「20代後半になってから転職活動を始めたけれど、書類選考がなかなか通らない」「面接まで進んでも、あと一歩で内定に届かない」——そんなふうに悩んでいませんか。
20代前半のころは、勢いで応募してもそれなりに話が進んだのに、最近は手応えがない。そう感じている方は少なくありません。
結論から先にお伝えします。20代後半の転職は、手遅れではありません。ただ、企業があなたを見る「評価軸」が変わっただけです。
私はIT企業で採用担当として、たくさんの応募書類に目を通し、面接で多くの方とお会いしてきました。その立場から見ると、20代後半でつまずく方には、はっきりとした共通点があります。そして、その共通点は「知っているかどうか」で対策が大きく変わるものばかりです。
すけさんこの記事では、採用する側のリアルな視点から、20代後半の転職の現実と、そこを乗り越えるための考え方をお話しします。
- 20代後半の転職が「厳しい」と言われる本当の理由
- 採用担当が書類選考で実際に見ているポイント(1分で決まる現実)
- 未経験の転職が急に難しくなる、企業側の事情
- 面接で落ちてしまう人によくある共通点
- 内定を取るために「応募数」が重要になる理由
- 効率よく応募数を増やすためのエージェント・媒体の使い方
この記事の簡単なまとめ
企業は採用担当として書類を1分ほどで判断し、最低基準を満たさない応募はすぐに見送ります。



だからこそ、自分の経験が応募先で通用することを書類で示すこと、そして必須条件に合った求人へ十分な数を応募することが内定への近道になります。応募数を効率よく確保するには、転職エージェントと求人媒体の併用が現実的です。
20代後半の転職は本当に「厳しい」のか?データで見る現実
「20代後半は転職に不利」という話はよく耳にします。でも、データを見ると少し印象が変わります。
25〜29歳は転職者がもっとも多い年齢層のひとつ
総務省の「労働力調査(詳細集計)2024年平均」によると、2024年の転職者数は約331万人にのぼります。年齢階級別に見ると、25〜29歳の転職者比率は高い水準にあり、世代として活発に転職している実態が見えてきます。
つまり、20代後半は「転職してはいけない年齢」ではなく、むしろ多くの人が動いている年齢なのです。
※参考:総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2024年(令和6年)平均結果の概要」
求人は多いのに「通らない」というギャップ
それなのに、なぜ「厳しい」と感じるのでしょうか。
理由のひとつは、求人数と通過率のギャップです。
- 20代向けの求人自体はたくさんある
- けれど、応募しても書類で落ちる
- 面接まで行っても内定に届かない
「応募できる枠は見えているのに、自分だけ通れない」——この感覚が「厳しい」という言葉になって表れます。


「厳しさ」の正体は、難易度ではなく評価軸の変化
ここが一番大切なところです。
20代前半、とくに第二新卒のころは、企業はあなたのポテンシャル(伸びしろ)を見ています。多少経験が足りなくても、「これから育てればいい」と考えてもらえる時期です。
ところが20代後半になると、企業の見方が「経験者として、入社後すぐに戦力になれるか」へと切り替わっていきます。
難しくなったのではなく、見られているポイントが変わった。だから、20代前半と同じやり方では通用しなくなる。これが「厳しい」の正体です。
20代後半は『若さ』ではなく『何ができるか』で見られ始めます。職務経歴書を書く前に、これまでの仕事で出した成果を一度棚卸ししておくと、評価軸の変化に対応しやすくなりますよ。
採用担当は書類選考で何を見ているのか|1分で決まる選別の実態
「書類選考って、どこまで読まれているの?」——これは多くの方が気になるところだと思います。採用する側の実感をお話しします。
書類は慣れれば1分ほどで判断している
正直にお伝えすると、応募書類を読む時間は、慣れた採用担当であれば1通あたり1分ほどです。
最初にざっと確認するのは、次のような基本情報です。
- 転職回数
- 年齢
- これまでの経験(職種・業務内容)
- 学歴



ここで「自社の採用要件の最低基準を満たしていない」と判断すると、残念ながら1分かからずに見送りになります。冷たく聞こえるかもしれませんが、1日に何十通もの書類をさばく現場では、これが現実です。
通過するのは「もっと読みたい」と思わせた人


ただし、すべての書類が1分で終わるわけではありません。採用担当の頭の中では、おおまかに3段階の選別が動いています。
- 最低基準に届かない人:1分ほどで見送り
- 「面白そう」と感じた人:もっと深く読み込み、面談・面接に進めるか検討する
- 迷う人・通す人:書類を隅々まで確認する
つまり、書類選考を通過する人は「最初の1分で、もっと読みたいと思わせた人」です。逆に言えば、最初の数行で興味を持ってもらえないと、せっかくの自己PRも読まれないままということが起こります。
だからこそ、職務経歴書は「直近の業務」と「出した成果」を冒頭でわかりやすく示すことが効いてきます。
企業の本音は「経験者採用」|自社でも通用するかを示してほしい
20代後半の中途採用について、採用する側の本音をお話しします。
企業としては、20代後半の方には経験者として活躍してもらいたいという思いがあります。
だからこそ、書類で見たいのは「あなたの経験が、自社でも同じように成果につながるのか」という点です。
- 前職で「何を」「どのように」やって
- 「どんな成果」が出たのか
- それが応募先でも汎用的に通用するのか
ここがイメージできる書類は、自然と「会ってみたい」という気持ちになります。実際、「実績は書いてあるけれど、自社で活きるかが読み取れない」という理由で見送るケースは多いです。
職務経歴書は、最初の数行が勝負です。冒頭に直近の業務と具体的な成果(数字があれば理想的)を置くだけで、読み込んでもらえる確率が変わります。自己PRはその後ろでも十分間に合いますよ。


20代後半の未経験転職が一気に難しくなる本当の理由
「未経験の業界・職種に挑戦したい」という方も多いと思います。ここは正直にお伝えしたいポイントです。
「未経験OK」求人でも、実際は経験者が優先されやすい
求人票に「未経験歓迎」と書いてあっても、同じ枠に経験者が応募してくれば、経験者が優先されることが当たり前です。
これは企業側の事情を知ると納得できます。
- 採用にはコストも時間もかかる
- できれば早く戦力になってほしい
- 同じ条件なら、即戦力に近い人を選びたくなる
「未経験OK」は「未経験を優先する」という意味ではなく、「未経験でも応募は受け付ける」という意味であることが多い、と理解しておくと安全です。
30歳目前で、企業が育成投資をためらう事情
もうひとつの理由が、育成コストの考え方です。
20代前半であれば、企業は「数年かけて育てる」前提で採用できます。けれど30歳が近づくと、「じっくり育てる」よりも「早く活躍してほしい」という期待が強くなります。
その結果、未経験での挑戦に対しては、20代前半よりも慎重に見られるようになります。これは個人の能力の問題ではなく、企業の採用ロジックの変化です。
それでも、業界・職種次第では可能性が残っている


ここで落ち込む必要はありません。未経験の転職がすべて閉ざされるわけではないからです。
- 人手不足が続いている業界
- 前職の経験を一部でも活かせる職種
- ポータブルスキル(どこでも通用する力)を評価する企業
こうした条件が重なる場所では、20代後半の未経験でも十分にチャンスがあります。大切なのは、「なぜその業界・職種なのか」を説得力をもって語れることです。
未経験に挑戦するなら、『これまでの経験のどこが活かせるか』を必ずセットで語ってください。完全なゼロからのスタートではなく、『土台はある』と伝わるだけで、採用担当の不安は大きく減りますよ。
面接で落ちる20代後半に共通する3つのパターン
書類は通るのに面接で落ちる、という方も多いです。採用する側として「もったいない」と感じる、よくある3つのパターンをお話しします。
パターン1:転職理由が「現職からの逃げ」に聞こえる
「人間関係がつらい」「残業が多い」——気持ちはとてもよく分かります。でも、そのまま伝えると「同じ理由でまた辞めるのでは」と受け取られてしまいます。
ネガティブな本音は、前向きな表現に言い換えることが大切です。ただし、嘘をつく必要はありません。「より裁量のある環境で挑戦したい」など、自分が本当に望んでいる方向に焦点を当てるだけで印象は変わります。
パターン2:即戦力アピールが応募先のニーズとズレている
自分の強みを一生懸命アピールしても、それが応募先の求めているものと違えば、評価につながりません。
- 応募先がどんな人材を求めているか
- そのうえで、自分のどの経験が刺さるのか
この「すり合わせ」ができていないと、「実力はありそうだけど、うちには合わないかも」という見送りになりがちです。
パターン3:キャリアビジョンが漠然としている


「将来どうなりたいですか」という質問に、ふわっとした答えしか返ってこないと、採用担当は入社後の姿をイメージできません。
完璧な人生設計を語る必要はありません。ただ、「この会社で、こういう経験を積んで、こうなっていきたい」という方向性が見えるだけで、定着して活躍してくれそうだという安心感につながります。
面接で落ちる方の多くは、能力ではなく『伝え方』でつまずいています。転職理由・強み・将来像の3つは、必ず応募先に合わせて準備しておくと、通過率がぐっと上がりますよ。
だからこそ「応募数」が内定獲得を左右する理由
ここからが、この記事で一番お伝えしたいことです。
採用は「母集団形成」|企業は1人採るために何十人も見ている
採用する側は、1人を採用するために、たくさんの応募者(母集団)を集めて、そこから少しずつ絞り込んでいきます。これを採用の世界では「母集団形成」と呼びます。
つまり、選考は漏斗(ろうと)のような構造になっています。
- たくさんの応募 → 書類で絞る
- 書類通過 → 面接で絞る
- 面接通過 → 内定
上から下へ進むほど、数は減っていきます。これは企業側だけの話ではありません。
求職者も同じ漏斗で動くべき
企業が漏斗で動いているなら、求職者も同じように考えるのが自然です。
転職サービスのdodaが公開している「転職成功者の平均応募社数」を見ると、内定を得た人は決して1〜2社だけに応募しているわけではなく、複数の企業に応募したうえで、書類・面接と段階的に絞られながら内定にたどり着いていることが分かります。
また、マイナビの調査では一般的な書類選考の通過率は3割前後とされています。仮に書類が3社に1社通るとすれば、面接に十分な数だけ進むためには、それなりの応募数が必要になる計算です。
「数社受けて全部落ちた」と落ち込む必要はありません。そもそも全部は通らない前提で動くのが、転職活動の現実的な進め方です。
※参考:doda「転職成功者の平均応募社数」/マイナビ転職 各種調査
ただし、必須条件に合わない応募は何社出しても通らない


ここはとても大事なので、はっきりお伝えします。
応募数を増やすことは大切ですが、やみくもに数だけ増やしても意味がありません。
採用する側から見ると、書類で見送る方の多くは、経歴そのものが悪いわけではなく「応募先の必須条件とズレている」ケースです。
- 必須資格が条件なのに、資格を持たずに応募している
- マネジメント経験必須の求人に、プレイヤー経験だけで応募している
- 求める経験年数に届いていない
こうした応募は、何社出しても通過は難しいのが正直なところです。
大切なのは、「自分の経験が活きる、必須条件を満たした求人」に、十分な数を応募すること。質を保ったうえで数を確保する、という考え方です。
応募は『数×質』の掛け算です。条件を満たさない求人をいくら受けても通りません。まず自分が満たせる必須条件の求人を見極め、そのなかで応募数を確保する——この順番が内定への最短ルートですよ。
応募数を効率的に増やすためのエージェント・媒体の使い分け
「条件に合う求人に、十分な数を応募する」と言われても、働きながら一人でやるのは大変です。そこで役立つのが、転職エージェントと求人媒体の使い分けです。
転職エージェントが応募効率を上げる3つの理由


転職エージェントを使うメリットは、応募の効率が上がる点にあります。
- 非公開求人を紹介してもらえる:一般には出ていない求人に出会える
- 書類の添削をしてもらえる:通過率を上げる書き方をプロの目で見てもらえる
- 面接の日程調整を代行してくれる:働きながらでも複数社の選考を同時に進めやすい
とくに「日程調整の代行」は、在職中で忙しい20代後半の方には心強い支えになります。
求人媒体(転職サイト)を併用するメリット
一方で、求人媒体(自分で検索して応募する転職サイト)にも良さがあります。
- 自分のペースで、気になる求人を幅広く探せる
- エージェントが扱っていない求人にも出会える
- 応募の母数を、自分の判断で増やせる
エージェントが「絞り込みと質」を助けてくれるのに対し、媒体は「幅と量」を確保しやすい、という関係です。
エージェント2社+媒体1〜2社の併用が現実的
では、どう組み合わせればよいのでしょうか。一人で無理なく回せる現実的なラインとして、エージェント2社程度+媒体1〜2社の併用が扱いやすいバランスです。
- エージェントを複数使うことで、紹介求人の幅が広がる
- 媒体も併用することで、自分で動ける選択肢が増える
- ただし、増やしすぎると管理が大変になるので注意
「とりあえず1社だけ」よりも、複数を併用したほうが、応募数も比較材料も自然と増えていきます。
エージェントは1社だけだと、担当者との相性や求人の偏りに左右されます。2社ほど使って比較すると、求人の幅も担当者の質も見極めやすくなります。無理のない範囲で、媒体も併用してみてくださいね。
20代後半の転職で内定確率を上げる5つの行動


最後に、ここまでの内容を行動に落とし込みます。今日から取り組めることばかりです。
1. 経験・スキルの棚卸しで「汎用的に通用する実績」を言語化する
これまでの仕事を振り返り、「何を・どのように・どんな成果につなげたか」を書き出してみましょう。採用担当が知りたいのは、その経験が他社でも通用するかです。数字で示せるものは、ぜひ数字で。
2. 応募書類は1社ごとにカスタマイズする
同じ書類を使い回すと、「うちでなくてもいいのでは」と伝わってしまいます。応募先が求める人物像に合わせて、アピールするポイントを入れ替えるだけで印象が変わります。
3. 転職理由を「前向きな表現」に再構築する
ネガティブな本音は、自分が本当に望む方向に言い換えます。嘘をつくのではなく、焦点を変えるイメージです。
4. 在職中に活動して焦りを排除する
収入がある状態で活動すると、「条件が合わないのに焦って決めてしまう」事態を避けられます。精神的な余裕は、面接での落ち着きにもつながります。
5. 不採用通知を次の応募に活かす
落ちても、それで終わりではありません。「どの段階で落ちたか」を振り返ると、書類なのか面接なのか、課題が見えてきます。次の応募で同じつまずきを繰り返さないことが、通過率を上げる近道です。
この5つの中でも、まずやってほしいのが『経験の棚卸し』です。これが書類・面接すべての土台になります。土台が固まると、応募先ごとのカスタマイズもぐっと楽になりますよ。
よくある質問(Q&A)
- 20代後半でも未経験職種への転職は可能ですか?
-
可能です。ただし、20代前半に比べると経験者が優先されやすく、難易度は上がります。人手不足の業界や、前職の経験を一部活かせる職種を選び、「これまでの経験のどこが活きるか」をセットで伝えることが鍵になります。完全なゼロからではなく、「土台がある」と示せると、採用側の不安は和らぎます。
- 何社くらい応募すれば内定が出ますか?
-
一概には言えませんが、内定を得た人の多くは1〜2社ではなく、複数社に応募しています。選考は段階的に絞られる漏斗構造なので、面接に十分な数だけ進むには、ある程度の応募数が必要です。ただし、必須条件を満たさない求人をいくら受けても通りません。「条件に合う求人に、十分な数を応募する」のが現実的です。
- 転職エージェントと転職サイト、どちらを使うべきですか?
-
どちらか一方ではなく、併用が扱いやすいです。
エージェントは非公開求人の紹介・書類添削・日程調整で応募の質と効率を高めてくれます。転職サイトは自分のペースで幅広く探せて、応募の母数を増やしやすいのが強みです。エージェント2社程度+媒体1〜2社の組み合わせが、無理なく回せるバランスです。
まとめ|20代後半の転職は「評価軸の変化」を知って応募数で勝負する
20代後半の転職が「厳しい」と感じるのは、難しくなったからではなく、企業の評価軸がポテンシャルから経験へと変わったからです。
採用する側の視点を振り返ると、ポイントは次のとおりです。
- 書類は1分ほどで判断される。最初の数行で「もっと読みたい」と思わせることが大切
- 企業は20代後半を経験者として見ている。自社でも通用する実績を示してほしい
- 未経験の挑戦は難易度が上がるが、業界・職種次第で可能性は残っている
- 面接で落ちる多くは、能力ではなく「伝え方」のズレ
- 内定までは漏斗構造。条件に合う求人へ、十分な数を応募することが近道
手遅れではありません。評価軸の変化を理解し、自分に合った求人へしっかり応募していけば、道は開けます。一人で抱え込まず、エージェントや媒体の力も借りながら、無理のないペースで進めていきましょう。
あなたの転職活動が、納得のいく結果につながることを願っています。
