり得るけれど、中途では「それだけでは物足りない」という評価になりやすいのです。
IT企業のエンジニア採用では、ITパスポートの有無で合否が変わったケースは正直ありません。ただし基本情報技術者試験なら、面接の評価が基準に少し届かない場合でも”地頭力と努力ができる人”として合格にしたことがあります。
IT転職で資格より重視されるポイント【採用のウラ側】
ここまで読んで「じゃあ、IT転職では何が評価されるの?」と気になっている方も多いと思います。
実際に採用の現場で重視されているポイントをお伝えしますね。
採用担当が履歴書で本当に見ているところ
未経験者の選考で採用担当が見ているのは、大きく分けて以下の3つです。
- IT業界で成長していけるポテンシャルがあるか
- 自分で計画を立てて学習できる人かどうか
- 論理的に物事を考えられるかどうか
「この人は入社後に成長してくれそうだな」と思えるかどうかが、未経験者の合否を分ける最大のポイントです。
たとえば、面接でこんなふうに話してくれる方は評価が高くなります。
「ITパスポートを◯月に受けて、その次に基本情報技術者試験をこんなスケジュールで勉強して◯月に受ける予定です」
このように具体的な学習計画を自分で立てられる人は、入社後もスキルアップしていける可能性が高いと判断できます。
実務経験・ポートフォリオが資格に勝る理由
IT企業の採用において、資格は「知識の証明」にはなりますが、「実務で使えるかどうか」の証明にはなりません。
そのため、採用担当者が最も評価するのは実際に手を動かした経験です。
意外かもしれませんが、Excelのスキルも評価対象になります。
VLOOKUPなどの中級レベルの関数を使いこなせる人、さらにマクロまで組める人は、「ITツールを実務で活用できる人材」として印象が良くなります。



特に転職者の場合、Excelをまったく触ったことがないという方は少ないはずです。
これまで業務で使ってきたExcelを「もっと効率化できないか」と考えて、自分で関数やマクロを学んで改善してきた経験がある方は、採用側から見てとても魅力的に映ります。
またエンジニアはExcelを使う場面が多いため、問題なく使いこなせることは実務面でも大切です。
プログラミング言語を独学で触っている、簡単なWebアプリを作ってみた、業務でExcelマクロを組んで効率化した…。
こうした「実際にやってみた経験」は、どんな資格よりも強いアピール材料になります。
“Excelのマクロを組んで業務を効率化しました”と言える未経験者は、ITパスポートを持っているだけの人より何倍も評価が高いです。採用側が見たいのは”勉強した証”ではなく”手を動かした証”です。
SES・SIerの案件面談で求められるスキル感
IT業界への転職、特にSES企業への入社を考えている方にとっては、案件面談での評価も気になるところです。
結論から言うと、SESの案件面談でITパスポートが評価されることはほぼありません。
案件先の企業がスキルシートで資格を確認するのは、基本情報技術者試験以上の資格からです。
SES企業の選び方や案件面談の仕組みについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。


未経験者で”いいな”と感じるのは、資格の有無よりも”スケジュールを組める人”です。学習計画を自分で立てて実行できる人は、入社後の成長速度が明らかに違います。ExcelのVLOOKUPやマクロが使えるだけでも、IT適性を感じます。
ITパスポートの代わりにやるべきこと3選
ITパスポートに時間を使うなら、もっと転職に直結するアクションがあります。
ここでは、IT人事の目線から「これをやってくれたら評価する」という3つの取り組みをご紹介します。
基本情報技術者試験との違いと選び方


同じ国家試験でも、基本情報技術者試験(レベル2)はITパスポート(レベル1)とは評価がまったく異なります。
基本情報技術者試験は、ITエンジニアとしての基本的な知識・スキルを証明する資格です。アルゴリズムやプログラミングの問題も出題されるため、「技術者としての素養がある」ことを示せます。



私の経験でも、基本情報技術者試験に合格している未経験者は、面接の評価が基準に少し届かない場合でも「地頭力があり、正しい努力ができる人」として合格にしたことがあります。
さらに言えば、応用情報技術者試験に合格している方は、面接の受け答えにやや課題があっても通したケースもあります。難関資格を突破できるだけの論理的思考力と学習能力を高く評価したためです。
ITパスポートで基礎を学んだ後は、ぜひ基本情報技術者試験へのステップアップを検討してみてください。
資格勉強より効果的な「実績の作り方」
IT転職においては、「何を勉強したか」よりも「何を作ったか・何をやったか」が問われます。
具体的には、以下のような実績が評価されやすいです。
- プログラミング言語を使って何かを作ってみる(簡単なWebサイトやアプリでOK)
- Excelの中級スキルを身につける(VLOOKUP、ピボットテーブル、できればマクロまで)
- ITに関するアウトプットを残す(ブログ、GitHub、学習記録など)
資格の勉強は「インプット」ですが、採用側が見たいのは「アウトプット」です。
限られた転職準備の時間を、資格勉強だけに費やすのではなく、手を動かす時間にも振り分けることがおすすめです。
転職エージェントを活用した戦略的な動き方
IT業界への転職は、一人で進めるよりもプロの力を借りたほうが効率的です。
特に未経験からIT業界を目指す場合、転職エージェントを活用することで自分に合った求人を効率よく見つけられます。
エージェントは非公開求人を持っていることも多く、また書類の添削や面接対策のサポートも受けられます。
IT転職におすすめのエージェントについては、こちらの記事で詳しくまとめています。


また、エージェントを使う際のコツや注意点が気になる方は、こちらの記事も参考にしてみてください。


応用情報技術者試験に合格していた方を、面接の内容は評価が低かったものの”この難易度の資格に受かる地頭力がある”と判断して合格にしたことがあります。資格で合否が変わるのは、基本情報以上のレベルからです。
よくある質問(Q&A)
ITパスポートに関して、よくいただく質問にお答えします。
- ITパスポートは履歴書に書くべきですか?
-
書くこと自体は問題ありません。
国家試験の合格は事実ですので、書いてマイナスになることは基本的にないです。
ただし、IT企業のエンジニア職に応募する場合は、ITパスポートだけをアピール材料にするのは避けましょう。ほかの強み(学習中のスキル、実務経験、自己学習の成果など)もセットで伝えることが大切です。
- IT未経験でまず取るべき資格は何ですか?
-
エンジニア転職を目指すなら、最初から基本情報技術者試験を目指すのがおすすめです。
もしITの知識がまったくなくて不安な場合は、ITパスポートで基礎を固めてから基本情報に進むのも良い方法です。
大切なのは、ITパスポートで止まらないこと。あくまでも通過点として位置づけてください。
- ITパスポートを持っていると年収は上がりますか?
-
ITパスポートの取得だけで年収が上がることは、ほぼないと考えてよいでしょう。
IT業界の年収は、資格よりも実務経験やスキルレベルによって決まります。資格手当としてITパスポートに手当を出している企業もありますが、金額は月数千円程度が一般的です。
年収アップを目指すなら、基本情報や応用情報などの上位資格の取得に加えて、実務スキルの向上に注力するのが近道です。
まとめ|ITパスポートを取る前に知っておいてほしいこと
この記事では、IT企業の人事・採用担当者の目線から、ITパスポートの転職における評価のリアルをお伝えしました。
- ITパスポートが履歴書に書いてあっても、IT企業の採用で加点になることはほぼない
- ITパスポートの有無で合否が変わったケースは、筆者の経験上一度もない
- 基本情報技術者試験以上なら、合否に影響するレベルの評価がつくことがある
- IT転職で重視されるのは、資格よりも実務経験・学習計画・アウトプット
- SESの案件面談でITパスポートが評価されることもほぼない
ITパスポート自体が「悪い資格」というわけではありません。ITの基礎知識を体系的に学べる点では、意味のある試験です。
ただ、IT業界への転職という目的においては、ITパスポートはゴールではなく出発点にすぎません。
もしあなたがIT転職を本気で考えているなら、ITパスポートで満足せず、基本情報技術者試験へのチャレンジや、実際に手を動かしてスキルを磨くことに時間を使ってほしいなと思います。
この記事が、あなたの転職活動の判断材料になれば嬉しいです。

