IT企業の面接を控えている方へ。
「何を準備すればいいかわからない」「技術スキルが足りないから不安」「面接官は一体何を見ているの?」
そんな悩みを抱えていませんか?
結論から言うと、IT企業の面接で評価されるのは技術スキルだけではありません。むしろ、未経験採用では技術力以外の部分で合否が決まるケースが大半です。
本記事では、上場IT企業で現役人事として6年間、累計300件以上の面接に携わってきた筆者が、採用側が本当に見ている評価基準を包み隠さず公開します。
「採用のウラ側」だからこそ書ける、面接官のリアルな本音をお伝えします。
- IT企業の面接で人事が見ている5つの評価ポイント
- 未経験者が「受かる面接」と「落ちる面接」の決定的な違い
- 人事が本音で語る「この人は不合格」と感じる瞬間
- 面接前にやるべき具体的な準備リスト
IT企業の面接は「スキル試験」ではない|人事の本音
技術スキルは入社後に伸ばせる。では何を見ている?

IT転職を目指す方の多くが「技術力がないと面接に受からない」と考えています。しかし、これは半分正解で半分間違いです。
もちろん、即戦力を求める経験者採用では技術スキルが大きな評価基準になります。しかし未経験者採用の場合、企業側は「今のスキル」ではなく「入社後の伸びしろ」を見ています。
すけさん実際に私が担当した300件以上の面接の中で、こんなケースがありました。
Aさん:基本情報技術者試験に合格済み。しかし面接では志望動機が曖昧で、「なぜこの会社なのか」を説明できなかった。結果、不合格。
Bさん:資格は持っていない。しかし独学でWebアプリを作成しており、「なぜITに興味を持ったのか」「どんな課題にぶつかり、どう解決したのか」を自分の言葉で語れた。結果、内定。
この違いが何かわかりますか? Bさんには「主体的に行動し、自分で考えて問題を解決できる人材」という評価がついたのです。資格の有無よりも、その人の行動と思考プロセスが重視された典型的な例です。
ただし、ある程度のレベルのIT企業では、ITパスポートや基本情報技術者試験への取り組み結果を評価に含めることがあります。 特に「十分に勉強したにもかかわらず、不合格だった」という場合、企業側は慎重になります。
理由はシンプルで、難易度がそこまで高くないこれらの試験に合格できない場合、入社後に上流工程の業務やお客様との打ち合わせを任せるのはリスクがあると判断されるからです。
もちろん「勉強時間が確保できなかった」のか「しっかり取り組んだ結果なのか」で評価は大きく変わります。現在勉強中・受験予定であれば、その取り組み姿勢をしっかりアピールすることでカバーできます。
面接官は最初の30秒で第一印象を決めている


面接で最も過小評価されているのが「第一印象」の影響力です。
入室してから着席するまでのわずかな時間、挨拶の声のトーン、表情、姿勢。面接官はこれらの情報を無意識のうちに処理し、「この人と一緒に働きたいか」を直感的に判断しています。
これは私だけの感覚ではなく、採用に関わる多くの人事担当者が同じことを口にします。話の内容を聞く前に、雰囲気で合否の「仮判定」が始まっているのです。
正直に言うと、面接開始30秒で「この人はいけそう」か「厳しいかも」の直感が生まれます。もちろんそこから挽回する人もいますが、第一印象の力は想像以上に大きいです。
特にこの傾向が顕著なのが、最終面接を担当する役員・部長クラスの面接官です。何百人もの候補者を見てきた重役ほど、最初の数十秒の印象で判断する傾向があります。一次面接を通過しても、最終面接で「雰囲気が合わない」と判断されるケースは少なくありません。
だからこそ、入室の瞬間から「明るい表情」「はっきりした挨拶」「落ち着いた所作」を意識することが大切です。
現役IT人事が明かす|面接で見ている5つのポイント



ここからは、実際の面接で評価基準としている5つのポイントを具体的に解説します。
① コミュニケーション力|「聞く力」こそが本質
面接で最も重視しているポイントの1つ目が、コミュニケーション力です。
ただし、ここで言うコミュニケーション力とは「明るくハキハキ話す力」だけを指すわけではありません。
もちろん明るく話せることは大切な要素です。
しかし、多くのIT企業が本当に重視しているのは「相手の話をしっかり聞く力」「質問の意図を正確にくみ取る力」の方です。
なぜなら、エンジニアの実務では、クライアントの要件を正しくヒアリングしたり、チーム内で認識のズレなく情報共有することが日常的に求められるからです。「話す力」より「聞く力・理解する力」をコミュニケーションの本質と捉える企業は多いのです。
【面接での良い例・悪い例】


面接官:「前職ではどのような業務を担当されていましたか?」



質問は「業務内容」なのに、入社経緯や感想に話が逸れてしまっています。



聞かれたことに対して、結論から簡潔に回答できて好印象です。
面接で「この人は話を聞ける人だな」と感じるのは、質問を最後まで聞いてから回答する人、曖昧な質問に対して「それは〇〇ということでしょうか?」と確認を入れられる人です。これだけで印象は大きく変わります。
② 論理的思考力|話の組み立て方で地頭がわかる
2つ目は論理的思考力です。面接では、回答の「中身」と同時に「話の組み立て方」を見ています。
【PREP法の回答例】
質問:「なぜIT業界に転職したいのですか?」
結論:「テクノロジーの力で業務効率化に貢献したいと考え、IT業界への転職を決意しました。」
理由:「前職の営業事務で、手作業のデータ入力に毎日2時間かかっており、もっと効率的にできないかと感じたのがきっかけです。」
具体例:「実際にExcelのマクロを独学で学び、作業時間を30分に短縮できた経験があります。この経験から、ITの力で課題を解決する仕事に本格的に携わりたいと考えました。」
結論:「御社が手がける業務システムの開発は、まさに私が実現したいことと合致しており、強く志望しています。」
逆に「何を言いたいのかわからない」と感じる回答は、話があちこちに飛んだり、結論が最後まで出てこないパターンです。
③ 主体性・学習意欲|未経験者は特にここが勝負


3つ目は主体性と学習意欲です。未経験者の面接において、最も差がつくポイントと言っても過言ではありません。
面接で「何か勉強していますか?」と聞かれたとき、最もよくある残念な回答がこれです。
「基本情報技術者試験を勉強しようと思っています」
「プログラミングをこれから始める予定です」



人事が聞きたいのは「予定」ではなく「行動」です。「やろうと思っている」は誰でも言えます。面接官は「実際に動いている人」かどうかを見極めています。
4月の基本情報技術者試験を受験する予定で、現在はテクノロジ系の午前問題を中心に、毎日1時間、過去問道場で演習を進めています。苦手なネットワーク分野は参考書を追加で購入して重点的に対策しているところです。
このように「いつの試験を受けるのか」「今どの分野を」「どんな方法で勉強しているのか」まで具体的に話せると、主体性と計画性の両方が一度に伝わります。
5つの中で未経験者に一番差がつくのが、この「主体性」です。
Progateを1周やっただけの人と、自分でWebアプリを作ってみた人では、面接での説得力がまるで違います。
完成度は低くてもいいんです。「自分で考えて、手を動かした」という事実が、人事にとっては何よりの評価材料になります。作ったものがあるなら、ぜひ面接で見せてください。
④ カルチャーフィット|会社の雰囲気に合うか
4つ目はカルチャーフィット、つまり「会社の雰囲気や価値観に合う人材かどうか」です。
IT企業と一口に言っても、社風はさまざまです。チームワークを重視しフラットなコミュニケーションを大切にする会社もあれば、個人の裁量が大きくスピード重視で動く会社もあります。
面接では「この人はうちのチームに入ったとき、周囲とうまくやれるか」を常に考えています。
よくある失敗が、「御社の理念に共感しました」という一言で終わるパターンです。この回答は、企業研究が浅いことが一瞬で伝わります。
カルチャーフィットをアピールするなら、「採用ページに書かれていた〇〇という働き方に共感した」「社員インタビューで△△さんが語っていた考え方が、自分の前職での経験と重なる」など、具体的な根拠を添えることが大切です。
⑤ 転職理由の一貫性|なぜIT?なぜこの会社?
5つ目は転職理由の一貫性です。
面接官は「前職を辞めた理由」「IT業界を選んだ理由」「この会社を志望した理由」の3つがストーリーとしてつながっているかを確認しています。



これだけでは志望動機としてあまりに浅く、「IT業界ならどこでもいいのでは?」と思われてしまいます。



前職の経験 → ITへの動機 → この会社の特徴、が一本の線でつながっていますね。
【実例あり】面接で不合格になる人の共通点5選



ここでは、私がこれまでの面接で実際に「不合格」と判断したケースに共通する特徴を5つ紹介します。


① 志望動機が使い回し(企業研究ゼロ)
- 「IT業界に興味があります」
- 「成長できる環境で働きたいです」
これらは典型的な使い回し志望動機です。どの会社にも言える内容では、志望度の高さは伝わりません。面接官は何十人もの候補者から同じフレーズを聞いているので、一瞬で見抜きます。
② 質問に対して話が長すぎる(1分以上の独白)
一つの質問に対して2分、3分と話し続ける方がいます。面接は対話の場です。回答の目安は30秒から長くても1分。結論を先に述べてから、補足情報を簡潔に加えるのが理想的です。
③ 前職の悪口・ネガティブ発言が多い
転職理由を聞かれたとき、「上司がパワハラで…」「残業が多すぎて…」と前職の不満をストレートにぶつける方がいます。
気持ちはわかりますが、面接の場では必ずポジティブに変換してください。「より〇〇な環境で成長したい」「△△の分野に挑戦するために転職を決意した」など、未来志向の表現にすることで印象が大きく変わります。
④ 逆質問で「特にありません」
面接の最後に「何か質問はありますか?」と聞かれたとき、「特にありません」と答えるのは非常にもったいないです。逆質問は最後のアピールチャンスです。
- 「入社後、最初に任せていただける業務はどのようなものですか?」
- 「御社で活躍されている方に共通する特徴はありますか?」
- 「チームの雰囲気や1日の業務の流れを教えていただけますか?」
⑤ 身だしなみ・マナーの基本ができていない
「IT企業はカジュアルだから、スーツじゃなくても大丈夫でしょ?」と考える方がいますが、面接はビジネスの場です。
人事の本音を言えば、服装で加点されることはほとんどありませんが、減点されることは確実にあります。清潔感のある服装、整えられた髪型、磨かれた靴。最低限のマナーは、社会人としての基本です。
逆質問で「残業はどのくらいですか?」「有給は取りやすいですか?」と聞く方がいます。気持ちはわかりますが、面接の場では地雷です。
働く条件ばかり気にしている印象を与えてしまいます。条件面の確認はオファー面談や内定後にすればOK。面接では「入社後にどう貢献できるか」を軸にした質問にしましょう。
未経験からIT転職で受かる人がやっている面接準備
企業研究は「採用ページ」と「社員インタビュー」を読み込む
企業のコーポレートサイトのトップページだけ見て「理念に共感しました」と言う方が非常に多いですが、これでは企業研究をしたことになりません。
面接前に必ず確認してほしいのは、採用ページに記載された「求める人物像」と「社員インタビュー」です。
採用ページには企業が本当に求めている人材像が書かれています。この内容と自分の経験・強みを結びつけることで、「使い回しではない志望動機」を作ることができます。
社員インタビューでは、実際に働いている人の価値観や仕事の進め方がわかります。「インタビューで△△さんが語っていた〇〇という考え方に共感した」と面接で話せれば、企業研究の深さが伝わります。
想定質問への回答を「書いて → 声に出して」練習する
面接準備で最も効果的なのは、想定質問に対する回答を紙に書き出し、実際に声に出して練習することです。
頭の中で考えるだけの人と、声に出して練習した人では、本番でのスムーズさが段違いです。
- 自己紹介をお願いします
- 前職を辞めた(辞めたい)理由を教えてください
- なぜIT業界を志望しているのですか?
- 当社を志望した理由を教えてください
- 現在、何か勉強していることはありますか?
この5問にスラスラ答えられるようになるだけで、面接の通過率は格段に上がります。
ポートフォリオ・学習記録が最強の武器になる
未経験からIT転職を目指す方にとって、ポートフォリオや学習記録は最強の武器です。
重要なのは「何を作ったか」だけでなく、「なぜ作ったのか」「どんな課題にぶつかり、どう解決したのか」を説明できることです。
完成度が低くても構いません。「自分で手を動かした」という事実そのものが、主体性の証明になります。
GitHubのリポジトリ、Qiitaの学習記事、個人ブログでの技術メモなど、形に残るものがあれば面接時に提示しましょう。口頭で「勉強しています」と言うより、圧倒的に説得力が増します。
【比較表】受かる人 vs 落ちる人の特徴まとめ
ここまでの内容を、比較表にまとめました。面接前のセルフチェックにお使いください。
| 評価項目 | 受かる人 | 落ちる人 |
|---|---|---|
| 志望動機 | 企業の事業内容に触れ、自分の経験と結びつけている | 「ITに興味があります」だけで具体性がない |
| 転職理由 | ポジティブに変換し、将来のビジョンを語る | 前職の不満・愚痴がメイン |
| コミュ力 | 相手の質問を正確に理解し、結論から簡潔に回答 | 質問の意図とズレた回答。話す力はあるが聞く力がない |
| 学習意欲 | 「4月の試験に向けて毎日1時間勉強中」と具体的に行動 | 「これから勉強します」「やろうと思っています」で止まっている |
| 逆質問 | 入社後のイメージが湧く前向きな質問をする | 「特にありません」または条件面の質問のみ |
| 身だしなみ | 清潔感があり、TPOに合った服装 | カジュアルすぎる・清潔感に欠ける |
よくある質問(FAQ)
- IT未経験ですが面接で技術的な質問はされますか?
-
未経験者枠の面接では、高度な技術的質問はほとんどありません。ただし「今どんな勉強をしていますか?」「ITに興味を持ったきっかけは?」といった質問はほぼ確実に聞かれます。技術の深い知識よりも、学習に対する姿勢や熱意を見ています。
- オンライン面接と対面面接で気をつけることは違いますか?
-
はい、違います。オンライン面接では、背景の整理、照明の明るさ、カメラ目線(画面ではなくカメラを見る)が重要です。対面面接では、入退室のマナー、ノックの回数(3回が基本)、お辞儀のタイミングなどが評価されます。どちらの形式にも対応できるよう準備しておきましょう。
- 面接で緊張して頭が真っ白になったらどうすればいい?
-
「少し考える時間をいただいてもよろしいでしょうか?」と正直に伝えてください。これは全く問題ありません。焦って的外れな回答をするよりも、数秒間を置いてから整理して話す方が、面接官の印象は格段に良くなります。
- 転職回数が多いと不利ですか?
-
転職回数の「数字」だけで不合格にすることはほとんどありません。重要なのは一貫性です。「なぜ転職したのか」「そこから何を学んだのか」「なぜ今IT業界を目指すのか」をストーリーとしてつなげられれば、回数自体はハンデになりません。
- 難しい質問が来て答えられない場合はどうすればいい?
-
下手に取り繕った回答をするくらいなら、「申し訳ありません、勉強不足で正直わかりません」と素直に答える方が好印象です。
人事の本音を言えば、知ったかぶりの回答は一発で見抜けます。むしろ「わかりません」と正直に言える人の方が、入社後も素直に質問できる人材だと判断できるため、評価は高くなります。
さらに好印象を与えるコツがあります。「現時点ではわかりませんが、〇〇の分野に関連する内容だと思いますので、帰宅後に調べてみます」と学習意欲を添えると、誠実さと向上心の両方が伝わります。
まとめ|面接は「準備した人」が勝つ



最後に、この記事で解説した5つのポイントを振り返ります。
- コミュニケーション力:明るさだけでなく「聞く力」が本質
- 論理的思考力:PREP法で結論から簡潔に伝える
- 主体性・学習意欲:「予定」ではなく「行動」を語る
- カルチャーフィット:企業ごとに異なる社風を理解する
- 転職理由の一貫性:前職→IT→この会社のストーリーをつなげる
IT企業の面接は「スキル試験」ではありません。あなたの人柄、考え方、行動力を伝える「コミュニケーションの場」です。
そして、面接は才能ではなく準備で決まります。この記事で紹介した内容を一つでも実践すれば、面接の通過率は確実に変わるはずです。
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